E-M1 + 40-150mmf2.8
さて鳥心のカレーを楽しみつつ公務をこなした1泊2日。 セミナーということで2時間の講演をしたので、ちょっと疲れちゃったこともあって、二日目はゆったりモードだ。スケジュールをこなしつつ、T石さんと昼飯どうしようかというところに。
えっ 俺が来るのにちゃんと考えてくれてないわけ??
って思ったことはナイショだ。まあ考えてみれば、それが今回はいい方に出た。
「あのー未確認情報なんですけどね。三谷ミートの専務からのカレー情報があるんですよ。」
えっ 土佐あかうしを扱わせたら日本一の三谷ミート専務が旨いという情報?
「いえ、三谷さんもまだ食べてはいないらしいんで、やまけんさんにお薦めできるかどうかはわからないと、、、なんでも、全農高知で肉の仕事もしていたK君が独立してカレー店を出したそうなんです」
おおおおおっ 全農高知で肉の仕事してたのかよ!
ちなみに高知県の食肉処理施設は高知市内にあるのだが、全農高知が仕切ってくれている。
こんな感じだ!
なんといま、この食肉処理施設の採算性が悪いから、廃止してしまえという議論が出ているという。
なにいってんだよ!
ぜったいになくしてはダメだ。県内にひとつは食肉処理施設を持たなければ、、、しかも地方特定品種である土佐あかうしは、高知県内で食肉処理され、格付け・価格づけがされるようにしないと、文化が流出してしまうではないか。採算性どうこうの話しじゃありませんよ。と、僕は思うけどね。
A2番の土佐あかうしの枝肉。濃い小豆色で赤身部分はなかなかに素晴らしい。でもこれが外の市場にいけば、単なるA2の肉ということで安く競られてしまうだろう。
と熱くなってしまったけど、この現場で働いていた人間がやっているというカレー屋だ。それは期待できるだろう。
「なんでも、スープカレーとキーマの二種しかないそうなんです」
おお、絞られたメニュー、いよいよ楽しみだ。
場所は昨日も立ち寄った地域スーパーであるサニーアクシスの南国市店の向かい側、行けばわかると言うことだった。
しっかしこれが、見つからない!ヘアーサロンとかあるんだけど、カレー屋がみあたらないのだ。しかたなくT氏が車を降りて、クリーニング屋さんに「この辺にまだ開業して間もないカレー屋さんありませんか?」とききに行くのだが、「そんなのはないねえ」と言われてしまう始末。
しかたなく全農高知に連絡(笑)
「あーK君の店ね、それはねぇ、サニーアクシスの向かい側よ。ヘアーサロンだったところを改築してだしたっていうから」
ん、、、 ヘアーサロン?
これ、ヘアーサロンですよね。
あれっ よくみると、、、
小さっ!
おいおいおいおいおいおいおいおいおいおい
これじゃあ走ってる車からはぜったいに見えねーよ!しかも建物二階にはまだ大きくこんな看板が掛かってるんだから。
だれだってこれがカレー屋だとは思わないでしょうが。
とはいえ発見できて一安心。
扉を開けて驚いた! なんか、カレー屋のスペース使いじゃないよこれ。たしかに元ヘアーサロンというのがわかる、贅沢に広いスペースだ。しかもですね、なんか観葉植物とか多肉植物のたぐいが、エントランスにびっちりとディスプレイされている。
これ、何屋さんですか?
こんな贅沢なスペース使い、東京でやったら1ヶ月で店たたむことになるでしょう(笑)
だってさ、メインのスペースはテーブルが3卓にカウンターだけなんだもん。
それにしてもおしゃれでスタイリッシュなカレー屋さんです。
で、はいって顔をあわすなり、面識自体はないK君が 「あっ やまけんさんですよね!」と声をかけてくれた。
全農高知ではたらき、自分が大好きなカレーで独立しようと決め、昨年この店をオープンしたという。驚いたことに、とくにカレー店で修行したわけではないという。
「いくつか好きな店には廻ってみましたけど、修行はしてないんですよ、ぜんぶ自分の好みで自己流で、、、」
メニューは情報どおり二種。
「カレーはスープカレー的な、具のないサラサラのルーです。キーマカレーは当初、子供向けだけだったんです。辛いと食べられないというお子さんが多いので、そのためにつくったもので、、、けど、やってるうちに大人も食べたいと言う方が多くて、メニューにしました」
この二種にトッピングを組み合わせるという形なんだが、なんというか実に良心的な価格である。ということで、いつもどおりカレー二種ともオーダー(笑) 一食一会なので、食べられるだけ食べるが吉なのだ。
ルーの仕込みもここでやるという(そりゃそうだこれだけ広いんだからね)。
ブラウンな色のライスがぽてんと盛られ(かなり分量はある)、そこにマッシュポテトと人参の千切りサラダが。気持程度ではなくちゃんと手造りの付け合わせが乗るのに好感がもてる。
待つことしばし、、、
キーマカレー(目玉焼きトッピング)の登場である。
なんか、感じるところありませんか?
