そーなんである。高知市で一番食欲をそそる、暴力的なまでにあか牛のぶつ切り肉がゴロゴロゴロゴロゴロと入った「野獣カレー」はもう食べられません。なぜならそれを出す焼肉「桜館」のご主人がとある事情でお店を閉めてしまったから。実は週刊フライデーで「感動の出張メシ」の連載をしていた時、掲載しようと撮影をさせてもらってはいたのだ。その直後にそのある事情が発生して、お蔵入りになってしまった。
あ、知らない人もいるかもしれない。野獣カレーとはこれですね↓
この凶悪な野獣カレーは高知のカレーシーンから消えてしまったのだ。いつかまた復活してほしいなあ。
で、ガッカリしていても仕方が無い。高知の旨いカレーを探せ!なんていったって、今年の僕の土佐あかうしプロジェクトの高知側担当者は、カレーが大好きで大好きで大好きでたまらなくて、自分で手の込んだカレーを造る超名人・T石さんなのだ。
この人、ただものではありません。東京に来たときに、僕が大好きな新川デリーに連れて行き、コルマカレーを食べさせた後、高知からタッパーに冷凍にしたカレーが送られてきた。「自分なりに分析して造ってみました」というそれを食べてみたところ、ぶったまげてしまった!すさまじく美味しい! デリーの味そのものではないけれども、その文法というかイディオムを理解した上で自分流にアレンジした味?
そのT石氏が言うのだ。
「なんか最近スランプなんですよ、、、どんな方向のカレーを作ればいいのかわからなくて、、、」
なにをいってるんだ!君には、土佐あかうしを使った美味しいレトルトカレー商品を造るという崇高なミッションがあるではないか!といっても、なんか奮い立たないようなのだ。
カレーの悩みはカレーで解決。
ということで、市内で旨いと思うカレーをとりあえず食べよう!と向かったのが、高知のガテン系が愛する「鳥心」。以前もここで採り上げたが、チキン南蛮を名物とする店である。
今回、開店前から並びました(笑)11時の開店時間になると一気に人が押し寄せて、すぐに満員になるのだ。
定番はチキンナンバン定食または酢ダレ定食。しかしこの上段いちばん左にチキンカレー(辛口インドカレー)と書かれているのが見えるだろうか。これ、ふつうはあまり注文されないケースが多いメニューなのである。高知の誰にきいても「え、あのインドカレー?頼んだことない」というのだ。
実はこの店、ご飯の盛りとおかずの量が半端ない。だから「チキンナンバン定食にインドカレーもネ」と頼みにくいのだ。
しかーし!
二人以上いれば恐れることはない!
「チキンナンバン定食と唐揚げ定食、それとインドカレー!」
と注文すると、おねーさんが「あのー、ご飯の量がすごいことになりますけど、大丈夫ですか?」と。はい、大丈夫ですと押し切りましょう。
まずはスープが運ばれ、、、
唐揚げでかいの5個。
でっかい胸肉一枚を揚げたチキンナンバン。
高知のチキンナンバンはモモ肉で、上にオーロラソースがかかってくるのが特徴だ。
さあそしてチキンカレーだ!
これがですね、実にインドカレーなんですよ。油の色、浮き方を観てもわかるでしょう?T石氏も二度目くらいで、以前に食べたのもずっと前と言うことで「おっ」と声を揚げていた。
「この油、スッキリしていてあとに残りません。いい感じだなぁ、味と香りはちゃんとあるのに、素直なので重くならない食後感です。美味しいですね!」
そう、ベーシックな味わいながらも、実に美味しいカレーなのだ。
ただこれがチキンナンバンとおなじ950円(ミニサラダ付き)というのはちょっと高知的には不服に思う人もいるかもしれない。俺的には、チキンナンバン定食ご飯大盛りに、このルーだけ600円で追加できればいいのだが、と思ってしまう。
ともあれ、実にさい先のよいカレー詣でができた。予告しておくが翌日、すごいカレー屋を発見することとなる。キープインタッチでよろしく。