宮崎市田野町に冬の間だけくみ上げられる大根やぐら。漬け物用の大根を陽と風にあてて乾燥させるための、高さ15メートルにもなるやぐらだ。
0度以下になると凍結してしまい商品価値が著しく損なわれるため、外をブルーシートで覆い、内側でストーブを焚いて温めることもある。そうすると、内側からボワッと灯りが滲み出るような、幻想的な光景になるそうだ。
その様子を撮りたいとズッと思っていた。今回、その本格的な撮影のロケハンのような形で撮影テストが出来た。
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OLYMPUS E-M1 ライブコンポジット(比較明合成)を使って15分間撮影
実に不思議な写真にみえるだろう。空の星は軌跡を残し流れている。これは、カメラのシャッターを15分以上あけているからだ。
大根やぐらの骨組がうきあがり、内側から漏れている光があるが、じつはこんな光は存在していない。現地は街灯もなく真っ暗だ。左下のオレンジの光は駐車した車のヘッドライト。ではこの灯りは何かというと、シャッターを開いている間にぼくが歩いてストロボの光をあてたもの。この大根やぐらは80メートルくらいの長さだったので、歩きながら断続的にストロボを発光させた。
本当は星の軌跡をもっと長くしたいので、30分以上シャッターを開けっ放しにしておきたかったのだが、連れてきてくれた役場の方が凍えてしまいそうだったので、これくらいでやめておいた。来年は1時間以上の撮影をしようと思う。
ちなみに、現像してから気づいたのだが、画面中央に、どうみても星ではない赤い点々が横切っている。はて、これは?と思ったが、そうだ、飛行機だ!飛行機の尾翼灯のまたたきをしっかり捉えてしまったのだ。なんとも不自然な感じだが、まあ仕方が無い。
カメラはOLYMPUS E-M1。OLYMPUSのカメラにはこの「ライブコンポジット撮影」という機能を搭載している機種がいくつかあり、比較的簡単にこうした写真を撮ることができる。この機能は普通の長秒撮影ではなく、明るい部分だけを画像に足し合わせてくれる。つまり、星の移動はその軌跡が写るが、明るさの変わらない部分は画像に反映されない。だから、自分で塗り絵のように光を足していくことができる。非常に便利な機能だ。
その代わり、それまでいい感じで撮れていたのに、必要のない光を正面から当ててしまい、何分かの撮影が台無しになってしまうことも多々あった。この場所での撮影は実に2時間近くを費やした。そりゃ、寒くなるよね。僕はずっとストロボ片手に歩いていたので暑くなったけど。
この模様はまた詳しくお届けします。