お付き合いしている某県の試験研究機関で、興味深い試験をしているというので、しつこいおねだりをして試験用肉を分けていただいた。まだ試験中で結果もでていないので、どこの県でどんな試験なのかは内緒。
黒毛の経産牛なので赤身部分の色はもちろん濃い。
切り落としなのでバラやカブリの部分はご覧のようなサシがはいっているものの、全体的には穏やかな霜降り。若干、サシの色は黄色に傾いているものの、一般にも美味しそうに見えるレベルだと思う。
とりあえず数片はフライパンで焼いて塩のみでいただく。脂が少なかったので、クセのないマルホンの太白胡麻油で焼き色をつけていただく。
焼いている時に立ちのぼる香りはとても美味しそう。深みのある香り。食べてみると、意外に赤身部分はあっさりしています。経産牛は赤身肉部分に濃ゆい香りがあるものだけれども、そこがやや穏やか。
脂質に関しては、やはり平茂勝と気高が入ってるなー---!というギンッとくる脂質でした。でも、嫌な感じはそれほど強くはない。
全体的なイメージとしては、黒毛の経産にしては淡白な感じだ。もしかして飼料米が多めですかね? 僕が二戸で育ててもらってる短角で、以前に飼料米を飼料の1割以上与えていたときの味わいが、けっこう脂は強く赤身の風味は抑えめになるので、もしかしたらと思った。
残りはすき焼きに。もちろん、ゴボウのささがきとダイコンの短冊切りを入れた瀬戸内風に。これがとても美味しかった。つまり王道の黒毛の味わいの、すこし淡麗な感じという印象だ。
ちなみに僕は、汁の多いすき焼き鍋に肉をいれて「茹でた」すき焼きが好きじゃないので、あらかじめすき焼き鍋に入れる肉を片面だけ焼き付けて、焼き色をつけて脂を落とします。焼いた肉は取り置いて、出た脂と肉の切れ端をおいたまま野菜を焼いて、砂糖と酒と醤油を入れて、そこに肉を戻していく方式。
個人的には経産牛は赤身の香りがブンブンしているのが好きなのだが、これはこれで食べやすくて美味しい。
感想を伝えると、答え合わせが。やはり飼料米給餌量はやや多め。ただ、この実験の肝はそこではなくて、餌自体の処理方法であった。うーんなるほど、どんな作用があるのだろうね、これからも注視していきたい。