今週は、もしかすると東北の山に一週間いくはずだったのだが、それがまるっと無くなったので、東京に居ることになった。一週間東京にいるのはとても珍しいことで、この機を逃さず人と会いまくる週となったのでありました。
■撮影 オリンパスOM-D ZD25mmf2.8 12-50mm
イタリア料理屋ではありません。コの字型カウンターの居酒屋 錦糸町「井のなか」にて。とある大きな生協の関係者さん達に、僕の研究関連のお願いをしつつ、飲み会。
シマアジのポワレ?野菜のゼリー寄せパテは長島農園の野菜。ソースに敷いてあるのはブロッコリーのムース仕立て。おいおい工藤君、ここは居酒屋じゃなかったっけ?という驚きの展開です。
しかもメインは乳のみ子豚(笑)
もちろんこれらに、日本酒のお燗を合わせていく。料理や酒によって燗の温度帯を変えていったり、高温にした酒を氷で急冷してストレスをかけ、角をとっていく技は相変わらずだ。
店主・工藤ちゃんとのつきあいももう10年越えるなぁ。このブログ始めたばっかりの頃からよく登場してたもんね。途中、おおげんかして半年くらい音信不通になったり、お互いに惑ったりしながらも続いてきた義兄弟関係。
酒だけではなく、料理のほうにどんどんと手を広げてきた工藤ちゃん。肉の火入れはかなりの腕になってきている。
この日感動したのはなんとドルチェに出た酒粕アイスクリーム。
実は、井のなか開店当初から、純米大吟の酒粕をぶち込んだ、通称「メロンパンアイス」が名物だった。カプロン酸ばっちりのメロンぽい吟醸香が、このときばかりはいい方に作用する。ほんとにメロンパンのような甘やかで美味しいアイスクリームになっていたのだ。
しかし今回のアイスクリームを食べてビックリした。メロンパンではなくラムレーズンのごとき芳醇な味わい!
「これ、吟醸粕も変えたんですけど、醤油を香り付けに入れてるんですよ。愛媛県大洲市の梶田商店の旨味の強い醤油なんですけど、おいしいですかね?」
偉い旨い! こいつはスゴイよ。酒粕と醤油でなんでこんな素晴らしいアイスになるんだか、マジックだね。ちなみにアイスクリームベースも、シチリア料理「アルキメーデ」の重シェフから教わった、彼の手製だ。これを食べに行く価値ありです。
さて翌日は白金へ。
クックパッドという世界最大規模のレシピデータベースをご存じだろう。実はこの会社の創業者である佐野あきみつという男は、僕の慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス時代の、直接の後輩である。
本当に偶然なことに、あきみつがオープンキャンパスに訪れてきた時、僕は案内役のバイトを事務室から頼まれていた。ひょろっと背が高く、実にスポンティニアスに話しかけてくる彼を僕は自分の畑に連れて行き「お前、きっとうちの学校受かると思うから、入ったら畑に来いよ」と言ったのだ。
そして彼は受かって入学し、畑に来た。その畑を貸してくれていた飯島さんという専業農家さんの息子のやっくんが、野菜を直販していたのだが、これをネット上で予約できる仕組みを作ったらどうかと相談すると、彼はさささっとプログラミングをして実装してくれた。その時の体験が、クックパッドのビジネスにつながっていると言っていた。
佐野は今年、社長の座を降りて、海外やいろんなところにエバンジェリストとしてうごくような役回りに就いたそうだ。この日は佐野をサポートしてきた取締役の山岸君に頼まれて、あるテーマで情報交換。
クックパッドの社屋には立派なオープンキッチンがあり、社員はここを自由に使っていいのだという。オール電化であることをのぞけば理想的な環境だ!我が社もいつかこんなふうにしたいものだ、、、白金に事務所構えるのは難しいだろうけどね。
その足で、大学院の同期生であるコイチと食事。店は、クックパッドの入ってるビルから歩いて5分のところにある焼鳥「酉玉」。
この店の店主の伊澤さんは昔から、僕が開催するイベントによく出て下さっていて、食材も使ってくれている。それはよく識っていたのだけども、なんと店に足を運ぶのはこれが初めてなのだ!失礼いたしておりました、、、
