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めったにラーメンのことは書かないが、それは好きなラーメンが極端に少ないからだ。しかし、熊本ラーメンは大好きである。個人的には博多ラーメンをしのいで、九州で一番好きなラーメンだ。青春の大学時代、阿蘇の師匠の農場に行くと、たまにラーメン北熊(ほくゆう)に連れて行ってもらい、マイルドな鶏ガラ白濁スープのラーメンと大ぶりでよく寝かせた餡の餃子を堪能していたからだ。その後チェーン展開してしまい、あの味はちょっと遠のいたが、、、
そんな熊本ラーメンの特徴といえば、豚骨だけではなく鶏ガラからもスープをとったり、揚げニンニクをぶち込んだり、麺は中太のストレートというところだろう。
また具材にキクラゲが入る店が多く、こいつがメンマ以上にコリコリしてるのが大好きなのである。
熊本ラーメンの有名店には、関東にも出店している「こむらさき」や「桂花」が有名だが、僕は地元民の酒のみが最後に行き着く「天外天」を推す。豚と鶏からジックリ煮出したスープに美しい中太麺、存在感のあるチャーシューの横にはキクラゲたっぷり、鮮やかな青ネギがたっぷり載った最後に、茶色い魔法の粉がたっぷりブワサッとかかる。
この茶色い魔法の粉こそ、店で毎日仕込んでいるローストガーリックパウダーだ。ニンニクの香りでガツンと味覚中枢に一撃を喰らったのち、スープを呑めば実にマイルドかつ芳醇。中太麺を啜りこめば、しっかりとした味わいと香りを再発見という寸法だ。
店主は小田圭太郎氏。天外天の初代店主から店を譲り受け、いまは彼が切り盛りする。なんと彼は週刊アスキーのヘビーな読者で、店の隅にある本棚にも週アスバックナンバーが積まれている。
僕が初めてこの店に入ったとき(事前になにも予約もなく)、まだ修業時代の彼は僕を観て「あっ やまけんさん、やっと来てくれたんですか」と言った。え?なんのこと?といぶかしがる僕。彼が指さした週刊アスキー!当時、僕は全国うまいもの巡りの連載を書いていたのだ(笑)
「はやくうちにきて、書いて欲しいなと思ってたんですよ。」
その願いは無事「旅三昧」熊本編で稔る。そして週刊フライデーにも連載終了間際、滑りこみで掲載が適った。いまでも必ず僕はこの店に来る。熊本ラーメンを食べたことがない人を連れて行くと、例外なく「これは旨い!」と絶賛される。最初のニンニクパウダーにやられて、スープがマイルドに感じるようになり、最後までいけちゃうのだ。戦略的に作り込まれた熊本ラーメンである。安定高出力とはこのラーメンを言うのだ。熊本の〆は天外天に限る!
■元祖九州ラーメン天外天
熊本県熊本市中央区安政町2-15 河野ビル1F
096-354-8458