sd Quattro 18-35mmf1.8
新潟県長岡市のカネヘイ青果・神保君より、長岡巾着茄子が届いた。新潟県はナスの生産量は全国トップクラスなのに、市場への出荷量はベストテンにも入らない。なぜか?それは新潟県民がナス好きで、ほとんど地元で食べてしまうからだという。たしかに8年ほど前の市場統計を調べたらそうと言える内容だったので、ほんとうに驚いたものだ。
その新潟県の、ことに中越地方のナス好きが夏の間たべるのが長岡巾着茄子だ。巾着袋を絞ったような形状になるのは、先に挙げた過去ログや、いま発売中の週刊現代の号での連載「奇跡の食材」をみていただければばっちり写真にあるとおり。この長岡巾着茄子、通常のナスよりも樹上にならせておく期間が長く、その分、みっしりと緻密な肉質になる。だから柔らかくジューシーなナスがほしい人には向かない。
では巾着を美味しく食べる方法は?といえば、僕的にはほぼ一択で蒸かしナスだ。作り方は、というのも気が引けるほど簡単。まずはピーラーで皮を剥く。
皮を剥かなくてもいいのだが、皮の味わいと身肉の味わいはことなるものなので、複雑になる。僕は、剥いた方が純粋にナスの味わいがあって、好きだ。
これを半分に割って、蒸籠などで蒸かす。レンジでチンはしたことがないので、美味しいかどうかわからない。やっぱり水蒸気もうもうで蒸かした方がいいでしょう。
竹串がスッと通るまで、とやると、15~20分くらいはたっぷりかかる。ふつうの千両ナスや長ナスだとそんなにはかからないので、どれだけこのナスの肉質がシッカリしているかがよくわかる。
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蒸かし上がったら、これを冷やす。きっと熱い状態でも美味しいのだろうけど、この蒸かしナスは冷やして食べることが圧倒的に多いようだ。夏の食べ物ですからね。
これを刺身のように切って、カラシ醤油でいただく。なんとシンプル!ここでカラシ醤油なのがポイント。長岡ではショウガ醤油でいただく人も多いらしいが、僕はカラシ醤油が美味しいと思うなあ。
樹上で成りの期間が長いため、ご覧のようにしっかりと種ができ心室数が多くなる。それがトロリとした肉質につながっている様な気がする。そして、身肉は他のナスでは味わうことができない滑らかな食感。ほかの柔らかいナスだと溶けてしまうのでこうはならないのだ。そして、生で囓ってもまったく感じられないが、蒸かすと甘い。カラシ醤油のツンとくる刺激と相まって、やみつきになる。
この長岡巾着茄子、ちょっと嬉しいことにお盆を過ぎると価格がドンと下がる。お盆近辺では長岡に里帰りしてくる人達が多く、巾着茄子もバンバン売れるので最も高くなるのだ。しかしそこを越すと、みな夏の間にさんざん食べたのか飽きてくるらしいのだ。
気になる人は、長岡の伝統野菜に強い仲卸であるカネヘイ青果の神保君(kaneheiseika@outlook.jp)に連絡して、買ってみて欲しい。ある時と無い時があるけど、枝豆の目利きでもある。一緒にお任せで頼むのもよいかもしれない。
今発売中の週刊現代にも写真・文章を書いているので、ぜひお読み下さい。