十勝の幕別町で無肥料栽培に取り組む折笠ますらおさんから、いろんなものが届いた。その中に、ころんと2玉、完全なる無肥料・無農薬で育てたというリンゴが入っていた。
折笠ますらおさんは、メインの仕事は栽培ではなくジャガイモなどの集荷・販売である。それも相当の大口。しかしその傍らでは生産者として、北海道特有の輪作体系の中で無肥料栽培を実践している。いや、輪作だからこそ無肥料栽培が可能であると彼は言う。作物の連環の中で、相互に必要な要素を分泌し合うような組み合わせを模索してきたようだ。僕はそう理解している。
それにしてもリンゴの無肥料・無農薬は難関だと思うが、よくぞできたものだ。無肥料・無農薬栽培で有名な木村さんにも指導を仰いだそうだが、北海道の気候はあんがい向いているかもしれないと思った。
無肥料のリンゴはよくいただくのだけれども、実にあっさりした、角のない味わい。それが「うーんなんか個性がない」と思うこともあるし、「とても自然な味」と思える時もある。植物の生理上、ミニマムに甘さを発揮している状態というのだろうか。けれども、”足りない”という訳では全くない。むしろ、その圃場を見せていただいたことがあるだけに、尊いと思ってしまう。
近年(というか昔からなんだけど)、自然農法とか自然農とか無肥料・無農薬とか、いろんな動きがある。そしてその動きに対して歓迎するむきもあれば、必要以上(と思える)に批判的に動く人達もいる。
でも、実際にちょっとでも農産物の栽培をしたことがある身から言えば、やっぱり無肥料・無農薬で果実をならせるというのは、とっても難易度が高いことで、それだけで敬服に値する。果実をならせるというのは、樹の状態が満ちて、花が咲いてくれて、それが受粉・結実して、なおかつ肥大してくれるということなのだ。植物体をそのまま食べる葉野菜や、大根のような根菜を栽培するよりもハードルが高い。
ということで折笠さんご立派! 美味しいリンゴをご馳走様でした。ジャガイモ「さやあかね」も期待してますョ。