金・土と香川県出張。
香川県からは、昨年からオリーブ牛という、餌にオリーブオイル粕を与えることで今までにない(これホント!)黒毛和牛の味を創り出すことに成功した新しいブランド牛のことで、仕事で呼んでもらうようになっている。
牛の肉の味は、品種×餌×育て方×熟成という4つの要素によって決まると僕は思っている。より細かく言えば「血統」も入るのだけれども、大きくは4つだと思う。
それで、この国の牛についていえば、流通している肉牛のほぼ半分強が輸入肉(従ってアンガスなどが多い)、ほぼ半分弱の国産の牛の半分程度は黒毛和牛なんですね。そうなると品種的にはまあ黒毛が一番の主流。
そんで、餌はどこにいってもほぼ輸入穀物とくにコーン中心で、それに稲わらや輸入乾草といった粗飼料、または米ぬかなどの糟糠(そうこう)類を与えるのが主流だ。
育て方で言えば、ほぼ9割以上が牛舎で飼っている。つまりどこにいっても同じような黒毛和牛が多いということである。
しかし、オリーブ牛は、これは他にはない、まったく違う黒毛和牛の味になっている。それはひとえにオリーブオイルのしぼり粕を与えることによって、脂質に変化が生じているのである。一言で言えばまったく黒毛特有のシツコサが消えてしまう。そのシツコサの消え方がすさまじくて、人によっては「和牛食べてる気がしない!」というほどにサッパリした味わいになるのだ。
まあその話はまたするとして、いまうどん王国の香川県では、オリーブ牛つけうどんなるものを出す店が増えているという。
■オリーブ牛肉うどん
http://www.sanchiku.gr.jp/whats/olive/udon/
しかもオリーブ牛肉だけじゃなくて、使ってる小麦がさぬきの夢なのだそうだ!それはなかなかゴージャスな企画。
「やまけんさん、今日はまずオリーブ牛肉うどんを食べていただくんですけど、超・人気店にいきましょう!」
ちなみに県の田中さんによれば、移動の多い県職員にとって、昼食の王道はもちろんうどんであることが多い。多いどころじゃなくて、まず移動のルート上でどこの店に行くかということを決めなければおちおち移動も効かないという。また、新人が入ってくるとその旅程を組む仕事をさせられるそうだが、
「旨いうどん店を行程にいかに組み込むかで、そいつの評価が決まります」
とのこと(笑)
すげー旨い店に連れて行くと「こいつ、、、やるじゃないか!」となるのだそうだ。
「私たち香川の人間は、命をかけてうどんを食べてますから」
というが、それは本当だ。実はおとなりである徳島県と香川県は、糖尿病発症率が全国でワンツーである。その理由として考えられるのは、
だそうだ。
「それでも私たちはうどんを食べるんです!もし早く食べ終わったら、『おいもう一件行こうか』となるんですよ!」
うーむ、香川県で就職しなくて佳かった、、、してたら俺はまっさきに殉職してただろう(笑)
さてここがその超人気店である「もり家」だ。
まだピークタイム前なのでそれほど人が並んでいるという感じではなかったが、驚いたのは駐車場のデカさだ。だって、大きな道を挟んだ向こうに、ひろびろとした駐車場が、、、
これ、全部このもり家だけのための駐車場なのだ!
事実、ぼくらが食べているうちにどんどんどんと人が入ってきてたちまち満員、待ちの列ができたのだから、、、
この店、市内の安いうどん店から比べると、若干ではあるが高めの価格帯になっているらしい。東京価格からすれば全然そんな感じはしないのだが、たしかにさぬき価格で考えると安くはないかもしれない。でもね、小麦の価格も上がってきているのだし、これからはそんなに安くというのは維持できなくなるはず。真のうどんラバーなら、それを受け入れてあげましょうね。
ということで、問答無用でオリーブ牛肉うどんを頼むわけだけれども、実はこの店の名物はもうひとつ、かき揚げおろしうどんなのだそうだ!ということでそれもオーダー。
そして、香川のうどん店での楽しみのひとつ、おでん!
牛すじ、大根、テンプラの柚子味噌添え。それにいなり寿司もつけちゃった。
四国のいなり寿司は、酢飯にいろんな具が入るのが普通、この店は少ない方だ。そんで、酢飯に味がしっかりついていて、お揚げの煮含め方はアッサリ。江戸前の稲荷寿司はオイラ好かないんだよね、ということを確認しつついただきます。
そうこうしているうちに、うどんが食えるということで同行した嫁さんの醤油うどんが到着。む、端正な麺姿!この店、実にうどん麺が美味しい。シクッと絶妙の食感で歯が通る快感。むっちり心地よいのである。
さあそしてこちらが野菜たっぷり、エビも見え隠れする巨大かき揚げの乗った、おろしぶっかけうどんである。
もう、ね、言うことありません!
太めのうどん麺をしっかり食べさせる濃度のつゆの旨さ、かき揚げをつゆにクタッとからませたのと一緒にうどんをすすりこむと、そのコクと冷たいのどごしのうどんとのコンビネーションが気持ちよくて、あまり噛まずに呑んでしまう。いかんいかんと噛みしめると、今度はうどん麺の分子構造がほぐれて粉の旨さあまさが口中に満ちる。
最高だ、、、
そしてこちら、オリーブ牛肉つけうどん。ごらんのようにつけスタイルなので、見た目はぶっきらぼうだが、、、
格付けの高いオリーブ牛のバラ肉がたっぷり入ってます。ふつう、これだけ入ってたらギンギンに牛脂で嫌になっちゃうけど、、、
オリーブ牛の肉の脂はまったくくどくない! それなのに牛肉本来の旨さは持っているという、不思議な味わいなのである。うどんとの相性はもちろん抜群、温泉たまごの黄身を合わせればすき焼き風にもなって、まことにハッピー!
それにしても、この「もり家」すげー旨い! 考えてみれば久しぶりに正調・さぬきうどんを食べたのだ。これ本当うまいよなぁ。