福岡周辺の皆様ありがとう、25名定員だったのが、30名を超えて申し込みがあり、うち30人をなんとか店内に詰め込んで開催することが出来ました。嬉しいなあ、福岡でもこんなイベントできるんだと喜びが湧き起こった次第です。
昼の部(放牧牛のセミナー)から参加してくれた方も!
そして、先日も紹介した、もうすぐ博多にレストランを出店する白水さんと、奥に入るのはつい昨年まで神楽坂しゅうごの店長をしていた佐々木さん!このコンビで福岡に新たな風を吹き込むか!?
そして右奥に注目、東日本を代表する熟成肉焼き師カルネヤ高山君が、佐賀県のシェフツアーからよけいに一泊してきてくれた! それを目当てに島根からバスでやってきた女性二人(手前ね)は、島根県の肉牛担当者である。
生産者の井雅信さん(あの井信行さんの息子さんだ)が、なにを勘違いしたか昼の部がメインとおもっていたらしくて、30分しかいられなかった。それでもみんなの前でどんな育て方をしているかプレゼンして、お客さん達と話をして帰って行った。
アミューズはあか牛の小さなメンチカツ、奥はギアラとセンマイの春巻き。内臓肉も同じ放牧あか牛のものだ!これがアミューズとは思えないほど美味しい、パンチのある味わい。
こんかいのあか牛はとても意義深い育て方をしている。27ヶ月齢のうち最後の2ヶ月以外は放牧! 草しか食べてない。だから、
「最後の二ヶ月を牛舎で濃厚飼料を与えても、さいしょは嫌がって食べませんでした。慣れてないからですね。」
で、満足に濃厚飼料をたべたのは最後の一ヶ月。それもふつうなら一日10kgのところ、6キロ食べたか食べないか、くらいだという。だから、限りなくグラスフェッドに近い放牧あか牛なのだ。
ネックのポトフゼリー寄せラビゴットソース、とても美味しかった、、、
こちらは今回のあか牛の肉では無いけど、熟成肉の角切りを混ぜたモルタデッラ。
経産あか牛DABのサラミ、そしてタルタル(ちゃんと生肉sで食べられる処理済み)!
こいつはホールスクエア熊本の内村シェフが誇るスペシャリテ、村上農場の熟成ジャガイモのアイスクリームとあか牛コンソメのアフォガード。
これをこうするのだ!
ね、アフォガード風。
これ、マジで美味しいんです。それにあか牛のネックからとったコンソメの力強くスッキリした、雑味のない美味しさ!
そしてメイン!
放牧あか牛のロース、サンカクバラ、シンタマのステーキ。ドライエージングではなく通常熟成。
そのと畜日を見てびっくりした。なんと2月19日。って、ついこないだじゃん!2週間しか熟成してないの!?ふつうそんなのだったら味わいは薄くて、大して美味しいものではない。
でも、この放牧あか牛、とてもしっかりした味わいがあった。もちろんあと20日くらい置いておくと最上級になるだろうが、この状態でたべて、わずか2週間の熟成とは、だれも思わないだろう。
特に、普通の黒毛ならくどくて食べられないサンカクバラの脂も、すっきり水のように溶けていく。
今回の放牧あか牛、これまで僕が食べた中で最上の肉質だったと思う。いかに放牧経験が長くても、肥育後期に濃厚飼料を与えすぎると、穀物由来の独特のくどさが出てしまう。
でも、今回はそこまでいかない、程よいコクが乗る。だけとなった。
しかも、島根からきたアベさんが「いや、完全にいい意味で裏切られました。ほんとはもっと草臭くて、食べられるシロモノじゃ無いんじゃ無いかって思ってました。でもとっても美味しい!衝撃です」と言っていたのだ。
そう、グラス臭という言葉があるけど、それほんとグラス(草)の匂い?
草にもいろいろある。栄養価高いのもそうでないものも。ちなみに今回は肥育後期が秋冬だったので、草の状態はそれほど良くはない。それなのにこんな味わいになったのだ。みな、驚きまくり。生産者の井さんもだ。
さて今回は、なんとデセールにもあか牛を使っている!
「小豆羊羹と肉みそのガナッシュ、白餡クリームのエクレア」だ!
割ってみると、細切りしたようかんが2列?とおもったら、上の方の一本が肉味噌のガナッシュ!
でも、ご存じの通り味噌はお菓子に使うとコクが出る。そして肉も、お菓子のうま味を増幅させる具材になることは、シチリアを旅したとき、モディカの老舗チョコレート工房で食べた、牛の血と肉入りのチョコレートで識っているとおりだ!
みんな、興味津々、、、
そしてビックリ!
美味しい!
高山君、どう?
「美味しいっすよ~!」(いつもながら軽い!)
これに小菓子 カリカリに焼いた褐毛牛もも肉とロイヤルティーヌのロシェでコース終了!
いやー美味しかった。
うれしかったのは、色んなお客さんが来てくれたこと。赤肉サミットに参加して下さった精肉店の方が長崎から来てくれたり、糸島の醤油屋である「ミツル醤油」の城君が来てくれたり。
そうそう、城君がくるので、せっかくだからと内村シェフが、ミツル醤油の「生成り2012」を使ってくれた。冷製ポトフのラビゴットソースと、上の写真の小菓子のアクセントに、すこし入れてくれているのだ。
僕は、ネックの冷静ポトフ ラビゴットソースの美味しさが特に印象に残っている。と畜後2週間とは思えない味わいの深さを感じたからだ。
そのライフサイクル全体で、ほぼ放牧、ほとんど草しか食べていないといっても過言ではない、阿蘇は産山村のあか牛。これをもうすこし肥育期間を長くして、肥育後半は運動を制限して粗飼料だけで太らせて、750キロ以上の重量で出荷することができれば、熊本が本当に誇ることの出来るあか牛ができるのではないだろうか。
次回は、この放牧あか牛もドライエージングにかけて、北海道の短角牛とともに食べ喰らべる会をこのホールスクエア福岡で開催したいと思っている。会期はおそらく4月後半になるだろう。
実はその頃には、この店の一階上に、かのウルフギャングステーキハウスが開店しているはずだ。さて、成長ホルモンで身体を大きくした若齢の穀物ばかり食べさせたUSビーフのドライエージングと、日本で育った草をたっぷり食べたあか牛と短角牛のドライエージング。ぜひどちらも食べていただいて、比較して欲しいと思う。
ということで今週も疲れた。帰りまーす。