2012年10月26日 from
オーストラリアから帰国して二日後に松阪牛の本場・松阪。そして翌日、和牛のオリンピックこと長崎全共という大イベントに来ております。最近、自分の肩書きである「農産物流通コンサルタント」の最初の部分を「農畜産物」と変えた方がいいんじゃない?と言われることが多いのだけれども、本当にここまで自分が牛に関わることになろうとは思っていなかった。
ちなみに今回僕は、高知県の土佐あかうしチームの専属カメラマンという立場で来ています(笑)
ハウステンボスへ渡る橋を過ぎると、綺麗なオランダの町並みなのに、「ンモ〜」という声がうっすらと聞こえてくる。
第10回全国和牛能力共進会、というのが全共の正式名称だ。共進会というのは全国各地の農村で聞かれる言葉で、品評会みたいなものだけれども、なんで共進会というのかよくわからない。似たような言葉で共励会というのもあるけれども、これもどういういわれなのかわからない。スミマセン。
いまや、全国の都道府県で和牛が生産されている。何度もこのブログに書いているが、和牛には4品種ある。黒毛和種、短角和種、褐毛和種、無角和種だ。ただし生産状況をみると、黒毛が95%程度で、後の品種は5%を分け合っている状況である。
そう言う状態だから優良血統の選抜だとか、サシを入れる技術の研究に関しては黒毛和牛が最も進んでいる。全共はそのトップクラスのアスリートを決める選手権なのである。
会場内はそりゃもう黒毛和牛のオンパレード!
そんな中で、道行く人が思わず「!」と足を止める牛たちが居る。それが、われらが土佐あかうし「153たかつかさ」ちゃんと「第五たつみ」ちゃんだ。
これがもう、見事なほどに道行く人々が牛舎の前で足を止め、覗き込んでくる。特に報道関係の、しかも女性陣となると必ず「え!?なに?可愛い〜!」と叫んでくれる。
「いまの格付け基準だと、黒毛和牛のトップクラスの世界で土佐あかうしが上位に入賞することはないと思うんですけど、参加賞でいいんです。だって、出場したら、入賞しなくても知名度ばっちりになるんですもん。」
と話していた高知県の「泣く男」こと公文ちゃんが言うのもわかる。もし人気投票をしたら確実に一位をとること間違いなしである。
全国の都道府県から、牛一頭につき数人の人間がついてきている。共進会の部門はたしか17だっけ?くらいあるので、多いところになると100人体制で長崎に乗り込んできている産地もあるくらいだ。
牛舎を外から眺めると、例えばえさ箱の形状や材質が全くバラバラで面白い。青森県は木箱ですね。美しい。また稲わらや牧草などの餌も各人が持ってくるので、牛舎ごとに全くカラーが違うのが面白い。
牛舎は原則として関係者以外立ち入り禁止なので、勝手に他県の牛舎に入っていくわけにはいかない。長崎全共では消費者との交流ということで、簡易な消毒後に見学者が牛舎エリアに立ち入ることを認めているのだが、防疫の関係上、牛舎内にはできるだけ入らないで欲しい。どーしても入りたいときは中の人に許可をとりましょう。
これが高知県の牛舎。白いジャンパーが高知県で、その向こうの青いのは地元長崎の農家さん達だ。
開会式の準備が始まった。開会式には各都道府県それぞれ代表で一頭ずつが並び、常陸宮殿下・華子妃をお迎えすることになっている。実は以前の全共で、華子様が一同に並んだ牛たちの中から、土佐あかうしをご覧になって「まあ可愛い」となでてくれたそうだ。しかし、一頭だけを撫でると、えこひいきになってしまう。そこで、全頭を撫でることにされたという、ホントかどうかわからないエピソードがある。おそらくホントだろうと思う。
生産者の伊藤さんがたちつかさを飾る。その横にいるたつみちゃんはお留守番です。
たちつかさ、ドレスアップ完了!
他産地の牛たちも会場に向かいます。
隣の愛媛からの牛ちゃんとなにやらコミュニケーションするたちつかさ。
「あっ 私、高知から来たたちつかさです。」
「あら、隣県だわ、どうぞよろしく。」
なんてやってるんだろうか。
さて、待つこと10分ほど、常陸宮殿下と華子様がご入場。やっぱり華子様はいろんな牛を撫でておられた。そしてたちつかさにも!
しっかりタッチしていただいています。
中に入って、開会式。
さすがに4年に一度の祭典、規模がデカイ!
我らが高知県勢の入場です。
このように関係者にとってはかなり重要なイベントなんだけど、会場外のふれあいブースでは、「和牛食べたい!」の一般人たちがどだーんと試食コーナーの整理券に列をなす!
「試食」というのは、各都道府県が出しているブースで無償で焼いてくれる肉だ。しかしもちろんタダでとなるとどこもかしこも行列になってしまって混乱すること必至。なので、一カ所で整理券を配り、「ここから何人は宮崎県ブースで、ここからは島根県!」というように割り振るというシステムらしい。しかしどっちみち大混乱。なんだか大会運営は、あまり手際がいいとは言えません。ちゃんとしたイベント運営会社を入れた方がいいと思うけどねぇ、、、
ちなみに高知県は本日11時〜試食も行う(週末もやるとは思うが、すぐになくなる見込み)が、有料でよいならばちゃんと土佐あかうしを食べられる「牛串」の屋台がでている。
一本500円!これがまた飛ぶように売れており、長蛇の列で周りの土産物屋さんから文句が出て、場所を変えさせられていた。ていうかそれくらい先に考えてコマ割りしろよ大会運営側、という感じであるが、、、
ちなみに、長崎和牛の肉と野菜セットを300g3500円で販売しており、これを会場内のテーブル席で七輪を使い、炭火焼きにして食べることができる。
肉も、ぶんどりあいの様相(笑)
これがセットになってます。菜箸と割り箸もつき、卓上には焼肉のタレと塩コショーも並んでます。
お肉は冷凍ですがほどよいサシ。サシ入り黒毛が苦手の僕としては意外なことに美味しい!よい肉です。
ただし、卓上の塩コショーはアミノ酸入りなので、家から塩を持ってくることをお薦めします。焼肉のタレは甘くて肉の味が、、、
土佐あか牛の説明ブースにもいろんな人が来る。復興に賭ける福島県の女学生さんたちも「可愛い!」と興味津々。
TPPに関するちゃんとした情報を流す数少ないマスコミである日本農業新聞は記者&カメラマンを10人も張り付きで報道体制をとっている。右の女性は北海道番記者。楽しく語らってたら、全共の理事が割り込んできた(笑)
さて、一日目は体重や体高などの測定を行う。そして本日二日目以降、本審査が始まるのだ。写真撮影も行うので、入念にブラッシング。
たちつかさ、ここにきて面白い技をしてみんなを笑わせている。それは「悩む」ポーズ。じっと頭を棒に押しつけて、黙して語らず。
うーん可愛い(笑)!
さて、そろそろ出陣ですよ。
このWebはいわゆるグルメではありません。味や価格だけではない「よい食事」とは何かを追求するためにひたすら食い倒れる記録です。私の嗜好に合う人しか楽しめないと思いますがあしからず。
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