いやーマジでご無沙汰しちゃった!
中目黒ブッパといえば肉好きの間ではすでに著名な、熟成庫をズダダンと店内に並べてしまい、牛豚だけじゃなく、イノシシや鴨やウサギやいろいろなジビエを熟成してしまうお店である。
しかしこのブッパ、数年前まではトロワピエロというお店だった。その時代に、某・養豚雑誌の編集者とともに銘柄豚肉食べ比べをさせてもらい、その後数回、店に行ったり外(蝦夷シカサミット!)でご一緒したりしてきたのだけれども、肝心のブッパに顔を出す余裕が無いまま来てしまったのだ。前に行ったのは熟成用の冷蔵ケースが搬入されて、いざ店名変えたぞ!というタイミングだったなぁ。スミマセン不義理してました神谷さん。
サービスの山崎さんには、「やっとですか、、、もうね、やまけんさんはうちの神谷のこと、嫌いなんだ、って思ってました」とまで言われてしまった、、、もちろんそんなわけありません。オレ、ほんと都内で飯を食うこと、ほとんど無くなってきてるんですよ。京橋の東京バルバリだって、半年以上ご無沙汰です。ま、そういうことなんでお許しを。
神谷さん、ちかくにデリカテッセンを出店して、お得意なシャルキュトリーを中心にバンバン売っているそうだ。よかったよかった!
さて今日の得物は、、、実はこの日、ドライエージングビーフの導入をアドバイスしているお客さんとご一緒だったので、熟成されている肉はぜーんぶ食べるよ、と言ったらこんなに出てきた。
豚は純系のバークシャー。牛は北海道の黒毛のモモとサーロイン、イノシシに蝦夷シカ、そしてカモ。これだけで腹一杯になるコースだけど、もちろんそれだけじゃ終わるわけが無い。神谷さんの真骨頂は、生肉じゃなくて手を加えたけもの肉なのだ。
あたたかいドフィノワ?とおもいきや、この中は熱くとろんとろんのイノシシ内臓ラグー。
肉が来ることわかってるんだからできるだけパンは食いたくないのに、ブーダンまで盛ってくる、、、
ム! ムムムムムゥ,,,旨い!やっぱり神谷さんの肉の副成物使いのセンスが最高である。
そしてドンと出てきたシャルキュトリー!
シカのモルタデッラ、イノシシのハム、黒豚の生ハム、イノシシアンデュイエット、カモのスモーク、豚タンのハム等々など、、、でもやっぱりモルタデッラの旨さが光る。神谷さんの味、とても実直にして繊細、どっちかっていうとドイツ人的な感性を感じるんだよな。
西京味噌を使っているという、魅惑的においしいバーニャカウダでみずみずしい野菜をいただき、ここで一息、、、ここから怒濤の攻めが来た!
たしか30日くらいだったかな?北海道産の黒毛。あ、モモはたしかF1だったかな?
このサーロインが実によかった。
神谷さんとこのドライエージングは「それぞれ肉のコンディションに沿った熟成」で、いわゆるNYスタイルをガンガンやっているわけじゃない。それより、肉扱い屋である神谷さんの味という感じだ。しかしながらこれだけ熟成をかけていると、独特の香りがつき、自己消化酵素によるタンパク質の分解も大幅に進み、通常のウェットエージングの肉の食感とは大きく換わる。そしてサシの部分にも芳香がついてくる。
実に美味しい牛肉だ!
これまでいろんな「熟成」を標榜する肉を食べてきて、ハズレに当たることが多いのだけれども、神谷さんのこの日の牛は間違いなく大アタリであった。
お次は神谷さんお得意の豚。
ほんとうに神谷さんの豚肉への火入れはとてつもなくお上手。
脂の表面には焼き目がつきカリリ部もつくりつつ、その下の肉にはしっかり火が通って噛みしめる旨さを感じられ、そして中心部では水分を湛えたやんわりな火入れ部も愉しめる。三つの食感を味わうことが出来るのだ。しかも、バークシャーの肉の旨さは実に佳し。
黒豚の場合、熟成香はそれほど強くはしない。けど、しっとりと肉のもったポテンシャルが開いた味わいだった。
エゾジカとイノシシ!
特筆すべきはイノシシ。よく血抜きされ、臭みの全くない肉をさらに熟成させているので、もはや豚の野生種であるとは思えないほどの別物の味。ストロングにして上品だ。
もちろんエゾジカも旨いんだけど、やっぱりイノシシと並べるとすこし退屈な味わいになってしまうなあ。この店でなら、シカはモルタデッラが旨い。
さあて、もうみんな腹一杯なんだけど、、、でてきちゃった一羽丸ごとのカモ。
もうなにも言うことありません。肉色で察して下さい(笑)
やー
神谷ワールド久々に堪能したけど、すんげーいい状態じゃ無いか!
実はね、神谷さんにもこの時話してなかったけど、何人かの人から「ブッパ行ったけど、熟成香が着きすぎでよくなかった」とか「匂いがよくなかった」とかいう声が聞こえてきていたのだ。どうなってるんだろう、いろんな肉を熟成してるから、菌のバランスが崩れたりしてるのだろうか、などとちょっと心配していた。
しかし来てみて安心。とにかく”現在”の状態は実によい熟成です。これでもダメっつんなら、ゴメンナサイ俺の感覚がおかしいってことです。
神谷さんいわく、冷蔵庫を数台入れていることで、牛は牛、豚は豚、イノシシは、、、というようにちゃんと熟成分けをしているとのこと。かなり菌の安定がみられる状態になったと言うことだ。いやとっても佳かったよ!
ということで、今度はデリカテッセンにも行ってみないとね!
神谷さん山崎さん、美味しかった!またいきまーす(ただし次もいつになるかわからないんですが、、、)。