仕事の話しもきっちりして、さて夕食会場へと移動。その前に、ちょっと夜店が建ち並ぶところを歩いてみましょう、と。
まだ陽が落ちてないくらいなので、夜店の準備が始まるくらいな感じだが、雰囲気は十分に味わうことができた。
占い師がズラリと並ぶ有名な通りを歩く。「当たり外れがあるんですよ、、、」と案内人が教えてくれるが、はたしてどの人があたりなのか!
ここがくだんの夜店街。たしかにちょっといかがわしいかんじのパチ物が並んでいる。けど愉しい!
町歩きを堪能したあと、地下鉄で数駅走って、有名店の「北京楼」へ。ビルの中にあって本店ではないと思うけど、ここは香港でも裕福な人しかこない店だそうだ。
この店の前にワインショップがあってふらりとみたのだが、ワイン好きな同行者が「意外と安い!それにいいものがある、、、」と唸っていた。やはり中国本土からの爆買い客がいるので、いいワインも揃っているのだろう。
北京楼のお味は、日本人にとても優しい広東料理という感じで、食べやすくよかった。
鴨肉の燻製、蒸しナス添え。
大きく外れることはないが無難にまとめたという感じ。日本人がまったく違和感なく楽しめますね。
鶏肉の胡麻唐辛子風味の蒸し物
これは日本ではそうそう提供できないだろうと思ったのは、アヒルの舌のマスタード和えという料理。
ほら、これ牛タンの縮小版みたい。
なぜ日本ではできないだろうといってるかというと、帰ってから知ったのだけどもこの店は北京ダックが名物。それように大量にアヒルを仕入れているから、タンを抜いて一皿に仕立てることができるのだろう。
そういえば三田の「桃の木」でアヒルの舌料理を食べたことがあるけど、パリッと揚げてある感じだったので、印象は全然ちがう。味よりもクニョクニョする食感が脳に来る。味や香りは至って落ち着いていて、牛タンのような肉肉しい感じではない。より内臓っぽい印象だ。
このスープが実に素晴らしかった!松茸、魚の浮き袋、アキレス腱、干しナマコなどさまざまな干貨が入ったのを数時間蒸してとったであろう上等なスープ。
こういう時にあたる、丁寧につくられた中国のスープは本当に美味しい! この日は、せっかくだから日本ではあまり受けないだろう料理を頼んでみたので、いろいろチャレンジングだった。
例えばこいつは、大きなエビに卵白の衣をつけてかりっと揚げたものに、卵の塩漬けの黄身をまぶしたもの!
そう、いわゆる塩卵の黄身。
これがまた食べたことのない味。タイ料理でも同じようなのがあるけど、もっと魚醤とかいろいろ使うけど、ここの料理はもっとリーンな感じでシンプルだ。
それと、香港人と日本人の好みの違いというか、感覚の違いを感じた料理がこれ。
鶏肉の唐揚げにレモンソースをかけるもの。よくありそう、と思えるけれども、手前のレモンソースがまったく日本のそれと違う。
なんというか、甘い! それもデザートに出てきそうな味で、カスタードの風味もする。日本ならレモンを効かせても塩味などでしっかりおかず風味にするところだろうけど、本当にお菓子のような味わいなのだ。なるほど、香港の人はこういうのが好きなのかと思った次第。
味覚は慣れが大きいので、美味しい不味いではない。彼らはこういうものを食べ付けて、美味しいと思う感覚を身につけている。その文化的差違が面白い!
白身魚の麻辣風味の煮込み。これは日本でも出会う味で、美味しかった!ただし、油が多くて、ちょっと腹に来た。
そしてこれも日本との違いを知りたかった回鍋肉。
むむむ、やはり甘みが強い。甜麺醤はもともと甘いけど、もっと甘い!
そうそう、この店は店内で麺点師が手延べ麺をつくってくれる。これの焼きそばがまた美味しい!
そして、卵白と干し貝柱のチャーハン。
いつも思うことだが、中華圏で食べる青菜、このチャーハンのはチンゲンサイだと思うけど、それがとても食感が強く、日本のはんなりした柔らかさとはまったく違う。だから、強火で炒めるんだね。
このチャーハン、化学調味料の味がまったくしなくて、超好感。全体的に淡い塩味にギリギリのうま味、日本の大衆中華とは大違いの上品さだった。もちろん大衆中華のバッキーン!と濃いうま味一辺倒の破壊力もいいんだけど、こういう上品な料理を美味しいと思う人達がいるというのは間違いなく素敵だ。
という、気づきの多い夕餉。
と、帰ってからこの店のことを調べたらなんと!北京ダックはマストイートだったらしい、、、うーん残念、食べておくべきであった~!