いやー面白かった。あ、いや、土曜日に仕事で行った岡山県のことだ。
日帰りだし、あまり何かに出会えるかどうかわからなかったので、カメラは持っていかなかった。もって行けばよかったかなぁ。
岡山空港について、運営側スタッフの人が迎えに来てくれていたのだが、きいてびっくり。
「ここから1時間半かかります」
えー そんなに遠い会場だったの?てっきり岡山市内なんかと思ってた。すみません、出張が多くなると、細部まで覚えてられないのです。
勝田郡の勝央(しょうおう)というところまでいくそうな。その辺にかつ飯とかあるんだろうか?いやないだろうなぁ、、、
ということで行きの車ではたっぷり寝かせてもらいました。ふと起きると、城のような建物がみえてきて、その前庭でテントがいっぱい張られてイベントが開催されている。そう、岡山あぐり総合フェア2013という大イベントなのである。小雨でよかった。かなり人も来ている。
控え室に入る。僕の出番のあとにお話をされる香坂みゆきさんはまだ会場入りもしていない。一目見て帰ろうと心に誓う。
弁当でも食うかぁ、と思っていたら、「関係者の方がご挨拶をされたいと」という。出てみたら、県の畜産課の方が来てくれていたのであった。ピンとくる。きっと岡山が誇る黒毛和牛の系統である竹の谷蔓の関係だな。
「いや、しばらくまえのテレビの夢の扉を見まして、こんな方がいらっしゃるのか、お話したいと思っていたところ、こんなイベントがあるというので来てしまいました」
きくところ、なんとこの日べつの場所にて、肉牛の共進会が開催されているという。共進会とはようするにコンテストのようなもので、その地域の農家にとっては最大のイベントである。
「ですので私もこの後、先生のお話を聞かずにいかねばなりません。しかし畜産課の上のものもぜひ山本先生とお話をしたいということで、挨拶だけでもということで私が参りました」
という。なんとまあ、それはありがたいことだ。竹の谷蔓の牛のことについては僕も勉強をしたいし、何よりその肉をしっかりと食べて但馬やほかの牛たちとの違いをきっちり舌に刷り込みたいと思っていたのだ。
一度どこかでじっくり話しましょうといってお別れした。翌日すぐにメールが来て来週上京するというので、話をすることにした。いまから楽しみだ。
さて、まだ時間があったので中庭で開催されているイベントを冷やかしに行く。テントがいっぱい出て、周辺の農業者や団体、ご当地グルメ推進団体などがいろんなブースを出して振る舞いをしたり販売をしている。
岡山産黒豚の試食をしたが、なかなかの肉質。どでかい稲荷ずしを発見し思わず買ってしまう。牛の干し肉販売があったので「おっ」と思い足をとめる。というのは、この辺には昔から牛肉をかちんこちんに干して保存し、料理にする文化があるということを以前からきいていたからだ。
「それなんでしょ?」
「あ、すみませんこれは違うんです、どっちかっていうとジャーキーなんです」
ああそうなのか、残念。けど、味がよいので購入。その女性にいろいろ聞くと、酪農家なのでありました。しかも、ホルスタインだけではなくブラウンスイスを飼っているとの由。
「マジで!?ブラウンの肉おいしいよねぇ」
「えっ よく知ってますね、、、でも売れないんですよ、、、」
どこでも牛の悩みは同じである。この国では多様なうまさが受け入れられにくいのだ。せめてもの応援とジャーキーを買ってその場を去る。
さてさっきから気になっていたのが、どこからみてもサトウキビを何本も缶に突っ込んでオブジェのようにしているテントがある。なんで岡山でサトウキビ?
「あーいや、僕は定年退職して農業やってるんだけどね。子供のころにかじったサトウキビが忘れられなくてね~」
机の上を見ると、絞ったサトウキビを煮詰めた黒糖や自家製キャラメルなどを作っておられる。おもわず一杯、サトウキビジュースをいただいた。絞りたて。きびの汚れはとらずにそのまま搾汁機にかけるので、ジュースの色は薄緑色ににごっている。飲んでみると非常に夾雑物の多い味だが、それゆえ実に複雑妙味でおいしい!なんとなく感動してしまった。
その近くに、近隣の高校生と女子大生?のブースがあって、かわゆい女の子たちが客引きをしていて、そこにたくさんの野郎どもが吸い込まれていたが、俺はそこは断固としてスルーした。そんなノリはここでは反則だろう?と思ったのだ。俺はサトウキビや乳牛のジャーキーのほうがいい。
それはそれとして、岡山って美人県?テント場から会場に帰るまでに1,2,3,4人の美人とすれ違う。なんだなんだなんなんだ。
会場に戻ると僕の講演の前のアンパンマンが最高潮。子供たちが絶叫している。
、、、30分後、講演開始。なんとプロジェクターがなくて、お話だけで50分である。そんなのやったことないよ~と思ったが、なんとか終了。そしたら、香坂みゆきさんを一目も見ないうちに「はやく帰らないと飛行機が」とタクシーに誘導されてしまった! うわーん 結局握手どころか拝顔すらかなわなかったのである。
さて、その帰り道。タクシーで1時間半だが、運転手さんに聞いた岡山の郷土の味のことがすばらしかったのだ。
「倉敷の奥の集落ですけどね、とんとこ飯っていうのがありましてねぇ、、、フナを釣ってきて、これをミンチ機にかけたのを、親子丼みたいな感じで煮て、飯にかけて食うんです。うまいんだけど、骨も入るからそれをとるのが面倒でね。でも、各家庭にとんとこ飯用のミンチ機がおいてあったんですよ。」
ええええええええええええええええええええええええええええええ
マジ? フナのミンチの親子丼!?
実はこれ、調べてみたら「鮒飯」という立派な郷土料理であった。これがとんとこ飯といわれているのは、どうやらミンチ機などない時代にはまな板上でトントコトントコと叩いて細かくしていたからだろう。それにしても面白いのは「各家庭に鮒を引く用のミンチ機があった」ということである。これこそ文化である。
と、そんな楽しい岡山行でありました。空港はなーんもなし。なんでだか、九州ラーメン山小屋が、岡山空港に入っていた。はて、なんででしょう?
たまにはテキストのみで綴ってみました。ではでは、、、