というわけでフランスに来ています。
今回の旅は、海外の食材を輸入する商社であり、逆に海外に向けて日本の食材を売り込んでもいるトップトレーディングという会社から「シャロレー牛を観に行って欲しいんですよ」と言っていただいたことから始まった。
トップは現在、日本でもっとも手に入りやすいシャロレー牛の肉を輸入販売する会社だ。また、オージービーフやフォアグラ、シャルキュトリーにペイストリー類などを、低価格なものではなく品質のよいものを輸入することで有名な会社である。
シェフ向けのイベントに行って驚くのは、日本の飲食店ではかなり「できあいのもの」が並んでいたりすることで、例えばブッフェのデザートコーナーに並んでるのはほとんど、パティシエがつくったものじゃなくて、冷凍製品を解凍させたものというのが多いのだが、そうしたものの中でもかなり品質のいいものを扱っている。
そのトップが本当にコレが売りたい!と思っているものの1つがシャロレー牛。フランスを代表する肉用種で、フランス人なら日常的に食べている品種だ。日本で言えば黒毛の位置づけなのかもしれない。現在も彼らはシャロレー牛の肉を輸入しているのだが、実はそれは彼らにとっては最高のシャロレー、ということではない。
というのは、現在フランスや米国からの牛肉輸入は、30ヶ月齢未満のものしか入れることができない。米国産は最初から早出し傾向で、25ヶ月未満の若い牛を出してくることが多いのでそれで問題ない(というか、その程度の味)のだが、シャロレーの場合は事情が違う。実は、シャロレー牛の本当に旨いのは、5~6歳くらいの、子を産んできた経産牛なのだ、というのである。
でも法律上、経産牛はどうしても30ヶ月以上になってしまうので、輸入できない。そこで、いま輸入しているのは30ヶ月未満の処女牛ということになる。これは、トップ社としても「これでも十分旨いけど、本当のシャロレーはもっと旨いんだよ~」というものなのだそうだ。
でも、ね。 俺はこの処女牛のシャロレーの肉でも「はっ」とするほどに美味しいと思ったのだ。
写真は、トップトレーディングがまだ参考出品として持ち込んでいた頃のシャロレー牛の肉。部位は骨付きのショートリブだ。
展示会に足を運んだら、「やまけんさんこれ持って帰っていいよ」といただいたもの。ざっくり塩をして、オーブンで焼いて骨を外してみた。
これが、ビックリするくらいに美味しかったのだ!いや、もう価値観が変わってしまった。いろんなところから送られてくる牛肉をイヤと言うほど食べているうちの嫁さんも「いままで食べた中で一番おいしい牛肉かも」と漏らしたくらいだ。
その味は、日本の牛肉とまったく文脈が、哲学が違う味なのである。日本の肉はガツンときてすぐに嫌になってしまいがちな味なのだが、シャロレーの肉は違う。ズーッと食べ続けていたい味なのだ。それにしても、コーン中心の日本の肥育体系とはまったく別物のような味わいだ。
このシャロレー牛の味の秘密をどうしても識りたい!と懇願していたら、トップトレーディングから
「じゃあいきましょう。交通費と滞在費はもちますよ!けど、広告費がないから、どっかの誌面とのタイアップは無理ですけど、、、」
という男前のお話しをいただいたのである。もちろん僕の持っている連載にはガンガン出していくつもりだが、それ以外にもシャロレーの旨さの真実を伝えていきたい。だから、もしこの内容に興味のあるメディアがあれば、広告費は出ないけど、写真素材とかはいくらでも提供できるので、連絡ください。
というのが、長い前置き。シャルル/ドゴールに着いたのが早朝で、モンパルナス駅にバスで移動しても、ぜんぜん人がいません(笑)
フランス滞在最初の食事は駅構内のカフェで朝食。
クロワッサンにカフェオレ、オレンジジュース、バゲットタイプのパン。糖質と乳製品だけである!
でもやっぱりクロワッサンは旨い!
いま日本では在庫払底中のバターもたっぷり塗ります。このバターの使い方については後半、驚くことになります。
トップトレーディングの中澤社長も合流し、一路地方都市のアンジュを目指します。
シャルルドゴール空港からバスでモンパルナス駅に行き、そこからTGVでアンジュへ。東京から名古屋くらいの旅です。パリはホントにかするだけのたびになりそうです。 #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA
車窓の風景がいい!
日本で言えば東京~名古屋間の旅路を終え、アンジュ駅でトップトレーディング社のフランスにおけるビジネスパートナー、オリヴィエが迎えに来てくれる!
フランス中のグルメ食材の伝道師であるオリヴィエにピックアップしてもらい、彼のオフィスのある町のホテルまで小一時間の旅。 - Spherical Image - RICOH THETA
さあ、これから冒険の始まりだ!