やまけんの出張食い倒れ日記

土佐あかうしの聖地・嶺北(れいほく)に素晴らしきイタリアンが誕生していた!家畜市場や農家を廻った後はぜひオンベリーコで美味しい料理を食べるべし。この地域では農協が繁殖センターを作って土佐あかうしの頭数を増やす尊い努力をしている!

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それでは高知に行って参ります。で、ラウンジで思い出してしまったのだ。そうだそうだ書き忘れていた! 前回、土佐あかうしの産地である嶺北一帯を廻ったときに、素晴らしき店を訪れたことを!

その店は、前にもレビューした地域スーパー「末広」の隣にある。

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スーパー末広は、土佐あかうしの肉みそおにぎりという素晴らしい商品を製造・販売している地域スーパーだ。

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その谷脇社長ご夫妻も「となりにねぇ、いい店ができたんですよ、寄っていって下さい。あ、これからいくの?それはよかった!」といってくれていた。

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その末広のエントランスを出てすぐ横に、、、

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オンベリーコがあるのだ!

この日はいったん、肉みそおにぎりを買ってから山の上に移動。

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じつはここに、これからの土佐あかうしを支えるすごい施設ができたのだ。それは、農協出資で作られた土佐あかうしの繁殖センター。

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いま、全国で牛肉ブームなのにもかかわらず、肉牛のもととなる子牛を生産する繁殖農家の数が減少している。毎年減少していたが、それにここ数年で拍車がかかっている。

ふつうなら「え、儲かってるのになんで?」と疑問をもつところだろう。繁殖農家さんは大規模産地を除けばどこでも、5頭~10頭程度の母牛をもち、ほそぼそと経営を続けてきた高齢な農家が多い。

あ、ちょうどいたいた、土佐のジュリーさんこと、さわだけんじさんだ。

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だいたいこんな感じで数頭の母牛を飼い、可愛がり、子を産ませて市場に出荷するというのが繁殖農家さんである。もちろんそうとう現代化した繁殖経営だってあるけれども、高知ではこんな感じ。

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その人たちがここ数年の子牛バブルの影響で儲かって考えたのは「そうだ、いいところで辞めよう」ということなのだ。

いま辞めれば、残った借金とかを綺麗に精算してあとくされもなく辞められる。息子も娘も町に出て帰ってこないしねぇ、ということだ。これが全国的な流れとなって、子牛が供給されずに肉牛が減っているのである。

そうすると子牛市場が高騰し、肥育農家がこれまで30万円で買えていた子牛が60万に、いや80万にというようにうなぎ登りになっていく。仕入が倍になったから売値も倍になるかと思えば、そうはいかない。肉の買い手は消費者がどこまで出せるかを考えて買うのだから、原価積み上げ方式で価格が決まるわけではないのだ。

これからしばらくのうちの起こるのは、牛肉バブルの終焉だ。その兆しはすでに見えているのだが、それはまた今度。

で、産地としては子牛を増やさないとなんともならない。けど、新規就農しようという人達が、そのへんで5~10頭規模の小さな牛舎を譲り受けたとしても、喰っていけない。先人たちは地方で安い生活コストの中で活きる術をもっていたからいままでやってこられたのであって、新たに地域に入って一から生活インフラを立ち上げようとする新規就農者には、どうしても初期コストがかかってしまう。

しかも繁殖経営というのはすぐにお金が入ってこない。母牛となるメス牛(これがいま高い)を導入して妊娠可能になるまでおよそ一年。そこで種をつけて出産までもう一年。生まれたら半年健やかに育てて、市場に出してようやく現金化。いまなら新規就農者への資金援助の制度があるからやれないこともあるが、基本的には資金力が無いとやっていけない仕事なのだ。

そこで、高知は頑張った。それも農協が頑張って、150頭規模の母牛を導入した繁殖センターを作ったのだ。こういうところで資金を投入できるのはやっぱり農協なのだ。農協が金融事業を行って儲かって、余力があるからこういうことができる。一般の金融だとそんな息の長い話しに投資なんかしてくれないだろう。農協が金融サービスをやるのは本筋でないから解体してしまえといっているやつらは、農協が農業むけの役場と銀行として機能していることをしってて言っているから、たちが悪い。

ということで、高知県では例外的に、というか全国の肉牛産地のなかでほぼ唯一といっていいほど、頭数とくに土佐あかうしの頭数が減少から増加に転じたのだ(昨年より)。これから土佐あかうしの快進撃がまた始まる。

さて、山から下りまして、さきほどのオンベリーコへ。

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お手軽なランチコースもあるが、夜のメニューを見るとじつにじつに本格的なイタリアン。こんなカントリーサイドの(ていうか田舎の)立地だと、どうしても地元客におもねって安易な構成になりがちだが、とても頑張っているのが伝わる。

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ちなみにこの日はメニューに縛られないスペシャルコースをお願いした。たしか2500円だったかな?ので、こういうのを昼に食べたい人は事前連絡で要相談ということで!

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高知は野菜も美味しいのですよ、特にトマトが。そこに生ハムと、自家製ハムまで盛り込まれていて、野菜もイタリアのように「勝手に味付けてね」方式ではなく素敵なソースが。

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いやここ美味しいわ、、、

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きけばシェフ、この店の前は、あの「まるでエーゲ海のような」という形容詞がまさに合うレストラン、ヴィラ・サントリーニで腕を振るっていたという。そうかそうだったか!

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カボチャのスープも手抜き無し、美味しいです。

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さて、セコンドはもちろん土佐あかうしであります。

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みごとな火入れ、ウチモモだったかな?とても美味しい!

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しかしシェフの真価はここから。自家製フェットチーネのボロネーズ。もちろん肉は土佐あかうしのラグー。

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うまし! トスカーナ修行をしていたそうで、手打ちパスタもそちらの影響が濃いわけだ。あまりに旨かったのでシェフにもう一皿、今度は乾麺をリクエスト。

「おれ、アマトリチャーナが食べたいな、乾麺で」

と言ったら、

「うちのアマトリチャーナは、タマネギは使わずグアンチャーレとトマトだけで仕上げるんですが」

もちろんそれでお願いします!

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あのですね!

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最高! アマトリチャーナの神髄だなこれは!シンプルな材料ゆえに冴える素材感、一体感!甘くないのがよい。いや美味しいねホント!

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ドルチェにも一切手抜きがありません。
いやー こんな短時間のランチじゃなくて、夜がっつり行きたいぜ!

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ということで、もし苓北地区を訪れるならば、スーパー末広で買い物してからオンベリーコでご飯を食べるという流れに決定だ。心からお薦めできる店である。