やまけんの出張食い倒れ日記

TPP問題が地下に潜ってみえにくくなったいまだからこそ、この本を強く、強く推薦します。TPPは農業ではなく、「たべもの」の問題だ!すべての食に関わる人は本書を読んでいただきたい。鈴木宣弘先生は闘っておられる!

食の戦争 米国の罠に落ちる日本 (文春新書)
食の戦争 米国の罠に落ちる日本 (文春新書) 鈴木 宣弘

文藝春秋 2013-08-21
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鈴木宣弘(のぶひろ)先生とは、数年前にNHKが主催するシンポジウムで、壇上でコメンテーターとしてご一緒させていただいた。たしか、失われゆく「農村」の存在意義についてのもので、僕のような感情論ではなく、実際に農村が果たす機能を具体的に語っておられ、素晴らしい先生だなと感銘を受けた。

そしてその後、TPP問題が出てきた中で、鈴木先生は反対派の中軸として闘ってこられた。昨年は僕が事務局を任じている青果物関連の協会で講演をしていただいたのだが、その内容は戦慄するものだった。

なんといっても鈴木先生は農林水産省に在籍し、国際部国際企画課という、まさに国際関係を調整する部課に在籍した後、アカデミズムの世界へ身を投じられたという”当事者”であられる。

TPPを巡る議論は当初、反対派がドワーっと世論を引っ張る中、推進派は静観している風を装い、徐々に「そんなこといったってTPPは進めなければならないオトナの判断」というように、反対疲れを起こした人達に染みこむようなキャンペーンを国レベルで張っている。それは、参院選終了まで牙を隠していた自民党のような、用意周到なやり方にみえる。

そしてすでにTPPは規定路線ということでもう走り始めているけれども、だからといって声を上げないでいれば、事態はもっと悪化していく。僕もしばらくあまりこの話題に触れなかったけれども、鈴木先生の本書を読んでハッと目が覚めた。たべものに関わる人は、日本のたべものがこれ以上悪くならないためにも闘わなければならない、と。

これから数回に分けて、本書が何を提起しているかを紹介していきたい(いま、先生に直接、引用の許可をいただいているところ)。でも、その紹介を待たずして本書を買っていただきたい。なんとさすがに文春新書、買いやすい710円という価格である。

いままでのTPP反対本(新書ね)よりもエビデンスや論文引用のレベルが高い本だ。絶対に、後悔しないことは約束する。