写真のレモン、広島県の大きな観光農園である、平田観光農園で柑橘の栽培管理をしている菅君から送られてきたものだ。
同農園は昭和30年にリンゴ栽培から歴史が始まったそうだが、平成24年に、尾道市瀬戸田町でかんきつ類の栽培を始めた。瀬戸田町というのは、尾道市とは言っても島である。その島で3haという、かなり大きな面積でレモンやミカンなどの栽培をしているのが菅(かん)君だ。
菅君は僕のブログの昔からの読者で、つねにいろいろとメッセージを飛ばしてくれていた。当時、彼は広島県内で大規模に有機農業を行う農場の管理者として仕事をしていた。有機農業を行う主体にも色々いて、個人規模の小さいところから、法人形態で社員を数十人という規模のところまでいろいろだ。彼は、JAS有機の認証取得農場としては大規模な面積の栽培管理と人の労務管理まで全てやっていた。みためは意外にヤクザっぽい(笑)硬骨漢ぽい男なんだけども話してみると実にデリケートな気遣いのできる男なのであった。
その彼が思うところあって有機農場を辞し、飲食業やスーパーの立ち上げ、そして酒蔵で蔵人として一期務めたりした後、この平田観光農園で柑橘をまかされることになった。
任されることになった、と一言で言うけれども、3haの、それも果樹ってのはかなり大変ですよ。繁忙期には人を使うにしてもよくやってるなぁ、と驚いた。その彼が送ってきたレモン、リスボン種で、手前の黄色くなりかかっているのが若木のレモン。奥にある傷だらけのゴツゴツしたのは、レモン老木の実だという。
「味わい分けてください!」
ということで来たのだが、老木レモンは実に深い味わいがした。ナイフをいれて割り、果肉をみる。何もしていないのにじょうのうから果汁がほとばしるような勢いはない。しかし、成熟しきった砂じょう(果汁が入った粒ね)を口に含むと、酸味だけではない豊かなうま味を感じる。その分、酸のアタリが柔らかくなっているのだ。
ああ、これは大分県臼杵市で、後藤製薬の後藤社長さんが大切に育てていた完熟カボスの果汁と同じだ、と思った。カボスは香酸柑橘で、果皮が緑色のうちにもいで絞り、皮に含まれる刺激的な香り成分を味わう。これを冬まで樹上に置いておくと、酸味と香りはやや後退し、うま味成分が果汁内に含まれるようになる。
驚いたのは、後藤社長の奥様が作ってくれたカボスポン酢。完熟カボスの果汁を大さじ二ほど搾ったところへ米酢を大さじ一、そして濃口醤油を大さじ一加えると、もうそれだけで美味しいポン酢になるのだ。昆布やカツオの出汁は一切使っていないのに、、、
あのときの豊かな驚きを再度感じた。リスボンメロンの老木、勢いではなく、その熟度を味わうレモンだと思った。
さてその広島、前日夜に広島県立大学で講演をしたのだけれども、菅君がわざわざ聴きに来てくれた。しかも、夜になにも予定がないんだよ、呑みに行こうと誘うと、「じゃあ泊まります!」とホテルをとり、つきあってくれることになった。そこで〆のお好み焼きで食ったのは「八紘(はっこう)」。地元の人が好む、パリパリの焼き加減やよし。
その翌日、広島に来ているのだからやっぱり竹鶴酒造の石川達也杜氏に会いたい。それもどうせなら、広島つけ麺の元祖である「新華園」で大特を食べながら。ということでタツヤン参戦。
「あ~~ いやいやいや、 えーーーーっ」
といつもの調子で合流し、新華園へ入る。新華園がどんな店であるかについてはこちらをご覧あれ。
久しぶりの新華園、どうやらタツヤンが事前に連絡を入れてくれていたようで、大将も女将さんもおねーちゃんもニコニコと迎えていただく。いつもながら竹鶴ファミリーと来ると、素晴らしい対応が待っているのである。でも初めての人はさっきのエントリのルールをきちんと守るようにね。マ・ジ・で・やばいから(笑)
美味しく大特をいただく。いつかここの冷麺の写真を撮りたい、、、「やまけん、今回はお願いするんじゃないかと思ってたんだけど、いかんかったねぇ」とタツヤン言うが、いやどうせ撮るならきちんとした誌面を用意したいからね、、、
さてその後、飛行機には間があったので、広島の酒場ストリートを散策。この前日、羽田に向かう京急線にカメラバッグを置き忘れて出てきたため、スマホのカメラで撮影です。
繁華街のいちばん目立つ通りに、大きな竹鶴のビルボード。そしてその近くに、こんな店!
割と新しい店だそうだが、煮込みを名物とし、地酒それも竹鶴がばんばんばんと置いてある店だという。いい感じ!今度ここで呑みたい。
その後に連れて行ってくれたのが、実に実に興味深いお店。
「え~ あ~ あのね、重富さんていう、この辺で人気の酒屋さんがいらっしゃるんだけど、そこが店の横にビールスタンドを開いててね。17時から19時までの2時間だけ営業するんだけど、行列になるんだよ。」
えっ それってこの時間じゃ呑めないじゃん!
「あ~ うん、でもまあ顔だけ見に行こうや。ヤマケンはまた呑むためにおいで!」
といってご挨拶にうかがった。この方が重富さん。
無茶苦茶にジェントルな方。店内は開店準備中だったのでふきんとかあってゴメン。清潔感ある店内です。
「あ~ やまけん、灘コロってわかる、、、?」
えっ おいおい 灘コロンビアの流れなの!?
「いやいやいや、灘コロと直接ってわけじゃないけど、あそことおなじ方式のビアサーバーを自前で作っちゃったんだよ、重富さんが、、、」
ひえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ
灘コロ方式に近いビアサーバー!?上の写真が実はそれ。貴重な内部までみせていただきました。しかもハードウェアだけではない。これを使って注ぐ方式も、重富流があるのだという。
なんと、一度、二度、三度つぎに加えて、オリジナルな入れ方があるのだそうだ。これについてはきちんと呑んでみないとわからんな、ということで、次回広島に行ったら、絶対にここへは行く! 重富さん、時間外にお付き合いいただきましてありがとうございました!
「あ~ さて、じゃあそろそろ空いてる店があるから、ちょっと呑もうか」
と向かったのが立ち飲み「そらや」。
ものすごい安い!
そして、どれも旨い!
酒は広島は竹鶴、そして島根県の純米がずらり。
刺身、ポテサラ、エリンギのバター炒め、やばい旨さでした。
タツヤン、この翌日から蔵入り。いまごろはかなり実戦投入していることでしょう。今年もよい酒を作って下さい。キーワードは「完全発酵!」。
そして最後までつきあってくれた菅君にも感謝。なんと、早朝にホテルから島へ戻って家族サービスをした後に、また広島に出てきてくれた。いいレモンつくれよ~
こんな広島行だったのでありました!