焼き鯖寿司というと、存在感のある〆サバを酢飯に載せて押したもの、というのが定番だけれども、出雲ではそうではないらしい。とくに雲南市では、焼き鯖寿司というと上の写真のような寿司が定番なのだそうだ。
錦糸卵をかき分け、ご飯を掘っていくと、おっとありましたという感じで焼いてほぐしたサバの身が出てくる!のだけれども、なんと僕はこのとき、肝心のサバの身肉を撮影し忘れている!
、、、よくある話です。食べ始めたら、もう撮影そっちのけになっちゃったの。ゴメン。
とにかく、ほぐしたサバ肉がちりばめられているというのが、この地方の鯖寿司なのであった。これはなにも新しくできた郷土グルメではなく、昔からこのスタイルだったそうだ。
実はこの雲南市、鯖料理が有名になる歴史的な背景があった。というのも、出雲の漁港からちょっと内陸にいったところにある雲南市は、その昔ぎりぎり鯖を生の状態で運送できる地域だったそうだ。で、ここまで持ってきたのを、こっから先はサスガに無理!ということで焼いた。そうすると焼き鯖としてまた内陸に持って行くことができる。そうして焼き鯖がこの辺で名物になり、それを混ぜ込んだ寿司が名物料理になったのだ、ということだ。
「やっぱり、私たちが子供の頃からこの寿司がありましたからね」
と雲南市役所の西村さん。やっぱり、食材と食文化が、必然性をもって結びついてできた郷土料理は、素晴らしい。食べるだけじゃなくて、驚きと感動も一緒に味わうことができる。
ちなみに伺ったのは、老舗の「おくい」さん。
ずいぶん駆け足でいただいたので、もういちど行ってゆっくり味わいたいと思う。