柴田書店の年刊誌「そばうどん」で肉蕎麦特集をした際に、記事にならなかった店も含めかなりの「リスペクト系」に足を運んだ。ちなみに「リスペクト系」といったところで、それは単に模倣店ではあります。メニューには著作権がないので、飲食店の世界は誰かが考案したメニューを簡単に模倣しがち。問題、ではありますな。実際、この肉蕎麦カテゴリを産み出した「港屋」の菊地さんは「どうしてあんな模倣をするのか、理解に苦しむ」と不快感をあらわにしている。そりゃそうだよね。その辺の詳しい部分は誌面をどうぞ。
ただ、単純なる模倣店はかなり淘汰されてきた。実はこれ、コピーが難しい料理なのだ。というのは、美味しいものにしようとするとコストが結構かかり、市販の安い材料でつくろうとすると美味しくなくなるのだ。だから相当の店が無くなったり、撤退した。
そういう事情もあってこの肉蕎麦カテゴリに関しては、いろんな理由で港屋に追いつけないので、いま生き残っている店は独自の工夫をしているところが多い。この「波留乃屋」もそうだ。
赤坂サカスから歩いて4分ほど、昼は肉蕎麦、夜は串揚げ居酒屋という業態だ。
ご覧の通り、トッピングに野菜系がズドーンと羅列されていて、基本メニューを完璧に守るストイックな港屋に対して、快楽系ともいえる路線をひた走っている。
これは基本の肉蕎麦。麺は自家工場での製麺だ。そして牛肉部分だが、なんとこのお店の社長さんは、某牛丼チェーンの幹部出身だそうだ。なので、牛肉部分の味付けには自信アリとのこと(笑)
つゆははっきりと甘めで、たまごを加えるとすき焼きっぽい感じ.ラー油の辛みよりも甘辛を前面に出しているのが特徴だ。港屋に倣って、天かすと生たまごがサービスされる。
でも、この店のウリはベジタブル系のトッピングが充実していること。チャーミングな店長の加来さんが「なんでものせちゃいますよ!」というので、人気の具材をいろいろ盛り込んでもらったところ、こんなになった!
どっかーん!
これ、撮影用にドカドカ盛り込んでもあったからなにとなにというのがわからなくなっちゃってるけど、ゴボウにキャベツ、鶏肉にモヤシ、ナスが入っていたと思う。かなり美味しいです。また肉完全抜きでベジタブルのみというのも女性に人気があるそうだ。
うん、確かに美味しい!ベースの麺は港屋のようにかなり硬度のある麺なので、しっかり味のついたゴボウや鶏肉、そしてシャキシャキ清涼感のあるキャベツにモヤシとの相性抜群である。これは美味しいね。
チャーミングな女将である加来さんがお待ちしております。
ところで、銀座に出た「俺の」シリーズの蕎麦業態である「俺のそば GINZA5」は行って食べましたが、感心しませんな。850円を500円に値下げした途端に大行列になっているようだけれども、要らぬ価格破壊だ。もちろんその蕎麦は港屋の完全コピーで、これをもって「俺の蕎麦」と銘打つのはどうなのかね。どのリスペクト店も「港屋さんが元祖ですから」と首をすくめるようにしているのに、ここまで堂々と完コピして価格破壊するというのも何だよなぁ、と思ってしまう。
利益はあまり出ないだろうから、はやく撤退して欲しい。中で蕎麦つくってる職人さん達も、楽しく仕事をしているようには、みえない、、、
あー 書いてたら港屋で肉蕎麦たべたくなっちゃった。