どうやらこのテーマ、非常に関心を呼んでいるようで、新規購読していただいた人数が過去に比べてグッと増えている。その分、やはり深いテーマなので、あと一回分掲載しなければならなさそうだ。
今回は、実際に弁当製造に携わっている業者さんが、匿名を条件に、ある架空の弁当商品の原価構成を計算してくれた。安く造るバージョンと、まっとうな原料を使うバージョンの二つだ。関心のある方はお読みいただきたい。
これまで二回に渡って弁当の価格についての話を取り上げてきた。
第一回では、度を超して安すぎる弁当商品が販売されることは、消費者に対して間違ったメッセージになっているということ。格安弁当が実現する背景には格安の原料があるということ。そして弁当の価格がどのような構造になっているかという構成比について話をした。現状では弁当製造はかなり利益率が低い状況であり、激安価格を実現するとなると、すでに無理がある状況だということを述べた。
第二回には、弁当の提供を行う際に、外部の製造業者から弁当商品を納品してもらうアウトパックという業態と、自前の設備で製造するインストアがあること。そして、インストア型の弁当提供を行う業者の場合、最初から採算を度外視した価格設定を行う場合もあるということを述べた。激安弁当を採算度外視で販売する目的は店舗への客寄せであり、激安弁当を買ったお客がPETのお茶など他の商品を買ってくれれば総合的に利益がとれるという考え方である。
しかしこの場合、お客から見ればインストアもアウトパックも関係なく「弁当が298円だった」というような価格の数字だけが頭に残るだろう。そして彼らは「どんな場所で売られている弁当であっても298円が適切な価格だ」という錯覚を引き起こすかもしれない。それが無言の圧力となって、弁当商品の価格を引き下げる圧力になってしまうとしたら、問題である。価格とは文化なのである。適切な価格を維持していかないと、社会の様々なところに歪みが生じてしまう可能性があるのである。
では、弁当商品の中身を激安食材ではなく、きちんとしたものを使ったうえで、なおかつ適正価格といえる内容のものを提供するという業者は存在できないのか?いや、そんなことはない。という事例として、静岡県浜松市を中心に展開する弁当・惣菜の製造販売をする知久屋を紹介した。
もしかしたら、この二週間のうちに品川駅のアトレに入っている知久屋の売場で弁当を買われた方もいたかもしれない。実は僕も一週間ほど前に品川駅の港南口で仕事があったため、帰りに売場によって知久屋の弁当(チキン南蛮弁当とルッコラのサラダ)を買い求め、事務所で美味しくいただいた。
さて、前回の記事の後の、達夫さんからの「カエシ」に答えていなかったので、これに答えたい。下記に達夫さんが書いてくれたことを引用する。
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