昨年、三重県の宝物食材を発掘する事業の選定委員に任命され、かなりの回数三重県に足を運んだんだけど、その最も遠出となった会で、実に楽しい出会いがあった。
熊野古道にほど近い紀和町。ここには実は昔、来たことがある! 車窓からの風景にデジャヴを感じている内に、ハッと気がついた。
「あれ?ここって、和歌山県北山村の近くじゃありませんかね?」
「ええ、そうですよ!紀和町は北山村の隣町なんです」
うわあああああああああああああああああああああああああああああ
そういうことかよ!
北山村というのは、三重県と奈良県に囲まれているにも関わらず、飛び地で和歌山県となっている不思議な村だ。僕のブログでこの北山村は、これまた不思議な魅力をもつ柑橘である「じゃばら」の項で登場している。
■北山村関連の過去エントリ
https://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2008/09/post_1211.html
https://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2008/10/post_1212.html
https://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2008/12/post_1248.html
https://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2010/03/8_1.html
この北山村へ向かう途中にあるのが、丸山千枚田だ。こんな絶景が拡がっている。これを忘れるはずがないのだ!
あーーーーー そうかそうか、そうだったのかと腑に落ちた。デジャヴではない、僕はここに来ていたのです。
さてその紀和町に、よくある町の第三セクターがある。紀和町ふるさと公社という財団法人で、この辺の特産物を商品化し、地元の温泉宿泊施設を運営しというように、地域産業の核として動いているところだ。
「よくある第三セクター」とちょっと意地悪な書き方をしたが、全国どこへいっても「地域」的な村落でこうした第三セクターが道の駅や宿泊所を運営している。うまくいっているケースは多くないのだが、トップが自治体からの天下りで、何もしないくせに居丈高だったりして、僕も何回か商談で不快な思いをしたことがある。
だから、この紀和町ふるさと公社もそんなもんだろうと思っていたのだが、、、失礼しました、何はともあれ商品についてはかなりの高レベルだったのだ!
まず案内されたのは「熊野地鶏」の鶏舎だ。
熊野地鶏は、三重県の東紀州で交配された地鶏品種で。なかなかに豪勢な掛け合わせをしている。三重県原産で、旨いシャモだと評判の「八木戸(やきど)」に、肉用鶏の伊勢赤どり、そして名古屋コーチンを掛け合わせているということだ。
八木戸は旨いが伝統的なシャモだけに肉量は少なく、身質も堅く引き締まっている。そこに、肉質が柔らかでしかも肉量が増える銘柄鳥を掛け合わせ、そこにコマーシャルな美味しさを加えるため名古屋コーチンをかけたということだろう。
第三セクターが運営するといいことは、ある意味とても実直でストレート、手抜きなしの事業展開をするということだ。鶏舎を見せてもらい、飼料設計のことを訊いて、そう実感した。
案内してくれた、ふるさと公社のクラヤさん。つい先日までこの熊野地鶏担当で、いまはキジの担当になっている。そう、公社では地鶏だけではなくキジの飼育もしているのだ!
何はともあれ食べさせてくれ~ということで、夕食をやはり紀和町ふるさと公社の運営する温泉旅館である「瀞流荘」にていただく。
熊野地鶏の生育日数は110日前後。地鶏として旨みが乗るに十分な期間だ。しかも餌は植物性中心で、飼料米など地域の未利用農産物資源をかなり取り入れている。そのせいか、肉質は極端に臭みが無く、いやそれどころかかなり上質な香りのする、端麗にして強靱な味わいだ!
これは美味しい! 最近たべた地鶏品種のなかでピカイチの肉質ではないか!
胸肉のじぶ煮も美味しゅうございました。適度な歯ごたえがあって、旨みに富んだ胸肉。強い弾力がありながら噛み切れ、芳醇な肉汁を湛えたモモ肉は実に素晴らしい。
いや、びっくりしましたぞ。
しかし、この紀和町ふるさと公社の目玉商品はもうひとつあるのだ!それが、サンマ醤油、、、