やまけんの出張食い倒れ日記

明日大分に行くはずだったが、残念ながら中止。そして、日本人はプチ食料危機に面しているのかもしれない。

いや本当に残念でたまらない。うちが事務局を務める青果物の研究会において、4・5日と大分の安心院~臼杵の視察ツアーを予定していたのだ。有機ベビーリーフの生産法人といいちこの酒造、そして臼木のフグを愉しみつつ、市が進める堆肥センターと黄カボス圃場を廻る予定だった。本日は早朝に起きて気象情報をいろいろ分析していたが、どうやっても日程中に直撃を免れず、中止を決定した次第。残念だ、、、

それにしても、今回の台風は臼杵市あたりでは史上まれにみる風速になりそうとのことで、山林所有者の間ではかなり警戒しなければならない状況となっている。とくに完熟カボスはこれからが収獲シーズンなので、落果が大変なことになるだろう。それだけではなく、露地物の葉野菜のダメージが心配だ。

ここしばらく、スーパー店等でレタスの棚をみると、かわいそうにしおれた、小さな球が250円くらいで売られていて「おおっ」と声を揚げてしまう状況が続いているが、しばらく好転する気配はありません。産地はもう大変な状況でやっているし、出荷するものすらない産地も多いので、これは仕方が無い。

こういう状況が来年には解消していることを祈るばかりだが、さてどうだろうか。来年は台風が来ない、と誰が言えるのか、とても怖いなあと思う。状況としてはプチ食料危機といってよいかもしれない。

まあしかしこういう時に「温暖化の影響で」というと、必ず「マクロな視点から見えれば短期的な変動なので、温暖化とは言えない」ととても冷静に言われたりするのだけれども、あれ、どんなつもりで言ってるんでしょうね。天候によって大きな影響が出る第一次産業にとっては短期的な変動こそが大事であり、いま目の前起こっているのは明らかな温暖化なんだよね。

だって、サクランボ(桜桃)の産地である山形県天童市のある生産者が、北海道の富良野に大規模に土地を買っていると聞いたのが10何年前。そして実際いまでは、北海道でよいサクランボがとれている。産地が北へ移動しているのは事実だ。またいくつかの果樹や野菜品目では、気温上昇によって病害虫の発生率が上昇していて、これまで通りの対応では間に合わないという声も聞こえる。

北海道や岩手の台風害は、予想外のものだった。つまり、これからの日本では「これまで通り」という言葉が通じなくなるかも知れない。その際にいのいちばんに被害を受けるのは、天候によって左右される食料生産だ。高齢ゆえの離農者が毎年増えているけれども、これからは「まだ体力的にはやれるけど、経営的にもうやれん」という人が減っていくだろう。それで、抜けた穴を新しい担い手が埋められればよいのだけれどもネ。

先進国でも身近に食料危機を感じるようになるかもしれない。いや、日本人は本当に危機を感じた方がいいと思うのだけれどもね。