横浜駅東口が実に面白くなってきている。三浦半島の活きのいい魚を食べさせる「まるう商店」が裏路地に二店舗展開し、毎日予約で満杯状態に。その近くには、「なんでこの場所にこんな味の店が?」と驚くトラットリア・ビコローレ・横浜がある。そんなわけで最近、ほんとに横浜で西口に行かなくなってしまった。
さてそのビコローレの佐藤シェフが、満を持してソロ名義で本を出された!
イタリア料理のあたらしい教科書 佐藤 護 by G-Tools |
「教科書」である。いやしくも教科書と銘打つ本を出してよしとされるシェフには、前提条件があると思う。佐藤さんはまだ「大御所」的な立ち位置ではないが、では中御所か?といわれるとそれよりは確実に上!この店を出すとき、世の料理雑誌編集者の多くが「えっ 佐藤さんが店を出す!?」「最初の記事は僕に書かせて下さい!」といろめきたったほどの存在なのである(実際、そういうやりとりを観ました)。
この本、面白い。というのは、佐藤さんらしくふつうの教科書にはなってない。クラシコな、昔ながらの郷土料理としてのレシピが左ページに、右ページにはモダンな、佐藤護的解釈での料理が掲載されている。インボルティーニのクラシコとモダン。カルボナーラのクラシコとモダン、など。
それにしても、秘密出し過ぎ!
この店の名物料理である、タコのゼラチン質だけで固めたタコのテリーヌ、じつは多くの料理人が「これどうやって固めるの?」ときいてくる、難易度の高い料理なのだそうだ。
ふつうはタコをどうやっても、ソーセージのようにしっかりと固めることはできない。きかれても佐藤さん、「いや、できるよ」とはぐらかしていたそうだが(笑)、じつはしっかりと秘密があった。
その秘密が書かれちゃってるじゃん!
佐藤さん、いいのかよたった2800円でそんなの開示しちゃって!?
もちろん、手打ちパスタの作り方からパスタの茹で方、塩の入れ方なども、佐藤流が載ってます!
でもね、個人的に「まじでいいの?」と思ったのは、、、
これが載ってるってことですよ。ええ。
やまけんが勝手に決めた、佐藤護シェフのシグネチャーディッシュである、パンフォルテ風味のラグー!
どこでも食べられるミートソースを三次元だとすると、これは五次元ぐらいだという、立体的な香りと味わいを楽しめる逸品!そのレシピが載ってるんですよ、、、
まあでも、レシピがわかったところで、同じ味なんて作れないのだ。それはそうだ。でも、情報としてそれが手に入るなんて、なんて贅沢なんでしょう。
しかも、、、
写真は、あの大山裕平君である。柴田書店の社カメとして「専門料理」などの撮影をしてきた彼が数年前に独立し、dancyuなど料理雑誌かいわいでひっぱりだこになっているのだが、その彼が全写真を撮り下ろし。
そして編集は、大ヒット料理本を何冊も手がけている大沼聡子さんである。
ほんとうに素晴らしい本です。いつものイタリアンに飽きちゃった人はぜひこの本に載っているモダンなレシピを試してみて欲しい。きっと新しい世界が開けるはずだ!