ここで数回書いているが、埼玉県の肉匠もりやすは、黒毛和牛をドライエイジドビーフにすることにかけてはかなり高レベルにある業者さんだ。基本的に西武百貨店にテナントとして入っているケースが多いのだが、その本拠地である和ヶ原本店(狭山ヶ丘駅から徒歩五分)の事務所奥に、その珠玉の熟成庫が鎮座している。
ドライエイジングは赤身の肉でやるほうがよい、というのは確かなんだけれども、それでもやはり黒毛の霜降り肉をもっと美味しく食べるためにということでトライをし続けているのがもりやすさんだ。みてくださいこの見事な熟成加減を。
ほんと、狭山ヶ丘周辺の消費者は幸せだ。
こんなふうにふつうにドライエイジドビーフを買える場所なんて、そうないんだから。
左が、森安社長だ。黒毛和牛を愛してやまない、職人である。
そしてその熟成庫。
このような長期熟成の肉も、1cmきればこのような深紅の断面が眠っている。
ここの守人が、とにかく貪欲に肉の勉強をしている黒瀬君だ。
さてその黒瀬君から、地元埼玉でいちばんの熟成肉レストラン「HOUSE」向けに50日間熟成した経産牛があるときいて、送ってもらったのだ。
色味が悪くてゴメンナサイ、ついてすぐに撮らなかったから。
400gの直方体はずしりと思い。これをどう焼こうか。中心部まで火入れするのはけっこう難儀だし、断面が大きすぎて味わいの面でもこのままじゃ難しい。そこで台形になるように二分割。
いろんな料理人さんの火入れを観てきたから、僕も肉焼きのやりかたはだいたい身についた。家にガスオーブンもあるし、ないのはオイルバスくらいだ(笑)
でも、素人でもあまり失敗しないやりかたを、その埼玉「HOUSE」で学んだ。それは「トースターを使うといいよ」ということだ。
HOUSEはいま、西武線の狭山と小手指にあって、この高山君は現在小手指店にいる。この店の特徴はなんといっても、日本ドライエージングビーフ普及協会の認定をとった各社の熟成肉ばかりを、常に複数取りそろえていることだ。おなじ協会認証であっても、ドライエージングの熟成庫によって味はまったく変わる。それを横断的に食べ比べできる店はそうそうない。それが都心部ではなく、埼玉の西武線沿線にというのは、よくぞというかんじだ。
彼はフライパンでまず肉に焼き色をつけて、、、
それにある処理をして、これまた彼が選んだトースターに入れて、低温でじっくり火入れをする。
それがこうなる!
細かなテクニックがあるらしいのだが、うろおぼえのそれを、もりやすの肉で試してみた。というのも、ちょうど自宅にバルミューダのトースターを置いたところだったからだ。十勝の満寿屋パンが東京店をオープンするので、味のチェックのために買ってしまったのだ(笑)
さて、フライパンで焼き色だけつけた状態の肉片をアルミ箔の上に置き(包みはしない)、いちばんの低温で10分ほど火入れする。その間、数回、面を変えてゴロゴロと転がす。これが重要。
タイマーがチンとなってからも、サラダを作ったりしてたので7分ほど放置。それで余熱がいい具合に入って、、、
結果!
うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
やった!やりましたよ兄さん! これはいままで達成してなかった火入れ感だなあ。
もりやす熟成の黒毛経産、50日の熟成を経てもしっかりと黒毛であることを主張してくる。熟成の段階で脂のトリグリセリドの結合が緩くなったか、脂質はまろやかになっている。それでもかなりギンッとくるものがあるので、400gを夫婦ふたりで食べると「うわーーー食べた!」と胃の裏がずっしりと重くなる。
でも、うまい。とても美味しい肉だ。100g食べたら十分に満足、霜降り肉が好きな人も、苦手な人も、「あれっこの肉の味、いままでとちがう!」という感じで美味しく食べられること間違いないと思う。
どうしても食べたい方は、ぜひ肉匠もりやすの各店舗で「経産牛の熟成肉がほしい」と伝えるか、もしくはHOUSE小手指店にいってみて下さい。