今年で3回目を迎える「赤肉サミット」、例年は8月に開催していたのだが、今年は1ヶ月後の10月1日に開催する。完全クローズドなイベントで、柴田書店「専門料理」編集部が推してくれたいま勢いのある有力シェフ達と、一般のシェフ達、そしてごく限られた料理マスコミの方に声をかけて来ていただいている催しだ。
このブログでも何度も書いているように、牛肉の美味しさを決める要因は、
牛の品種×餌×飼い方×熟成=牛肉の味
である。
第一回目では「品種」を理解していただくために代表的な赤身肉品種として岩手県の短角和牛を三産地、高知県の土佐あかうしを二産地、ベンチマーク用にホルスタインを用意して食べ比べをしてもらった。
第二回目では「餌」の違いでどんなに味が変わるのかをみるため、上記に今度はくまもとあか牛を加えたうえで、穀物飼料(グレイン)中心か、粗飼料(グラス)中心の二種類の肉を用意して食べ比べを行った。
そして今回の第三回目のテーマは、、、「熟成」である! これまで日本ドライエージングビーフ普及協会の役員のはしくれとして国内外のドライエージングビーフ(DAB)の食べ比べをしてきて、やはり日本の赤身肉品種はDABにすることで美味しさが驚くほど増すと実感している。でも、各品種の肉を、肥育期間や熟成期間などの条件をそろえた上でDABとして食べ比べをする機会というのはどこにも無いはずだ。
今回、くまもとあか牛・土佐あかうし・いわて短角和牛の三種の穀物中心肥育の去勢肉を準備。そして粗飼料中心の肥育をした個体をくまもとあか牛、いわて短角和牛の二種で準備した(ただし粗飼料のくまもとあか牛は出荷個体の都合でメスである)。
この5種の肉を食べ比べように焼いてくれるのは、第一回からお願いしている青山「ランベリー」の岸本シェフだ。
そして昨年、創作料理を披露してくれた日本料理「龍吟」の山本征治シェフが、今年もDABを使った料理を創作してくれる!
いまノリにのっている山本征治シェフだが、実はDABについてはまだそれほど経験値がない状態だという。そこで、、、今回出品する赤身肉たちを熟成してくれている、静岡県は富士宮市の「さの萬」さんのご厚意により、肉達の事前チェック&試食をさせていただきに行ったのである!
モーレツに忙しい山本征治。僕と同い年なのに、彼は六本木と香港のスーパービルの101階に店を持つウルトラシェフ。赤肉サミットに出場いただき、ほんとに恐れ入ります。
「何いってんの!昨年から『来年もやるから』って言ってたでしょ!」
という、このなんでも引き受けちゃうドM体質なところが彼の真骨頂だ。この山本征治が、さの萬の佐野社長と出会った!
熟成庫内の一段を占拠するのが、赤肉サミットに出品される骨付きロース達である。
どれがどの肉かわかった人は偉い。なんつってわかるわけないか。まあとにかくグラス中心のものは細く、グレイン中心のものはぶっとい。カロリー全然違います。
熟成庫内に初めて来た山本征治のこの驚きの顔をみよ!いい表情撮れました(笑)さて、このうち三種の肉の端っこをテイスティングする。
これらの肉の熟成庫への入庫日は8月1日周辺。だから約30日間の熟成となっている。通常、アメリカでは28日間で十分な熟成が仕上がるが、日本ではやや長く熟成期間が必要だ。さの萬さんでは45日を熟成仕上がりの一つのポイントとしている。今回はそれにさらに上乗せして60日間の熟成をとっているということなのだ。
これをカットし、火入れ実験をする龍吟チーム。
DABの火入れは実に難しい。通常の肉とは違って、自由水がほとんど抜けて結合水の比率が高まっているため、火入れ温度と時間の許容範囲がシビアなのだ。
慎重に火入れをする龍吟チームだが、やはり「あれ、思ったより早い!」などの声が出る。
それでもやっぱりいい焼き加減に仕上がる!
3種の肉、やはり思惑通り、それぞれに全く別の味わいになったのだ!素晴らしい!当日までに完全に仕上がれば、それぞれの牛のDAB適性がよくわかることになると思う。
さあ、山本シェフはどんな創作料理を出そうとしているのか!?
「そんなの言えないよ〜(笑)けどね、いままでに誰も食べたことがないDAB料理をやりますよ!そしてその映像はYoutubeで全世界に公開します。楽しみにしててください!」
うん、これはマジで楽しみ。
実は、今回出品するいわて短角和牛のグラス中心の個体は、、、僕の草太郎の肉です!彼がどこまで健闘するのか!?これも非常に楽しみ。
ということで、一般の参加枠がないので読者の皆さんをご招待できないのが申し訳ないんだけど、このイベントを温かく見守ってやってください。