嫁さんから「バレンタインに何が欲しい?」と言われたので、ユーハイムのバウムクーヘンがいいとお願いしたところ、数日遅れて机の上にユーハイムの箱が載っていた。なによりのご馳走です。
僕の父と祖父はどちらも三越に勤めた。僕が幼い頃、父は本店の食品部にいたようで、「井泉」のカツサンドなどたまに持ち帰ってきてくれて僕を喜ばせていたのだが、子供の頃の僕がもっとも嬉しかったのはユーハイムのフルーツケーキ(フルーツがゼリー寄せされてスポンジのうえにのっていた)とバウムクーヘンだった。
なかでもバウムクーヘンはホールの状態のを、母がほうちょうで薄く削ぐようにして切ったのを食べるのだった。
「こうやって薄くきるのが正式な食べ方なのよ」
と毎回言うので、僕の潜在意識の中にバウムクーヘンとは薄く切って食べるものだというのが深く刻み込まれている。だから、コンビニとかで厚切りにしたバウムクーヘンの小さいのが売っているけれども、あれをそのまま囓るのはまったく持って邪道、と感じてしまうのだ。
しかも、いまどきバウムクーヘンといえば、それを売りにするいろんなメーカーがあるので、美味しいものはヤマほどある。それはよ~くわかっている。けれども僕はやっぱりユーハイムのバウムクーヘンが一番のご馳走と感じてしまうのである。
それにしてもこの年輪が家にあるというのは嬉しい。
バウムクーヘン専用のナイフというのがあるようだけど、我が家にはないので、ペティナイフで切っていきます。
難しいのは、外側の砂糖衣を剥がさないように切っていくことなんだけどね!
おれにとってはこれこそが約束の味なのです。何よりのバレンタイン、ありがとう。ちなみに初日で半分くらい食べちゃいました(笑)