秋田高原比内地鶏といえば、むかしから比内地鶏の生産者が使い続けてきた黎明社種鶏をいまも使い、地鶏肉のJAS規格の規定とは異なる飼い方ではあるが、味を追求した飼養管理をして支持されている鶏肉である。
ひさしぶりにその肉を一羽分買わせてもらった時に、「食べてみて下さい」と送ってくれたのが写真の「比内地鶏のインドカレー」である。
「地鶏」はそもそも、国産若鶏(ブロイラー)の4倍の価格がするものだ。なぜなら平均50日で出荷体重になるブロイラー品種とは違い、成長の遅い鶏の掛け合わせであることが多く、120~150日くらいまで飼うことが多い。単純似考えて餌代は3倍だ。しかも、平飼いで飼育密度も平米あたり十羽とゆったりした環境で育てるため、場所のコストもかかる。だから4倍になって当然なのだ。
でも、多くの人がスーパーの店頭では地鶏肉を買わない。それは3~4倍の価格だからだ。飲食店ならハレの日の感覚だから地鶏肉が選ばれるかもしれないが、、、
そんなわけだからいま全国の地鶏産地が、売上の減少に思い悩んでいる。食べれば圧倒的に地鶏のほうが美味しい(地鶏の品種や餌にもよるが)のだが、通常ならべて食べ比べはしないからね。
で、高原比内地鶏を生産する秋田高原フード社だが、あるとき「肉を売るだけではダメだ」と気づいたのだろう。その美味しさを識ってもらうためには、料理した形でも提案しなければ、ということを決断したのだ。その決断直後だったとおもうが、スーパーマーケットトレードショーだったか、アグリフードエキスポだったかで彼らが出展し、テーブルヒルズキッチンという惣菜の販売企画をはじめたということを知って「それはいい!」と手を叩いたものだ。
■テーブルヒルズキッチン http://table-hills.com/
ただ、そうはいっても、かなりのご馳走価格なのでしばらく遠ざかっていたのだが、、、今回、インドカレー送ってもらったのでさっそく食べてみた。そして心の底からビックリした!
ご覧の通りプラスチックバッグに入っているので湯で温めるだけだ。ササニシキを炊いてスタンバイ。
意外と量があって、それに驚いたのが、6きれの高原比内地鶏の肉が入っている!しかもモモ肉だぜこれは。
これ、もしかして高原比内地鶏のモモ一枚分ではないのかい?だとしたら計算に合わないよ、これ一包でたったの500円だろう!?生のモモ肉買うよりぜんぜんこっちのほうがお得じゃないのか!?
しかもこのカレー、すばらしく美味しい!
深く炒めた玉葱もたっぷりの味わいと香り、あとからじんわり効いてくるスパイス。そして地の味わいにはおそらく比内地鶏の肉から染み出るうま味も加わっているのだろう。ビックリするよこの本格的に、店で出して十分に通用する味わい。いやこれかなり真面目な飲食店でそのまんま出しても通用する味ですホント。
カレー好きなら買って食べてみた方がいい。
やっぱりね、デリーでもどこでも、さすがに地鶏を使うカレー専門店ってないわけですよ。だって気合いを入れてスクラッチでつくるカレーはそれだけで1000円以上になってしまう。そこに地鶏肉の価格が乗ったら、スゴイ事になってお客さんの値頃感の限界を超えてしまう。
しかしこの、生産者自身がやっている通販企画ならできるわけだ。うーん、これは感じ入った。このカレーばっかり頼んだら、もしかしたら彼らにとって損になるのではないか。そんな心配もするが、あまりにうまかったのでこれはお薦めであります。
やー カレーってほんとうに美味しいものですね。ホント。