さて、そういうワケ(一つ前のエントリ参照)で、このいろいろ食べるイベントの後に、千厩(せんまや)のレストランあさひやへと向かった。平泉から車で40分程度だろうか、けっこうな距離を走った気がする。ちなみに、レストハウスでのイベントに来ていたロレオール伊藤シェフも一緒だ。
それにしても千厩(せんまや)という地名、とてもすてきな名前だ。その昔、東北で隆盛を誇った藤原氏が大きな厩舎を建設したことに由来するらしいが、この辺も厩(うまや)文化だったのだなぁ。
街道からひょいっと入って、川を渡る橋のたもと。地元から愛されるレストラン「あさひや」がある。左の方にある看板に書いてある通り、洋食とフランス料理の店なのだ。下記のWebをご覧いただくと、レギュラーメニューにはスタミナがっつり系の洋食メニューが充実していて、季節の限定メニューを見ると、実に素敵なフレンチメニューが並んでいる。
■レストラン あさひや http://www.asahiya-iwate.jp/
僕らがメニューを見ていると、イベントの片付けをしていたシェフと息子さんが帰ってきた!
やー、早速食べたい!
「なに食べます?もうお腹いっぱいなんじゃないの?」
うーんでもやっぱりね、気になるんですよ食い倒ラーとしては、このライスもの三品が!
特製カレーピラフはこの店随一の人気メニューだそうで、カレー風味のピラフのうえにとんかつが載り、さらにカレールーをかけたもの!こいツァぜったいに喰いたい!
お次はスタミナライス。俺はスタミナと名の付くメニューに本当に弱い。そしてオムハヤシ!このオムハヤシには炊き出しに関連した話があるそうだ。じゃあ喰わないとね。
ということで、伊藤、坂田、やまけんの三人でこの三皿をたべることに。
「あいよっ」
といきなり、見事なフライパンあおりの技を展開する原田シェフ。ちなみに同時並行で3つのフライパンをあおってます。
ジャーン! スタミナライス! 豚しょうが焼きどんぶりかと思ったら違う!
白ご飯の上に野菜が敷いてあって、その上に甘辛目に炒めた豚、野菜が載っているのだ。しかも、比較対象がないからわかりにくいけど、この皿デカイのよ!
「これ、われわれ用に特別にでかくしてくれたんですよね?」
「ん?違うわよいつもこうよ」
とおかみさん(笑) かなりのモリモリ系である!
そして、、、
来ましたカレーピラフ! うがーお このプレゼンテーションは、最近みたことがないくらいに素晴らしい!
カレールーは完全オリジナル。我慢できず喰った。小麦粉をかなり強めに炒めて、こがす手前で止めている、薫り高いルーである! これが、カレー風味のピラフに絡まりあって相乗効果! 全国のカレーマニアに送る、素晴らしきメニューである。
そして、オムハヤシ。
実はこのオムハヤシにはストーリーがある。岩手県産の黒毛和牛のフォンでとったデミグラスをかけたオムハヤシ、被災地向けの炊きだしで作ったことがあるそうだ。そうしたら、陸前高田で食べた人が「こんなの食べたことない」と泣いた。そして、千厩の近くの被災地で、あさひやを知っている人たちからは「これこれ、これが一番食べたかったんだ」と。
食べたことがあってもなくても、被災者をものすごく力づけ、心を温めたハヤシライスなのである。味はどうかって?いやもう絶品ですよ。フワトロ卵に、ケチャップ味とは別世界の本格ハヤシ。なんでこれが一皿千円未満なのかわからん。
調子に乗ってさらにスパゲッティ。
ホッとする味だぜ、、、
「これ、新鮮な鱈(タラ)をソテーにしたから、食べてみて」
と、バチバチに湯気の上がる見事なタラの、カマの部分!
旨い、、、トロケル身肉、皮のネチネチ感がまた最高。レモンの酸味が加わって最強。穴子のエスカベーシュも大変に美味しゅうございました。ぶっとい穴子が獲れるんだそうな。
さて、店も一段落し、原田シェフにお願いをする。今後、炊きだしにかかる費用にしていただくため、月に数回の支援金の振込をします。それに、炊きだし内容の報告をメールで送って下さい。→息子さんがその役を引き受けることに。
「いや、ほんとにありがたいですよ、、、われわれ同じ岩手に住む人間が、被災者を支えていかなきゃなんないから。頑張らんとね。先日もほら、ソウルオブ東北で作ってもらったキッチンカーを借りられたんで、炊きだしに行ってこられたんですよ。」
ソウルオブ東北というのは、僕もちょこっとだけ協力した、料理人を中心に東北を応援しようという運動で、寄付金やパーティーなどの収益をキッチンカーの購入・改造費用にあて、それを現地に支給するというもの。
これこれ、今、あさひやの駐車場にある!そして、実際に被災者の役に立っている!
これは実に実際的な支援で、被災地への炊きだしをやる際に、現地の状況が詳しく分かるわけはないから、ガスや鍋釜などをどうすればいいかという問題がつきまとう。充実しているところもあればそうでないところもあるからだ。しかし、オーブンやらなにやらが着いたキッチンカーがあれば、問題は解決。ソウルオブ東北、実績を残してまっせ。
原田シェフ、柔道家でもあり、岩手県の柔道連盟の幹部をしているそうだ。その厚い胸板、やっぱりやってたか!
それにしても魅力的な表情をする人だ。俺は一発で好きになったよ。
こうして夜は更けていった。
ということで、今後、被災地の炊きだしをするシェフに対する支援金プロジェクトは、ロレオールとあさひやにお支払いしていきます。もう、さっき30万円振り込みました。原田シェフの温かで美味しい食事が、被災地の人たちの心を和ませてくれますように。
そういえば最近、支援金のことを書いてなかったね。ということは、合計一千万円を越した支援金は、ほとんど固定メンバーからのものだったんだ。それもまたビックリ。
実を言うとね、一年経った時点でこの支援プロジェクト、ひっそりやめようかと思っていた。どこかの団体と違って、うちは入金いただいた支援金から、運営費用とかは一切抜かない。純粋にボランティアで、うちの部下が入金の確認連絡や報告メールを出したりしている。プロジェクト開始当初のペースはさすがに厳しいので週に二回ほどしか口座確認もしない感じだけど、それでもけっこう労力はかかるんだ。
それでも、愛媛県松山市の素晴らしい焼き鳥店の店主さんは、数十万円単位で振り込んできてくれる。また、数千円を毎月定期的に入金してくれる方がいる。基本給与以外の残業代とかは全部振り込むよ、という人もいる。この人達はなんだかその行為をやめようとしない。なのに、俺がやめてちゃしょうがないよね。
ということで、この支援金プロジェクトは継続しようと思います。
たまたま僕が岩手とのつながりが深いからですが、岩手県沿岸を中心とした被災地に炊きだしをしているシェフに、支援金を送るプロジェクトです。金額の多寡は問いません。もし、関心がある方はこちらのエントリを読んで、書かれている連絡先にメールを下さい。詳細をお送りします。
■2011年04月19日 炊き出しシェフへの支援金のスキームは検討途上ですが、見切り発車します。
https://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2011/04/post_1700.html