盛岡での出張中、なぜかよく行き会うお姉さん、いや若女将!?達が居た。
「わぁ~やまけんさん、こんどうちの店にも食べに来てよ!」
え、お店やってるんですか?
「そうそう、仲間で農家レストランやってるの!美味しいから来て!糠釜(ぬかがま)でご飯炊いてるから!」
はい、そのうち行くからねぇ!と元気に応えるけれども、本当にいけるのはごくわずか。けれどもその三週間後、県庁のサカタさんのはからいで、盛岡へ移動する途中に彼女たちの店に寄ることになった。それなのにその前日のロレオールでの会食時、後ろの席にあの若女将たちがいるではないか!
「あら~ 運命だわね私たち!」
とケラケラケラと笑う女性陣。やっぱり、第6次化はこういう明るい女性パワーが必須だ。それにしても糠釜とは恐れ入った。いまどき糠釜を使うとは。僕だって、その言葉は聞いたことはあれども、実際に火が入っているのを見たことはない!ワクワクするね。
農家レストラン「まだ来すた」(→まだきすた、と読む)は、直売施設に隣接する、古民家を改築したお店だ。
土間に入ると早速、稼働中の糠釜を発見!
糠釜は「ぬか」と言うけれども、実際には米のもみ殻を燃料にする釜だ。農業ではもみ殻を炭化させた「もみ殻燻炭」というのを作って土に施すことがあるけれども、燃やすのではなくいぶすようにして炭化させる。この糠釜は燻端を作るのではなく、燃やすのだろうか。とにかく、穀物の産地でなければできない製品だな。
店内はこんな感じで、本当にそのまま民家の外観と違って、綺麗!そして、この部屋の奥にも稼働はしていないが、退役した糠釜が鎮座している。
さて実は全く時間がないのだ。30以内でこの店の看板メニューをいただく。
「はい、はい、それじゃこれをまずはお食べくださ~い!」
これが、「まだ来すた」自慢の豆腐の肉味噌はさみ揚げ。
豆腐は、隣の直売所に出荷されている、地元で売った堅い豆腐。挟んでいるのはお手製のピーマン味噌。ピーマンと唐辛子を入れた辛味噌だ。それをぐるりと海苔で巻き、フライにしたというなかなかに手の込んだ一品だ。
こいつが、旨いっっっっっっっっっっっっっっ!
なんといっても豆腐がズシリと歯に存在感を感じさせる出来で、それなのに滑らかさもあって美味しい。精進揚げのようだけども、挟まれているピーマン味噌がしっかりした味わいなので、ソースとかかけなくてもこれだけで美味しく白飯を最後まで食べられる!
それに、なんといってもこの白飯ですよ、、、
これが糠釜で炊かれたご飯だ。お焦げの部分の香ばしさがプンと薫り立つ。
もう一つの人気メニューが「酢鶏」定食だ。
唐揚げにした鶏肉に酢豚風のソースがかかっている。このあたりでは、この酢鶏を目当てにやってくる人が結構いるそうだ。僕のように外から来た人間にしてみれば「ふつうの鶏の甘酢かけ」みたいに思えるけど、地元の人がみな毎日郷土料理を食べている訳じゃない。そうすると、この店は地元客向けと外から来た人向けの両方に対応するメニューがあると言うことである。
それにしても、旨いのはこの糠釜炊きの白飯だ。
これと漬物と、麹なんばん味噌があれば、4杯食えるな!
この方々、みな農家の嫁。古い民家の雰囲気と、元気のいい若女将達の軽口(下ネタ?)を聴きながら味わう農家のご飯は、実に味わい深い!ちなみに「まだきすた」とは、「またきたよー」という意味。次回は僕も「まだ来すたよ!」と入っていこうと思う。
農家レストラン「まだ来すた」
奥州市胆沢区若柳字大立目19
0197-46-4241