仙台での仕事を終え、今日は朝から岩手県二戸市へ。実に半年ぶりくらいのご無沙汰だ。
目的は短角牛の「ひつじぐも」と今年生まれた「くるみ」、そしてひつじぐもが4番目に生んだ「いなほ」と、彼女が産んだ「さくら」に会うためだ。
そう、いま岩手県に所有する僕の牛は計4頭。なんと全てがメスなのである!確率的にちょっとスゴイ。
そして残念なお知らせ。第一子であるメスの「さち」を産んだときからひつじぐもには具合の悪い体質があった。それは乳量が多すぎるというもの。お乳が出すぎてしまうのだ。これは一見よいことのように見える。もちろんお乳が沢山出るということは、子供の増体はたいへん良くなるので、有利である。しかし、食欲旺盛なオスならいいが、メスが生まれたときには問題がある。メスはオスに比べてそんなにお乳をたくさん飲まないのだ。そうなると、お乳が含む脂肪分などが乳腺を詰まらせてしまい、乳房炎をおこすことがある。
そしてひつじぐもは実際に乳房炎になってしまい、乳首が痛くなってしまったため、一時期、さちにお乳を与えることを拒否(さちが近づいても遠ざけてしまう)してしまう事態に陥っていたのだ。
しかしその後はうまく回避していたのだが、、、
さち、国産丸、草太郎、いなほ、ひかり、そして今年3月に生まれたくるみと6産目に来て、とうとうすべての乳房が潰れてしまった。もう、彼女は授乳することが出来ない。
普通ならすでに牧野に上がって放牧されているはずだが、くるみはお母さんから授乳してもらえないので、餓死してしまう。だからこのオーナー牛舎で、看守さんが手づから代用乳を与えてくれている。
牛はとても寂しがり屋な動物だ。集団で生活するのが基本だから、一頭だけ引き離されると、さびしくてずーっと遠吠えをし続けてしまうそうである。さぞかしくるみも寂しいだろう。他に、なにか問題があるのか、母子が一組いるので、たった一人にはならないですんでいるが、それでも母と一緒にいられないのはとてもかわいそうでならない。
一方、ひつじぐもの娘であるいなほは、今年若い母親となった。彼女が産んだ子牛がこの子だ。
今年の東京の桜はとても早く咲いた。その時期、この子が生まれたという連絡があったので、名前をもらい「さくら」とした。
さくらは牧野に放牧され、母の乳を飲みながらすくすくと育っている。この二頭のメスの子牛達にどんな人生いや牛生を送ってもらえば一番いいのか。母牛にするのか肉牛にして食べるのか。とても迷い中である。