トウモロコシの記事を書いている。だから集中してコーン関連の書籍を読み、コーンをできるだけ食べようと思ってやっているのだが、そういや一つだけ忘れている分野があった。コーンの缶詰だ。
日本におけるトウモロコシ生産のうち、生食用(つまり茹でたり焼いたり)はほんのわずかなもので、ほとんどがコーン缶詰になる。その原料は、国産であればほとんどが北海道産だ。今の時期、北海道の缶詰用コーンの生産は、ほ場で刈り取ったコーンを速攻で缶詰工場に持ち込み、昼夜を問わず数時間内に穂軸から綺麗に実をむしり取って加熱し、缶詰になる。
僕はコーン缶を日常的に食べることはしない、というよりほとんど無い。出張先のホテルの朝食ビュフェで、サラダバーにあるコーンをちょいと食べるくらいだ。これは食い倒ラーとしては盲点であった!
ということで、近所のイトーヨーカドーの缶詰売り場に並んでいた3缶を買って食べて見た。
右からアヲハタ、マルハニチロ、いなばの三社だ。アヲハタとマルハニチロは「十勝産」と書いてあるが、いなばは「収穫当日に加工」という表示がある。ということはやっぱりこれも十勝産だろう。ちなみにいなばは「砂糖不使用」であった。
■アヲハタ
鮮やかなレモンイエロー、粒は三社の中で最も大きく深い、内容量に占める水分量も多い。スーパースイート種のきらびやかな甘さだが、ただし味わいは意外にあっさり、香りはほどほど。粒の大きさからくる食感のダイナミックさは好印象。
■マルハニチロ
三社中最も色が濃い。内容量、水分ともに少ない、粒も最も小さい。しかしながらコーンの味わいとして期待する風味が最も強くて好印象。コクのある味わいに特有の香りもある。
■いなば
アヲハタに次いで鮮やかなレモンイエロー。粒もアヲハタについで大きい。砂糖不使用ということでどんなものかと食べて見たが、実に味わいが弱い!それが砂糖不使用に由来するのか、原料のコーンに力が無いのかどうかはなんともわからないのだが、味気ない。
うーむ、最初の二缶は原材料に砂糖が記載されている。場所柄、甜菜糖なのだろう。アミノ酸等の表示はなかった。砂糖だけであんなにコクが出るかどうかわからないのだが、不使用の製品を食べて初めて、缶詰コーンが砂糖で味付けされている理由がわかった気がする。
ただし、これらコーン缶詰は、おそらくロットで相当に味が変わるのだろうと思う。どの缶の内容物も粒の揃い方から観るたところ、同一生産者・同一ほ場のものが入っていると思われる。おそらく、ほ場で適切な熟期を迎えたところから大型のコーンハーベスターで刈り取り、大型コンテナで一気に工場に搬入し、ひとつの生産者のものをラインにぶち込んでいくのだろう。そうすると、最初に計量の工程をいれることで、生産者ごとの支払のためのデータが間違いなくとれるし、合理的なのだ。
上記だとすれば、生産者ロットが変われば味も変わるはずだ。まったく同じ栽培方法を採っていたとしても、土地が変われば味が変わるのだから。ということで、夏の終わりまでにまた違うスーパーでこれらを買い求めて食べ比べてみようと思う。
それにしても、缶詰コーンの中身もスーパースイート種ばかりになってしまったのだなあ。甘いけれども、豊かな味わいのないものが多くなってきたように思う。そんな中、今回はマルハニチロのコーン缶が、僕の好みにあった。コーンの香りがちゃんとして、こっくりとしたうま味のある美味しい缶詰でした。ごちそうさまでした。
もうすぐ宮崎。さて一週間を始めよう。