お待たせしました、まだ二日目の昼です(笑) トルコのイズミル地方で、絶品の朝食を食べた後、リゾートホテルのKaya Izmirへとやってきました。以下、カヤホテルと略します。
ご覧の通り、美しいイズミルの景観とマッチした高級ホテル!
photo by Yusuke Aoki
これまでのエントリと同じく、クレジットを入れている写真は青木雄介君によるものです。さすがインドネシアのリッツ・カールトンのウエディングフォトグラフ
ァー部門を束ねていた青木君、フットワークが軽い!しかも、女性を撮るのが上手い!
カヤホテル一のチャーミングさん。俺はこの間、シェフと対談中でした、、、(笑)
photo by Yusuke Aoki
オリンパスのOM-Dに45mm(フルサイズ換算90mm)のf1.8を装着し、ソフトなアートフィルターで撮影する。大事なのは「こんなふうに撮れてるよ」と液晶画面でみせること、だそうだ。
「ソフトフォーカスになるアートフィルターで撮影したのを見せると女性は喜んでくれるんですよねぇ~」
うーん、その技を俺は学びたい、、、
そして、この日の朝からアテンドしてくれた、イズミル観光局のギュッツフェントさん。
photo by Yusuke Aoki
もう一人、イズミルの大学には観光サービスを学ぶ学部があるそうで、そこの大学院生の玉チェさん!
photo by Yusuke Aoki
イズミル観光局は、僕たち一行を入れ替わり立ち替わりもてなしてくれる。感謝である!
さてこのカヤホテルでは、総料理長のNejdet Polatさんに対応していただいた。以下、ネジェさんと表記します。
ネジェさんはアンカラで生まれ、1978年からコックとして働いている。
以下、通訳してくれた阿佐ヶ谷イズミルのエリフからのまたぎぎなので、僕の聞き違いがあるかもしれないが、記す。
「トルコの宮廷料理は黒海地域の「シノ」と呼ばれるものがスタートです。しかしその頃の料理に世界は、コックの里と呼ばれていたブルメンゲンという町が独占していました。そこからコックがやってくるわけです。だれもが学ぶことができる料理学校ができたのは1974年、それまでは料理の世界は閉じられていたのです。」
おおおおおお、なるほど!実はこの後も色んな人から訊くことになるのだが、トルコでシェフの出身地を尋ねると圧倒的に答えが集中するのが黒海地方なのである。日本でも、ホテルの日本料理の厨房は料理人の組織が斡旋しているようなスタイルが多いが、それと同じようなものだろうか。
「私は78年からこの仕事に入りましたが、そこからイスタンブールやアンカラ、イズミルなど色んなところで働いています。ホテルはヒルトン、シェラトン、マーシー、エダマンなど、、、」
と色んな高級ホテルのキャリアが彼の口から出てくる!マジ!?
「このカヤホテルでは6~7割がトルコ人客です。それ以外は外国人客。ですからモダンな西洋料理とモダンなトルコ料理、そして郷土性のあるトルコ料理の全てを美味しく出すというのが我々の仕事。トルコの伝統料理はフライパンで焼く料理とオーブンで焼く料理、串焼き、そして煮るというバリエーションがあります。またここは地中海地方ですから、バターなどの油脂ではなくオリーブオイルを使う。また、トマトペーストを多用し、ハーブ類の香りを効果的に使うということが多くなります。素材も肉ばかりではなく、他のトルコの地方に比べると魚を使うことが多くなります。」
おお、やはり地方によってトルコ料理の文化自体が変わるんですね。でもそもそも、そういったトルコ料理という文化の総体自体も、モダンがあったりポストモダンがあったりするんでしょうか?
「はい、トルコ料理もずいぶん昔とは変わってきています。例えばいまは重くなく、ライトに仕上げるというのが流れですね。」
それはフランスなどの西洋料理と同じですね、、、
「オスマン料理は肉と豆を多用するのが基本なのですが、この地中海に来れば食材がまったく違います。エーゲ海の恵みである魚貝類、そしてオリーブオイル、一年中豊富なグリーン(野菜類)。オスマンの伝統を踏まえながらこれらをどうやって使っていくかというのを考え、メニューを作っています。ちょっと、わたしの厨房を覗いてみませんか?」
ええっ いいんですか?ということで、いきなり厨房訪問である。
厨房内は勿論ぴかぴか。一流ホテルの厨房はこうじゃないと行けませんね。
ちょうど、バンケット用の料理の仕込みをしている最中だった。
ええっこれ、バンズはいったいどういうパンなの?それに挟んでる牛肉、どんな味付けなんだろう、、、食わせてくれって言えばよかった、、、
ちょうどこれから昼食ビュッフェの時間なので、冷菜類が準備されていた。
チーズやハム類だけでおびただしい種類が並んでいる。
パン(というかエキメッキ)部門。世界最高度に高いグレードの粉もの文化を誇る、トルコ料理の心臓部だ。
パン部門にはやはりベテランが配され、すべてを管理している。
とにかくパンからデザートまで、粉もの品目数はやたらと多いのである。よくつくるなこんなに、と感心してしまう。しかも外部業者に頼むんじゃなくて、すべて自分の厨房で作っているようだ、、、気が遠くなる。
下は、伝統的な大きなパン。コレを専用に焼くための火口においてある。
なるほどね、これを回転させながら焼くわけだ。
デザート部門もこちら。
いやもうみてるだけで、さっきまで腹一杯だったのに味見したくなる! という僕の気持ちを察したか、ネジェさんが「すこし味を見ませんか?」と誘ってくれた!マジ!?
ごらんのとおりのビュッフェスタイル。完全にウエスタンなスタイルなのかと思ったら、ところどころにトルコならではの品が並んでいる。
ガルバンゾ豆を炊き込んだピラウ!
このように色んな具材を巻き込んだボレギ、かな。英語だとペイストリーなんだね。
こうした、野菜類をオリーブオイルでさっと炒め煮したようなものは、やっぱりイズミルのほうでよく見かけるもので、イスタンブールとかよりこちらのほうが本場なのでした。
肉料理は鶏・牛がメイン。豚はやはり少ない。
ちなみに上の牛肉料理、ケバブと書かれています。つまり串焼きイコールケバブ、ではないのです。肉料理全般なのですね。
ただしこれが、挽肉を丸めたような感じになるとキョフテというらしい。下はイズミル・キョフテと冠されている。
チキンのハーブソース焼き。うまそう!
さてこれらの前に当然ながら、僕が愛してやまないトルコならではの前菜がドダーンと並ぶ。
そして圧巻なのは、デザート類だ。あの厨房をみたあとだからわかるが、こんなにたくさんのアイテム数をすべて自前で一から作っている!
甘い物好きにはタマラナイでしょう、、、さて、さすがに僕も腹が全くこなれてないから控えめにだけど、試食させていただく。
photo by Yusuke Aoki
おお、ネジェさんの料理は角がビシッと立っている。 イズミルのこの開放的な気候からか、ゆるめの味付けが多いような気がしていたけれども、さすがネジェさん。料理の一つ一つにすきが無く、シマリのある味わいだ。どの料理も美味しい、、、これなら、数日間はわざわざ外の料理を食べに行く必要もないかもしれない。
photo by Yusuke Aoki
いや、次回イズミルに来る時は、必ずここに泊まりたい!そして、朝昼夜とネジェさんのモダン・トルコ料理を味わいたいと心の底から思ったのである。
ネジェさん、カヤホテルの皆さん、どうもありがとう! そして旅はイズミルでの最後の食事へと向かったのである。