2015年12月30日 from お取り寄せ,日本の畜産を考える
年末にいろんなところの牛肉をお願いしているんだけど、そのうちの一つがこれ。兵庫の但馬で牛飼いをしながら削蹄師としても活動している田中一馬君の放牧黒毛和牛だ。
黒毛和牛を放牧で育てるというのは、母牛に関しては但馬地方で昔からやっていたこと。そして、出荷する仔牛ではなく、10産以上も子を産んでくれた母牛を、地元の人達は最後、肉にしてありがたくいただいていた。その時のことを訊ねると、みなきまって
「あの頃の肉には香りがあった」
というのだ。その香りとは、おそらく去勢牛や処女牛には生まれ得ないものだと思う。
その経産牛を、しかも放牧で育てた肉を食べようとすると、あまり選択肢が無い。一馬君のところは貴重なその一つ。
バラ焼肉用とサーロイン二枚、そしてカレー用にアキレス腱を買い求めた。
それにしても、放牧でしかも草を与えて育てた牛は、実に肉の量が少ない。通常の黒毛サーロインの1/2といったところだろうか。でも、先日掲載した、愛媛県の山本牧場の牛の肉とちょっと違うのは、それでも細かなサシが入っていることだ。
これはやはり純血の但馬牛の血統からくる性質だろう。そして、経産のしかも牧草肥育の脂なら、僕は大歓迎なのである。
解凍に失敗しないように気をつけて食べようっと。
このWebはいわゆるグルメではありません。味や価格だけではない「よい食事」とは何かを追求するためにひたすら食い倒れる記録です。私の嗜好に合う人しか楽しめないと思いますがあしからず。
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