鮮度のいい若鶏を使用するこの店の焼き鳥、実に部位が細分化されていて、楽しくいただきました。メニューを見ると、両国の豆腐店「豆源郷」の湯葉や豆腐も使ってくれている。
下は「とうがらし」という部位。牛肉の場合はチャックテンダーという堅めの部位だが、鶏のとうがらしとは、モモ肉のなかにある、あまり筋肉っぽくない部分だという。
ホントに不思議な食感。モモのムチムチした感じが一切無く、柔らかな筋繊維だ。
ちょうちんも鮮度の佳さを感じる美味しさ。
そしてなんと驚いたことに、この日から土佐あかうしの串が投入されていた! 実は先々週あたり、伊澤さんから「土佐あかうしの仕入れ先を紹介してもらえませんか?」と連絡があったので、産地に繋いだ。だから仕入れされるだろうことはわかっていたのだけども、よりによって今日からか!と感動。
しかも、食べ方も僕のアドバイスを取り入れてくれていた。サーロインなどのステーキ用の部位をそのまま焼いたって面白くない。硬いけど味のある部位を薄切りにして、ドネルケバブみたいに巻き込んでいくような串にすると旨いですよ、といったのだ。
そうしたら、そのとおり肩肉を薄切りにしたのを串に刺し、「あけがらし」という唐辛子味噌を添えたものが出てきた。これ、絶品です。ぜひ定番になってくれることを祈ります。みんなも食べて~!
さてコイチと別れて白金から広尾へ歩きつつ、「山藤」に寄ろうかと。白飯喰ってないからな。
先日のフジテレビ「新報道2001」の放映後、番組中で僕が食べていた「まめぶ」を食べたいという問い合わせが結構あったらしい。けれどもあれは特別な料理なので、無いことが多いのです。ゴメンナサイ。
白飯にウナギのタレかけたの喰いたいといったら、「それなら30分待ってもらって、ウナギのひつまぶししてあげるよ」と、グレードアップしてしまった(汗)
この土鍋ご飯、すごいのだ。だって、ウナギは四万十の大地を守る会基準で養殖されたもの、そして米が、、、岐阜県で突然変異種としてみつかった「龍の瞳」という米を使っているのだ。
この米、通常の1.5倍程度の大きさになる大粒米品種。大粒になるということは、美味しい部分の体積も1.5倍なワケで、加えて食感も1.5倍感じることになる。食べてみると一目瞭然で、インパクトが大きい。
ウナギのごとき濃い味付けにビッタシ合うのだ。
写真からも、粒の大きさが分かると思う。
この時点で23時半。食い過ぎだ、食い過ぎ!
さて昨日は品川の御殿山タワーへ。この日はやはり大学の一年後輩である星君が社長を務めるネット企業「ネットプライス」へ。この日も、食関連の農産物に関して話を聴かせて欲しいとのことで、担当者数名と星君に一時間ほど話をした。
ネットプライスは「ギャザリング」という共同購入システムで、人数が集まればより安く買えますという方式の買い方を具現化したネット小売だ。モールではなく自前で仕入れ販売をしており、ネットベンチャー勃興期からどんどん成長してここまできた。
けれども、結局は「安値が一番の価値」となってしまうことに自分たちで危惧を抱いたそうだ。安値競争は不毛だからね、、、
そこで、いまネットプライスは方向性を切り替えようとしている。価格の追求はもちろん続けるが、他方で本当に佳いものを作り売っていくという方向性を模索しているという。もう安値につきあってると疲弊する時代になってしまったから、よい方向転換だと思う。
御殿山ガーデン内のなだ万にて、お寿司。
そんなこんなで、この週はいろんな人と会ってきた。たまにはいいもんですな、こういう週も。来週からまた出張週間に入ります。
追伸:
オリンパスOM-Dで撮っているんだけど、なんか、すごくいい感じでないですか?ちょっとこれまでのマイクロフォーサーズ機とレベルの違う写りであると実感。ただしレンズを選びます。標準ズームは広角側では撮るが、料理を撮るにはすこし役不足。アップの写真はほとんどが25mmF2.8 で撮ってます。
このレンズはマイクロではないフォーサーズ用なので、マウントアダプタ経由だけど、それでも小さい。