つぶつぶ感が強いんですよ! これは挽き肉のミンサーの目がとても粗いのだろう。ちなみに挽き肉を作るミンサーのカッター出口にはこんなかんじのアタッチメントがついている。
左が極太の9.6mm。まずいちどこれにかたまり肉を通して、もう一度二度細かく挽いていって、製品になる。だが、たまに一度目の9.6mmでくれというお客さんもいる。いわゆる超粗挽きですね。こんな感じ↓
おそらくここの挽き肉もそんなかんじ。
これがですね、なかなか滋味深いのです。子供向けに作っただけあって甘め、和風なイメージでスパイス感は弱めなんだけど、ホッとする味だ。卵との相性抜群。とおもいきや、極粗挽きゆえ、ときおりスジの部分がビャキッと歯ごたえとして迫ってくる。
「そのスジの食感とかをお子さんが楽しんでくれたらいいなと思って。柔らかいものばかり食べてますからね」
ああ、それはいい趣向だ!
そして、これがメインのスープカレー(温玉&チキントッピング)!
おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ
これは旨そうな、実にうまそうなプレゼンテーション!
多めのドーム状ご飯をきちんと食べきる推進力たりうるルーの量である。最近、カレールーをケチる店が多い(本当にそういう店は嫌いです)なか、高知らしいお得感満載だ!
サラリとしたその見た目に、味わいもあっさりめなんだろうな、とアタリをつけつつ口へ運ぶ。
と、、、
旨い!
スパイスがばしばしっと効いてるというのではなく、じんわり効く加減。チキンストックベースだろうが、じつに好感度の高い自然なうま味十二分にあり。タマネギ量も多し、ケチってない。ルーだけでも、じんわり美味しく食べられるだろう。ガッツリ系は味玉の追加とチキントッピングがマストになると思うが、その両トッピングの完成度も実に高く、おかずとしてきちんと成立している。
こ、これを本当に独学で、自己流でつくりあげたのか!?
思わず隣に座るT氏と顔を見合わせてしまった!
「お、おいしいですよ、これ、、、」
ちょっと、名店デリーのカレーに共通する味わいが隠れているような、、、
「あっ それ私もそう思いました」
ということで、「ねえねえ、上野のデリーっていう名店、いったことあるでしょ?」と聴くと、、、
「いえいえ、東京なんて行けませんから。有名店といわれるところ、ほとんど行ったことないです」
えええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ
あんたスゴい人なんじゃないの!? えらく完成度の高いカレーだよこれ!
T氏、思わず自分のカレー作り光景を二人にみせるなり。
「いいっすねぇ、月替わりカレーとして出しませんか?(笑)」
おおっ それいいよ!実現して欲しいなあ。
ぼくらが食べ始めたあたりで、つぎつぎと店にお客さんが入ってきて、賑やかに。そのほとんどが常連さん、もしくはK君の友人という感じ。そう、K君は料理関係の空気がほとんどなくて(いい意味です)、ゆるやかに人が入って気安い雰囲気を醸成している。
そんな彼がこんなに本格的で、美味しいカレーを出すので本当にびっくりした。
さて、、、
ここまでみてくれた諸兄におかれましては、ちょっと気になるヴィジュアルがあったことと思います。
そう!
なーんか、可愛い子が働いてるんですよ。この方、君の奥様?
「いえいえ、バイトしてもらってるんですよ。嫁は観葉植物の仕事してて、あのへんの鉢物はぜんぶ嫁さんのセレクトで、だからHACHIYAって名前だったりするんですけど、、、」
へええ なるほど と思いつつ、俺はもうバイトのユウカちゃんしか視界に入っていません。
申し訳ないんだけど、ちょっとこっち出てきてくれるかなとお願いしたら、気前よくポーズしてくれました。
可愛い! こんな子が居るならライティング機材もってくればよかったよ、、、
おれは、再訪することに決めました(笑)
「あーでもユウカちゃんは不定勤ですので」
ということなので、行って居なくても俺の責任ではありませんョ。
まあそれはともかく。HACHIYAカレーはいまの高知で(正確には南国市ですが)、暫定的にですが、ナンバーワンのカレーと言えるのではないかということに、帰りの車でT氏と合意をみたのでありました。次回、再訪してまた冷静な眼で味わい、評価を固定したいと思います。
高知に旨いカレーがないとお嘆きの方はぜひ寄ってみて!でも外観はそれとはわかりにくいんで、間違いないように!