いずれゆっくり書くけれども、札幌で北海道の肉をしっかり食べたいなら、カマラード・サッポロ(CAMARADE・SAPPORO)をお薦めする。
僕のひそかな自慢は、最近とみに有名になりつつあるエレゾ社の佐々木章太君が、料理メディアにひんぱんに登場するまえに彼と親しくなっていたことだったりする。だって2009年の夏だもん。そのときの彼はまだ工場を新しく立ち上げ、狩猟部・食肉加工部・流通部を3人で切り盛りする四苦八苦の時期だ。このころ彼は若かった(笑)
だってこんなだもん。
ここからすればすっかり貫禄がついたわけだけど、貫禄だけじゃなくて肝も据わり、人当たりも優しくなって、いい男になった!
さて今回は某誌の記事のために話しをたっぷりきいたのだが、その中身はまた誌面になってから。
カマラードサッポロは、札幌駅からすぐ近くで、しっかり美味しい肉を食べられる店だ。えー、ハッキリ言いまして、札幌駅周辺においしい肉を食べられる店は少ない。駅地下にあるサッポロ●ートギャングという店に入ったら、あまりに酷い味の肉をそこそこ高い値段で食べさせられてビックリしてしまった。それ「熟成肉」って書いてあったんだけど。いやホントあれはまずいね。
札幌駅の西口に出るなら、北大正門前に「味覚園」があるので、北見一番店の美味しいホルモンや焼肉を食べればよろしい。しかし西口周辺でどうしよう!?と思うならここだ。エレゾは十勝で漁師が打ったエゾシカやヒグマなどのジビエ、または自分達で長期に飼っている豚や羊に鴨に軍鶏、北大牧場からくる短角牛などなどをさばき、熟成して食肉に加工する。それを都内のそうそうたるレストランが購入し、メニューにオンリストさせている。
その肉やシャルキュトリーを食べられるのだから!
この日、「出せるお肉です」と出てきたのがコレ。
手前から十勝のジャージー牛、子牛、エレゾ社内で放牧している羊、エゾジカ、羊のモモ。
羊はサフォークで、ほぼマトンといえるくらいまで長期に放牧。草しか与えていないので、濃厚飼料を食べさせた羊とは違う。長期間飼っているのでバンもでかい。うまそうなので、羊とジャージー牛を焼いてもらうことにする。
焼けるまでの間、シャルキュトリ-盛り合わせ。
これすべて(バゲット以外)、十勝のエレゾで仕込んだシャルキュトリーだ。しかも他のシャルキュトリ-工房と違うのは、素材である。たとえばブーダンノワールのケーキ(前に載せたバナナ入り)に使われているのは、狩猟部門のスタッフが撃ってきたエゾシカの血なのである!よくある豚の凍結血液ではない!
それ以外の素材もすべて近隣の家畜であったり、メインとなる豚に至ってはすべて自分の敷地で放牧飼育したものだ。仕入れた肉ではないのである。
またこの会社の特徴は、精肉店出身の食肉加工職人ではなく、レストランの料理人が食肉加工職人になったという出自のスタッフが多いことだ。だから、味が違う。
と、待っている間に肉が焼けた!
サフォーク羊の肉のしっかりしたうま味と、いやなくさみのなさ。素晴らしい。
骨ぎわの脂の部分までしこしこ食べたが、最高である。そして同じ羊のモモ肉も。
1ヶ月近く熟成をかけているためか、組織が柔らかく、かといって心地よい噛みごたえは味わえ、これまた素晴らしい美味しさ。
そして、期待していたジャージー牛!
エレゾの熟成はあたりまえのように半身または大分割したパーツをむき身で吊しておくものだが、強い風をあてたりはしない、いわゆる「枯らし」である。真っ赤であっただろうジャージー種だが、サックリ切れる状態まで繊維が柔らかくなり、そしてほのかな熟成香が生まれている。うん、彼らはとくに「熟成肉」なんて言葉で修飾したりしないが、これぞよい熟成を施した肉。美味しいです。
しかも上の皿のドフィノワ(ジャガイモの薄切りと生クリームのグラタン」の美味しいこと、、、フレンチの素養ってこれですね。
もちろん、気に入ったシャルキュトリ-は買い求めることができる。
先日、お世話になっている美食家な歯医者さんが「学会でサッポロ来てるんですけど、美味しいランチ食べられる店ありますか?」というのでここを教えたら、あまりにうまいエゾジカにビックリして、なんと夜もここで食べたという報告があった。まあ、その価値ある店なんですよ。
ということで、ススキノまで行かなくても美味しい店あるよ、ということでした。
■カマラード サッポロ
お問い合わせ・ご予約 011-215-1180
〒060-0003 北海道札幌市中央区北3条西2丁目8 さっけんビル1F
-営業時間-
LUNCH 11:30~14:30(LO 14:00)
DINNER 17:30~22:30(LO 22:00)
-定休日-
日曜・月曜