ご存じの方も多いかと思いますが、弊社グッドテーブルズの現・片腕は料理記者歴10年のライター&編集者でもあります。個人でも仕事をしていて、そのひとつが読売新聞夕刊に連載している「ぶらり食記」。昨日の夕刊生活面に掲載されたのを読んだ方もいるかもしれませぬな。
いつもネタ探しをしているそのKより「お願いしますっ 超・美味しいフライを食べていただけるということで、撮影をしてくれませんか?」という依頼が。会社の仕事でも何でも無い、彼女の仕事でタダで撮影しろということであった。むむ、おぬし、そんなことをこの私が受けるとでも、、、受けちゃうよっ だって美味しいんでしょ?
どんな店か聞いて驚いた。なんとあの赤坂フリッツで働いていた若手シェフが独立して開いた店で、あのフリッツの看板を継承しているという(チェーンというわけではない)。赤坂フリッツといえば、かの旬香亭グループの斉藤シェフが開いた洋食の名店だ。とんかつを極低温の油でじんわり火入れし、絶妙な火入れの段階で取り出して余熱で火を通し、カットして出してくれる。多くのトンカツ専門店が、豚肉を火入れと共に脱水して出してくるのに対して、水分がしっとりのこった、独特の味わいのトンカツだった。それに、あのデザートに出てくる、エスプーマを使ったメロンソーダ。初めて食べた時のことは忘れられない。
その旬香亭グループで働いていた田苗見(たなみ)シェフが独立して、春日駅から歩いて5分程度の町に小体な店を出したというのだ。それはいってみずばなるまい!
■洋食・ワイン フリッツ
東京都文京区小石川2-25-16
おお、確かにこの看板! どこに店が?と思うかも知れないが、駐車場のようなスペース右側にらせん階段があって、二階に上ったところがフリッツ店舗となっている。
このとおり小さな店だから、ランチとディナータイム賑わっていることだろう。
撮影は、まずは店名に敬意を表してフリットから。クリームコロッケとエビフライがイケルという。
OM-D E-M1+ZD50mmf2.0
みよこのパン粉の切れ上がり方!
また付け合わせの卵サラダ(タルタルソースではない!)と塩。これが、田苗見シェフの供し方である。
そのクリームコロッケの断面をみて欲しい。
ほれこの通り、団粒構造となったベシャメルのつややかさ、そしてやや黄色みを帯びたクリーム感、実にうまそうでありましょう!?これがね、本当に、実際に、旨い!
じつはこのときKは、ヒレカツサンドは頼まないつもりだったという。
「ほんとうは、ヒレカツサンドが超絶に美味しいんです。けれども、私の写真の腕だと美味しさが伝わらないかと思ったので、エビフライとクリームコロッケをお願いしました。けど、やまけんさんが撮ってくれるなら、ヒレカツサンドもお願いしてみようかと思うんです。」
なんだよそういうことか。美味しく撮れるかわからないけどやってみよう。で、なにがポイントなんだい?
「ヒレカツもあのフリッツ伝統の絶妙な火入れで揚げられます。それをカットして、席に来た瞬間をみると、肉の表面にうっすら肉汁が染み出ているんですね。それがもう美味しそうで素晴らしいんです!」
おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
それは撮ってみたい! ということでチャレンジしたのです!
みえますか!? 表面にうっすら滲み出てきた肉汁がっ!!!!!
いやもうこのヒレカツサンドの美味しいこと美味しいこと!
できたてではなく干して水分を抜いた食パンを使い、肉にパンチを与える濃い味わいのソースが極細切りのキャベツとともにカツに絡みついているのに、衣のカリ感が生きている。テイクアウトもできるそうだけど、これはできたてホヤホヤの湯気が上がっているもの、いや肉汁が染み出ている状態のをそのままバクリと食べるべきだ!
ちなみにしばし後のカットでは、もうすぐにこの肉汁が肉に戻って言ってしまっているのが見て取れる。
肉汁が戻ったことで、肉の表面のディティールが先の写真よりハッキリ見えることから、肉汁の不在がわかるのだ。ううむ、なんとはかなきことだろうか。
Kによれば田苗見シェフ、イケメンだそうです。イケメンで料理も最高。そんなやつ嫉妬しちゃいそうだけど、美味しいから許します。
この充実のメニューをかたっぱしから攻めていきたい。いや、行こうと思います。
田苗見シェフ、ごちそうさまでした。 シェフのインタビューも含めKの記事が読みたい人はぜひ、昨日の読売夕刊をご覧下さい。
ちなみに撮影終了後、小石川植物園にてしばし緑に包まれたのでありました。
ちなみに、今回の撮影はOLYMPUSのE-M1だけど、マイクロフォーサーズ用のMZDレンズではなくて、一眼レフカメラ時代にでたレンズであるZD50mmf2.0で撮った。MZDシリーズでは、プロ用レンズである12-40mmf2.8がかなり接写できるので、標準領域のマクロレンズの必要が意外となくなった。でも、料理撮影の場合はやはり90mm以上の長いレンズも欲しい。ということで、この50mmf2.0はまだとってあって、このような仕事の場合はマウントアダプターをつけて活躍するのであります。
OLYMPUS 大口径中望遠マクロレンズ ZUIKO DIGITAL ED 50mm F2.0 Macro | |
オリンパス 2003-10-10 売り上げランキング : 78003 Amazonで詳しく見るby G-Tools |