本日発刊の最新号、特集は「日本の農産物・畜産物の輸出」の現状と、今後どうなっていくのかについて書いています。
「メルマガへの質問です。日本の農業・畜産業は、輸出産業としてどうして成り立たないのでしょうか。いろいろ課題や問題は想像できるのですが、まさしく最前線にいらっしゃるお二人に伺いたいです。」
とのこと。非常にタイムリーな質問をありがとうございます。農畜産業は輸出産業となりえないのか、ということだが、いいかえてみると日本の農畜水産物は、産業として成り立つほどの輸出量がないのか?という問題といえる。
お答えしよう。日本の食材の輸出自体は拡大傾向で、とくに安倍首相は輸出額倍増の目標を立てており、おそらく近いうちに達成すると思う。しかし、とはいえご質問にある「農産物・畜産物」に関しては、まだまだ産業として成立するほどにはならないだろうというのが、私の見通しだ。
どういうことか、説明していこう。
■安倍首相が号令した農産品の輸出拡大
「タイムリーな質問」と書いたのは、本当にいまそれが国としての至上命題の一つになっているからだ。平成26年1月25日、安倍総理は林農水大臣に対して指示を出した。
「農林水産大臣は、攻めの農業政策を構築すべく、農産品輸出拡大策の強化、農業競争力強化策について検討すること。」
この号令に呼応し、1月29日には農水省に「攻めの農林水産業推進本部を設置し、輸出戦略の作成を開始する。そして4月19日には輸出戦略の基本案をまとめあげ、日本の各地域で実施が始まっている。
ついこのあいだまで安倍政権が進める農業改革の話をしたが、これを歩みを同じくして輸出戦略が練られていた、というわけだ。私は農業改革のなかでの「農協の改革」について、あまりいい評価をしなかった。しかし、この輸出戦略については安倍首相の力の入れ方には一定の評価をしている。
何人かの農水省の知人にきいたのだが、安倍首相はロシアや中東に行く際、公式晩餐会だけでなく必ず食のイベントを行い、日本のさくらんぼなど持ち込んで自分自身も食べ、詳しく説明をし、日本の農産物の美味しさを強くアピールするのだそうだ。こうしたことは各都道府県の知事も国内でよくやっていることだが、安倍首相は海外で実施している。どんどん頑張って、と思う。
ただし、この輸出倍増計画が「これからは輸出を増やすから、農畜産業に突破口ができる」という風にみられるのは、ちょっと違うと思う。どうも安倍政権は、「輸出という道を開くから、みんなそっちで頑張ってくれ。その代わりいままでやってきた補助事業はなくしていくよ」と言うのだろうな、と思うからだ。
実際には農畜産物に関して言えば、輸出によって産業が大きく復興する!というほどには輸出量は大きくならないだろう。ただし、輸出量倍増に向けた施策を打つこと自体に関しては非常に意義のあることだと思う。
さて、まずは日本の農林水産物・食品の輸出の現状をみていこう。
という感じで、今回はさまざまなデータを出しながら、輸出はそれほどバラ色の道ではないということ、だけども今の日本にとっては輸出が大事なので、進めていくべきであるということを解説しています。
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■たべもの最前線
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