2013年6月 3日 from イベント
ということで、いよいよ7月でこのブログも10周年なんですよ。まあ、無理せず続けてきたので、生きてる限りは(おそらく)続くんですけど、とりあえず10年はひとつのマイルストーンなので、なにかしらしたいと思っています。
が!
相変わらず超繁忙なので、7月中にすべて開催ってのは全然無理!なので、まずは一回、表題のイベントをしたいと思います。
日本は魚を食べる大国のひとつなのに、水産資源の減少についてあまり気にしない国だと言うことはこれまで何度も書いてきた。特に昨今はウナギのことが取りざたされているが、本当に危険水域というところまで来ている。今年のシラスウナギ相場も高止まりで、これが続くと鰻専門店は大変だ。
だから、漁獲制限を率先して行うべきだと思う。ただし、ウナギ養殖で生きている人もいるし、ウナギ文化が無くなってしまってはこれも困る。従って、日本全国に流通しているウナギ資源のうち、どれを絞ってどれを残すということを決めなければならない時期に来ていると思う。
絞るべきは、スーパー店頭で大量に流通していたり、コンビニやファストフードチェーンで売られる加工ウナギだ。これらは、養鰻業者に近しい産地の業者がオフシーズン中に製造しており、それを年中販売している。加工業者さんには申し訳ないけど、ここは絞った方がいいんじゃないかと僕は考える。
一方、ある程度の歴史を持ち、鰻の売上がほぼ全てという鰻専門店に関しては、残していくべきと思う。実は鰻の総流通量のうち、専門店が占める割合は3割程度らしい。それを日本食における鰻文化継承のデッドラインとする。
当然、鰻はいまより高いものになる。庶民は一年に一度くらいしか食べられないものになるかもしれない。でも、もともと鰻ってそういうものでしょ?メディアは「庶民から鰻を奪うな!」みたいな消費者迎合なことを言うだろうけど、世界から観れば「日本は地球から鰻資源を奪うな!」という構図なのだから、ここは日本国民として我慢しないといけないと僕は思っている。
ということで、非常に逆説的ではあるけど、鰻のことを勉強しつつ、その鰻を専門店で噛みしめながら食べるという会を、この10周年シリーズの最初にやりたいと思っています。僕は今年度、ウナギを食べる回数を3回程度に限定しようと思っていますが、その貴重な1回です。
お店は「いづもや」。いうまでもなく日本橋の老舗です。若旦那である岩本公宏さんには、前半にうなぎのことについてお話しをしていただきます。お座敷すべて借り切って、机とかを移動してみんなで畳もしくは椅子に座って聴く方式です。
その後、鰻づくしのコースをいただきます。その中に一品、鰻の漁獲が復活しないかぎり絶対に食べられないものがあります。それは、鰻の魚醤で鰻を焼いた「鰻の魚醤焼き」。
これはいづもやでしか食べられません。これは数年前に岩本さんが、あの秋田県男鹿半島のしょっつる製造「諸井醸造元」の諸井さんに相談して、試作してもらったもの。鰻数十キロから数リットルしかとれなかったという貴重なものなのです。
いづもやには名物「生醤油焼き」というのがあって、蒲焼きタレではなく生醤油をサッと塗って焼くもの。これが大人気で、蒲焼きのかわりにこれをご飯に載せてくれと言うお客さんが随分居るという。
この料理を生醤油のかわりに、うなぎ魚醤でやったのがこの一品。
鰻魚醤は、塩と鰻だけでつくったもの。ウナギの肉や骨が酵素の働きでアミノ酸に分解し、旨みが醸成されたものだ。つまりこの料理は純粋にウナギと塩のみでできたもの、というわけだ。
この貴重な魚醤焼きを中軸にすえて、ウナギをこれでもかと食べていただくコースを設定してもらった。いづもやさんありがとう!
ということで、資源回復を祈りつつウナギを食べるという逆説的行動で、あまりほめられたもんじゃないが、そもそもウナギ資源問題は正論だけじゃ何も解決しない多面性を持っている。それを考えるイベントになればいいな、と思っています。
参加希望者はのちほど、参加フォームを作りますので 参加フォーム作りましたので、応募して下さいね。
■イベント概要
日時: 2013年7月5日(金) 18:30~(18:00~受付)
会場: いづもや (東京都中央区日本橋本石町3-3-4 03-3241-2476)
定員: 30 名
会費: 18000円(事前振込制、振込料はご負担下さい)
※料理、飲物(種類はある程度限定です)、税、サービス料込み内容:
18:30~ 第一部 「鰻の現状をじっくり考える」
スピーカー:いづもや 岩本公宏氏 進行:やまけん19:30~ 第二部 食事会(鰻の魚醤焼き、鰻の蒲の穂焼きなど)
21:30 締め
このWebはいわゆるグルメではありません。味や価格だけではない「よい食事」とは何かを追求するためにひたすら食い倒れる記録です。私の嗜好に合う人しか楽しめないと思いますがあしからず。
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