というわけで、さる4月5日の夕刻、大阪は長居のパークホテル1Fにある熟成肉「又三郎」さんで、熟成しまくった土佐あかうし「強力」と「優男」の肉を食べる会が開催されたのでありました。お集まりいただいた皆さん、本当にありがとうございました!
それにしても本当に面白かったし、美味しかった! 4人のシェフが土佐あかうしに出会うツアーの夜、まだと畜したての強力の肉を食べた時、あまりに旨味が無くバサバサの食感に、
「もうだめだ、、、土佐あかうしの歴史に汚点を残してしまったか???」
と悶絶したけれども、杞憂であった。そうだろうとは思っていたが、時間をおけば赤身の肉は花開くのだ。ただし、そのためにかかる期間は気が遠くなるほどなのだが、、、
17時頃、又三郎に到着。長居駅は御堂筋線とJRがあるが、そのどちらからも近い。
47名程度の定員のスペースに、なんと今夜は52名も入れるという。ほとんどが又三郎さんの招待客なのだが、あとから「俺も入れろ」というごり押しがかなりあったようだ。
店に入るとほどなくしてみなさんのミーティング。東京のカルネヤから料理対決でやってきた高山シェフも、又三郎の大森シェフと打ち合わせに余念がない。
かなりのぶっつけ本番ぶりなので、どのように調理場を使うかということも含めて手探りだ。高山君、このイベントのために二回も又三郎に足を運び、事前準備をしてくれた。
今回は、最初に三種の熟成肉の食べ比べをした上で、二人の料理対決ということになる。この店には厨房スペースが二つあって、下ごしらえを中心に行う奥まったスペースと、大きな焼き台を擁するこのオープンスペースがある。オープンキッチンはこの通り、店内の多くの場所からみることが出来る、パフォーマンスの場なのだ。
打ち合わせ後、さっそくに高山君が仕込みに入る。
スタッフの奥土君がヘルプについてくれる。又三郎では基本的にパスタなどはやらないらしいので、彼にとってもいい経験になっただろうか。
高山君が塩をしているのは、強力のイチボ!
これにマスタードを塗って、衣をつけていく。
頼むぜ高山君、東京代表を背負ってるからなぁ! 、、、と、実は終了後、朝から38.5℃の熱が出ていたことを識る。うーむ、どこまでも男だな、貴方は!
オープンスペースでは、三種の食べ比べ肉のカッティング。
これ、強力の熟成肉です。
みただけでも、肉質のしっとり感が伝わってくる!サシの入り具合も実に「赤肉!」という感じ。これでいいのだ!
熟成肉は、周りのガビガビになった部分をトリミングしなければならない。そのトリミングした部分には菌がいっぱい付着している。だから、この部分が一番、熟成香が強い。
ということで、この切れ端部分をパクリと一口。うーん、強いナッツ香がする!
強力は1月26日にと畜したから、なんと約10週間(70日)!の熟成ということになる。いま、いろんな業者さんが熟成(ドライエージング)にチャレンジしているが、アベレージでみると45日程度の熟成で商品として出すというのが採算ラインとなっているようだ。けれども、前のエントリにも書いたが、赤身度が強い場合、熟成期間はかなり長くなるようなのだ。
ちなみに、後で書くけれども、ドライエージングではない強力のサーロインを、この2週間ほど前にリストランテ大澤で焼いてもらって食べた。あっさりめではあるが、とっても深みのある味わいの肉になっていた。だから、この10週間ドライエージングはまたすごいだろうと、期待半分・ドキドキ半分なのである。
そうこうするうち、お客さん達が集まり始める。ドライエージングビーフ普及協会でもある、さの萬の佐野社長と、飲食関連のコンサルタントとして高名なフードシステムの古田先生。
古田先生は又三郎さんが大好きだそうだ。
「やっぱりね、オンリーワンじゃないとダメだ。これからはもう低価格で売ったって売れないですよ。独自の価値を出してかなきゃ。デフレ時に強いのはね、自分にしかない強みをもった店なんです」
そして先生、又三郎の物販を評価しておられた。
「あのね、物販で10%程度の売上構成比率を確保できたら強いんです。」
なるほどね、最近、飲食店が惣菜・弁当だけではなく、オリジナル調味料や素材の販売までしていることが多いが、そういうことなんですな。
続々とゲストが到着する中、炭火の熾った焼き台では、熟成肉が焼かれ始める!
又三郎では、40分かけて肉を焼く。もちろんそれに適した厚みがあるのだが、焼いては休ませ、焼いては休ませで火入れをしていくのだ。
高山君は、イタリア風ハンバーグ「ポルヴェッタ」の準備。捏ねた生地をトルコの極細パスタであるカダイフで包み、熟成肉の脂で焼いていくのだ。
ちなみに左のカメラは、なんとわたくしめの密着取材です。この模様も含め、4月後半に某テレビにて放送される予定。また詳細きまったら告知します。
各界からのゲストの皆さんもほぼ揃いました。
さて、第一部の開幕です!
(つづく)