先日、辻静雄食文化賞の会場で、久しぶりに顔を合わせた水野君。「カレー食べに行きましょうよ」ということになって、それならやっぱり店は水野君に選んでもらおうと。
「そうですね、僕も久しぶりに行きますけど、西麻布の嶮暮帰(けんぼっけ)なんてどうでしょう」
まったくもって異論無し!
あちゃー、まだ窓からの自然光が少し入ってきて、店内は蛍光灯と白熱灯が、それも色の違うのが複合的に使われている、写真撮るにはあまりいい環境ではありませんね。ということで、ホワイトバランスはあまり上手く合わせられませんが、、、
まずはタンドール料理でビールを一杯。
ここのタンドリーチキンは、鶏肉にかぶりつくと肉汁がジュッと溢れる、ジューシーな作り。
「ふつうインド料理では、もっとカラカラに水分が抜けた仕上げ方がよしとされるんですよね、しかも食紅きかせまくって。でもここのシェフは日本人好みに作ってくれるというか、、、ジューシーで、色もつけない。好きなんですよ」
マトン、というかラムのタンドール料理もとっても美味しい。うまいインド料理をつまみに、話題はカレーを巡る冒険譚に。
とくに、イギリスにおけるカレーの歴史の中で、彼が追いかけている「ブリティッシュカレーは絶滅し、アングロ・インドカレーに取って代わられた」論を、番長の至近で聴くことができるこの僥倖。
それにしても彼のカレーに対するスタンスは、たんに「カレーが美味しくて好き」というものではもうすでになくなっていて、ほとんど文化人類学と調理科学の間を往来する学究の徒という趣だ。
カレーは三種。ナスのカレーであるベイガンバラタ、マトンマサラ、チキンはなんだっけ?どれもリッチで程よいスパイシーさ。
うま味重視、食べているうちに少しずつ辛さが蓄積されて、ほんのり汗をかく、心地よさ。
ふたりともナンはとらず、サフランライスで。そう、おれナンよりもチャパティよりもご飯で食べるのが好きです。インド料理が好きなんじゃなくてカレーライスが好きなんでね。悪しからず。
シェフと話していたら、なんとこの店を始めてもう31年!シェフも65歳だという。ひとつの歴史だねぇ、と番長とため息をつく。おれら、まだまだです。
久しぶりにコッテリした北インドの味を十二分に堪能した。美味しかった!番長、またやりましょう。