さて、台湾到着後、すぐにホテルで眠りに就き、朝が来た。朝ご飯はホテル(台南大飯店)の宿泊に含まれているのだけれども、ホテルのメシよりもなによりも、街場に出て、一般の人が食べに来る朝食屋に行きたい!と、アジアビジネスの専門コンサルタントである田中さんに御願いをしていた。
「それじゃ、ぜひ連れて行きたい店があります!台湾ではサバヒ-という魚が一番愛されているんですが、そのサバヒ-を煮たお粥があるんです。台湾人が愛する料理です。これを食べに行きましょう!」
へー 魚のおかゆ! ふーむ 実はこの時、内心 「えー魚のおかゆかよ~」という、ちょっとそれはイメージと違う的な印象が頭をよぎったことを告白しよう。なんか朝だし、揚げパンを春餅で包んだ、炭水化物攻撃とかの方がいいなあと思ってしまったのだ。
しかし、中国ネタでは最も信じられる人である田中さんが推すんだからな、、、と思い、その方向で行きましょうと。朝7時半に集合し、手配してくれていたタクシーに乗り込む。1時間チャーターしているのだそうだ。
んで、ここで笑っちゃう台湾的事件勃発。田中さんが行き先を話してるんだけど、なにかやりとりが長い。困った顔で田中さんが振り向いていうには、
「なんかこの運転手さん、僕が連れて行きたい店があるんですけど、『あの店はダメだ、もっと旨い店に俺が連れて行く!』って、言うこと聞いてくれないんです、、、」
うわははははははははははははははははははははははははは!
なんてこった!客の言うことをきかないタクシードライバーさん見参!ぐいぐいとスピードを上げて台南の雑踏を走る走る!
そんで着いたのがこの店だ。
なんと、タクシーを停めた道の脇で、その国民魚であるサバヒ-をさばいているではないか!
えええっ こういう魚なんだ!しかも観ておわかりの通り、頭と内臓を取って綺麗に三枚に下ろしている。手際のいいこの作業を観て、もしかしたらすんげー旨いものが出てくるのかも!?と思い直し、期待が膨らんできたのである!
店の正面にまわると、おかゆを食べている人、持ち帰りの注文を待っているひとなどが多数。
店頭にはチマキも積まれている。
なるほど、壁に貼られた品書きをみると、最初に「肉粽」(ちまき)が来ている。30元は安いね!そんで、真ん中あたりに「虱目魚(さばひー)」関連の品書きが増えてくる。
さーて何食べようかな、と思うまもなく、タクシーの運ちゃんがみんなの分をさかさかっと頼んでしまったようだ。いやーたまらんね。もちろん、タクシー運ちゃんもみんなと一緒に席に座る!
卓上には、台湾醤油やちょっと辛そうなソース類が置いてある。
その横には、麹を使った辛味噌のようなものも。これがまた美味しい。大豆なのだろうか、それとも空豆なのだろうかわからないけれども、豆発酵調味料だ。
さて、料理が運ばれてきたぁ、、、
ん?
んんんんんんんんんんんん?
なんじゃこりゃ!?
なにやらホカホカした不思議な物体の上にしょうがと葱の千切りが。小皿に取り分けてみてビックリ!
な、なんとこれ、サバヒ-の内臓である!そ、そうかそうか、これだったのか!実はテーブルの横に作業場があるんだけど、そこに内臓を水に話して血抜きしているらしき丼があったのだ。
何に使うんだろうと思っていたのだが、、、
しかし、こんな見た目にまどわされて箸を伸ばさないような俺ではない!ということでホカホカの内臓を口に運ぶ!
、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、
う、旨いじゃないか! ぜんっぜん臭みがない! それどころか、非常に上品なレバーの呈。コクがあってトロトロと良質な油が溶け、甘辛いタレとのマッチングも最高!
「うわっほんまや、旨いわこれ」
とみんながいきなりがっつき始める! いやビックリ、実に素晴らしき味ですよ。
そうこうしているうちに、サバヒ-のおかゆがやってきた!
軽くニンニクのような香りがぷうんと立ちこめる。そう、表面に浮いているのは焦がしニンニクと香菜。そこに揚げパンである油餅をトッピングしているのである。
レンゲを入れてすくってみると、、、、、
うおっサバヒ-の身がこれでもか、これでもか!と入っているではないか!
いやービックリ、この一杯にどうやら、たっぷり一匹分のサバヒーが入っているのである。プウンと立ちこめる旨そうな香りに思わず啜り込む!
「粥」と書いてあるのでそう信じ込んでいたが、これは粥ではない!タイヤベトナムで食べる透明なアジアンスープでサバヒーを軽く煮て、メシにかけたというようなものなのだ! おお、これに近い味と言えば、タイの魚雑炊である「カオ・トム・プラー」だろう。しかしサバヒーは台湾にしかないようだし、これは本当に台湾の味なのである。
しっかしそれにしてもうま味が濃いよなぁ、サバヒーの中落ちとかの骨を出汁に似だしているんだろうけど、それだけじゃないなあ、と思っていたら!
なーんと、小さな牡蛎が入ってる!それもけっこう多量に入ってるんだわ!
やーこんな料理だったのねサバヒー粥!実に旨いではないかあああああああああああああ!
かるーく一杯平らげたけど、僕はもう一つ食べたいものがあった。それは魯肉飯(ルーローハン)だ。
「えっまだ食べんのかよ」という感じで笑いながら、タクシーの運転手さんがオーダー。
これが、庶民が食べるルーローハンだ! 日本でも展開していた鬍鬚張(ひげちょう)魯肉飯は、豚の皮と肉の間の部分を具にしていたが、ココの店は豚肉のカシラ肉そのものを使っているようで、ガシッとした肉感あり。味付けが控えめだが、これもまた美味しい!
みな大満足だったのでありました。
店頭を観ると、真っ赤なスープの鍋にサバヒーを入れている。あーこれも食ってみたかった!今度いったときは、全メニューを食ってみたい。ちまきもくわなかったもんなぁ、、、
ということで、田中さんの思うとおりにはならなかったが、結果オーライの朝食だったのでありました!