今日は朝から白金にある八芳園に。辻静雄食文化賞の受賞式があったのだ。同賞は、辻静雄食文化財団が運営する賞で、僕も数年前まで一次選考の委員をしていた。ただ、「文化」の賞であることもあって、本として出版されたものやそれに類するものが選ばれることが多く、生産者とかにはあまりいかないのね、というのが残念でもあり、だんだん疎遠になっていた。
それが、数ヶ月前にある選考委員の方より「くまもとあか牛の井信行さんが最終選考に残った、でも井さんのことをしっているひとがほとんど周りに居ないので、ぜひレクチャーして欲しい」という連絡があり、いまの肉牛を巡る日本の状況や、その中で井さんがどのような立ち位置にあって、意義あることをしているかということを話した。
ちなみに井 信行さんは熊本県の阿蘇は産山村で、粗飼料や国産飼料を中心にあか牛を育てているグループの総元締め的な存在で、僕のブログでも紹介してきたし、また2010年から5回開催してきた赤肉サミットでは信行さんの牛を4回も使用させていただいている。信行さんにはもちろん受賞するだけの理由がある、と思う。
そしてしばらくたって、、、嬉しいことに受賞である。今年はなんとふとっぱらなことにダブル受賞で、もうひとかたはイスラムの食文化について書かれた「慈悲深き神の食卓 イスラムを「食」からみる」の著者の八木久美子さん。そしてもう一人が、くまもとあか牛の生産者である井信行さんが撮ることとなった。やったね信行さん!
しかも歴史的だなと思ったのは、選者のコメントとして「日本の牛肉は、与えられた餌の多くが外国産穀物。それを和牛と呼んで誇ることができるかという疑問がある」と言っていたことだ。そういう認識が、やっと日本でも形作られるようになった。
でも、信行さんが素晴らしいなぁと思ったのは、とつ、とつと受賞スピーチをされるなかで、こう言ったことだ。
「黒毛和牛のサシの入った、とろりと溶けるお肉も美味しいです。両方よいんです。」
あか牛生産者みずからがこういうことに意義があるんだよね。
さて、さすが辻グループ、関係者以外の列席者にも全員、シャンパングラスを回して(お金かかってる!)乾杯の音頭はなんと、昨年の専門技術者賞を受賞した、龍吟の山本征治ちゃん! ちなみにNARISAWAさん、ルマンジュトゥーの谷さんなども来ておられた。
彼が乾杯音頭を取るときになにをおもったか「わたしは井さんの肉を赤肉サミットで使ったことがありまして、とても美味しいことをしっています」と言い出すではないか。あとで「専門料理」の淀野編集長と「なんか、だれもがしってるイベントって感じでお話されてましたね」と笑い合ったのだけど(笑)あのイベント、マイナーだからね征治ちゃん。
カンパーイ!
ちなみに真ん中に居るのは、今年の専門技術者賞を受賞した米田HAJIMEシェフだ。
乾杯後、すぐに信行さんを囲む人垣が!
ほんとうによいことです。嬉しい余韻にひたりながらかえることとした。
それにしても久しぶりに受賞式に出たら、友人知人がたくさん。
なんで君が来てるんだよー、の東京カリー番長・水野君。
そして、「あまから手帖」の門上さん。
「やまけんさん、わたしもいまオリンパスのE-M1使ってるんですよ!」 マジですか!(笑) こんど大阪遊びに行きまーす。
外に出ると、灼熱の太陽の下ではあったけど、八芳園の庭をみていると涼がとれたのであった。
明日からは高知で、こんどは土佐あかうしの仕事してきまーす!