高知が面白い。立地的に東京とは物流がうまく通じてないところは宮崎と似ているんだけれども、売り出し方は断然こちらのほうがお上手。何が違うんだろうかね、と宮崎の人間と首をかしげるんだけども、高知県人は保守的に見えてあまり保守的じゃなくて、カーッと血が昇ったらすぐに何かを始めちゃうという気質があるんだろうか。そんな高知の飲食シーンが、ますます面白い。
「今日の昼食はちょっといいお店をみつけたんですぅ〜 おしゃれな商業施設的な店に、大阪から立ち上げ期間限定でシェフが来てくれてるんですけど、この方が高知の地元食材をばんばん使ってくれてて、、、」
といつものように高知県庁畜産課の公文氏が連れて行ってくれたのがここ「土佐バル」だ。
大通りからみたらなんか酒蔵?という感じの、蔵造りの目立つ建物群。この中に土佐バルがある。
中に入ると、いきなりドドーンと上に高いしつらえが圧巻!
彼が大阪から、この店の立ち上げ助っ人に来ている志摩幸司シェフだ。
「いやーでも高知の食材って面白いんで、もう少しいようかな、とも思ってます。土佐あかうし、公文さんに勧められて食べて見ましたけど、いいですよね!いろいろ試行錯誤しながら試してみます。今日はいろいろ用意しましたので食べて見てください。」
と、落ち着きがありながらも、なにやら熱いお人柄がじわっとにじみ出るような感じの好感度シェフである。
前菜盛り合わせ。左上に切れちゃってるドリンクがまた面白くて、地物のキュウリを使ったラッシー。この時はもう夏真っ盛りだったから実にいいアイデア!青臭い香りが実にいい。こうしたフルーツと野菜を使ったノンアルコールドリンクが2〜3種類常備されているのが嬉しい。
そして充実の前菜盛り。
バルと書いてあるからスペイン料理なのかといえば、とくにそんなジャンルにこだわっている感じではない。パスタも出るしね。けれども、一品一品気が利いている。
チャンバラ貝のマリネ、ウマし。
タコだったかなぁ!?いかん、しばらく前だったから忘れてしまった!
これは確かイカスミ煮にしてあるけど、お肉それも内臓ではなかっただろうか。手が込んだもの、インパクト強いものを一口というのがオシャレ。
そして、土佐あかうしのラグーをからませたタリアテッレ。これが秀逸。
地元のオクラを具材に煮込むことで、トロンとした粘りが出てくる。それがラグーと麺のからまりをよくしていて、のどごしもトュルンと来るのだ。ラグーはモモなどを丸ごと一本とったときに出てくる端肉を利用しているという。
「そうやっていろいろ使い分けることで、一本丸ごとっていう、お店にとってはやりにくい単位での使い分けができるんですよね。」とシェフ。
さあ次はいよいよメインだ!
手前がランプ、奥がイチボだったと記憶。
「肉の線維の太さとか食感の違いを感じて欲しかったので、分けて焼きました。」
いや、火入れ技術バツグン。引き締まりがちなモモ肉がやんわりと開いて、繊維のヒダから汁が滴っているのがわかる。シンプルにジュとオリーブオイルで食べるが、オイルもきちんと瓶を持ってきて銘柄を見せてくれる(銘柄忘れましたゴメン)。
畜産課のみんなも黙してひたすら食べる。
「いやー 試験場でいつもみんなスライスで焼き肉にしたのを試食するけど、食べ方変えんといかんなぁ〜」と、優男・強力を育てた尾石さんが漏らす。
そうそう、部位ごとに食べ方を変えないと意味が無いかもしれない。いつまでも牛は焼肉にすき焼き、という時代じゃないのだ。
いや、それにしてもいいお店。
力のあるシェフが、その地域の食材にはまって楽しんで創作する様は観ていて気持ちいい。願わくば、一年といわずもっとこの地でやんちゃしてからかえって欲しいものだ。志摩シェフ、ごちそうさまでした!