さて五ヶ瀬から高千穂峡を通って延岡に抜け、養豚場へ向かう。吉玉畜産(ヨシチク)のお母ちゃんと一家に会いに、だ。
宮崎県商工会議所との仕事で、農商工連携や6次化をめざす生産者の人たちの手伝いをしてきた。その中で、自分のところで育てている豚をどうやって世に出していこうかと試行錯誤しているヨシチクの一家に出会ったのだ。
ちよちゃんのみそ豚。この、豚肉を自家製の味噌で漬け込んだ商品を食べて、僕は唸った。
うーん。こいつぁ豚も味噌も旨い!
融点の非常に低い、さらりととける脂。南国・宮崎の豚らしく開放的な、柔らかい肉質。けれども嫌な臭みはほとんど無し。
きけば農産物のボカシ肥としてよく使われているEM菌を米ぬか等で培養したものを、餌に入れているそうだ。そうすると、腸内細菌の活動が活発になり、免疫力も上がり、結果的に投薬をまったくせずに豚を育てることができるようになった。通常、飼料メーカーから供給される餌には抗生剤等が添加されているケースが多いのだが、それを頼み込んで辞めてもらった。しかしそれ以降、深刻な病気に悩まされることは一切なくなったという。
副次的な話だが、この豚肉はアレルギー症状のひどい子供でも食べることができた、という報告が、当の本人の家族から寄せられている。ほかの肉を食べるとアレルギーで酷いことになるのが、EM豚ではまったく出ないそうだ。だから、この子は月に数回のEM豚配達の日を心待ちにしているという。
このヨシチクにようやく顔を出せる!
延岡の、マラソンコースにもなっているメジャーな街道沿いに、ヨシチクはある。
EM菌を使う以前は、マラソンランナーが糞の匂いに顔をしかめて通り過ぎるのを申し訳なく思っていたそうだ。ある日、男性が「あんたのところの糞尿の匂いはひどい。これを使ってみんか?」とEM菌を持ってきたそうだ。そこで試行錯誤して使っているうちに、糞尿の匂いも消え、豚の体調もよくなり、味もグングン向上してきたというわけだ。
僕はEM菌は数ある有用微生物資材の一つであり、とくにEM菌じゃなきゃダメ、というものでもないと思っている。ただ、このヨシチクとは非常に相性がよかったのだろう。結果的にいい豚が生まれているので、効果はあったと言うことだと思う。
まあまあ、やっときてくれたのねぇ~とお母ちゃん。 なかなかの美人なのである。
そして、頼もしい3代目となる勇作君。
航空自衛隊のパイロットあがりの、できる男である!
まずは豚舎をみせていただく。
「ごく普通の養豚経営なんですけどね、、、」
というが、まあ本当に糞尿の匂いがあまりしない。
中には、あまりの臭気に圧力のようなものを感じることがある豚舎もある。なんというか、匂いってのは質量をもってるんだなぁ、と思うような、匂いの粒子が着々と身体に溜まっていくようなのを実感することも多い。
けど、この豚舎にはそんな匂いは皆無。写真の見た目上、清潔感を感じないかもしれないけれども、実はこの撮影時は9月下旬の暑い最中。普通なら過発酵した糞尿の匂いがすごい時期だが、そんなきつい匂いは皆無だったのだ。
暑さにもかかわらず、子豚の発育も非常にいい。その原動力となっているのが、EMを培養させた独自の飼料だ。
「これがうちの豚の最大のミソです。」
とさらさらさせているのがEMボカシ。
香りが実によい!あまい醤油のような香りがするのだ。思わず僕は一口食べてしまった。
原則として、人間が食べて不快なものは動物が食べても不快だと考えよ、と僕は獣医師さんに教わった。このボカシ、米ぬかなど混ぜていると思うが、綺麗に乳酸発酵していて実に美味しい。アミノ酸の塊だ。
そのせいかどうかわからないが、子豚の生存率もなかなかに成績がいいらしい。
お父さんもおとこまえ!美男美女カップルから生まれた勇作君だから、男前なんですなぁ。
さて、事務所前のテントで、「直ちゃん」でメシをたっぷり食ってきたのに、豚肉三昧(笑)!
これは、余ってしまう腕肉でつくったという自家製ハム!これが、筋の部分のこりこりした感じが実にいいできあがり。これも売れるんじゃないの?
ヨシチクでは、通常の市場出荷もしているけれども、数頭分をEM豚として直売している。だから、カット設備もあって、いろんな人が立ち働いている。
焼き肉用ロースや、、、
とんかつ用カットも販売している。
EM豚の豚バラしゃぶは、実にクリアな味で美味しい!
南国系の豚は、特有の獣臭さを持つものが多いが、ここのEM豚は匂いが押さえられている。クリアな味わいだ。
そして、なんといってもここの味噌漬けが旨い! 通販もやっているので、興味のある人はぜひお取り寄せを。
■吉玉畜産精肉部
〒882-0083 宮崎県延岡市柚木町738
0982-33-1087
もちろん、宮崎市のスーパー「フーデリー」でも買えるはずだ。
リエちゃん、リエコさんと記念写真。いい応援団がついてますな!
さて、この日の夜は、EM豚を扱ってくれているという延岡の店で一緒に食べることに。では、後ほど会いましょう~!
このWebはいわゆるグルメではありません。味や価格だけではない「よい食事」とは何かを追求するためにひたすら食い倒れる記録です。私の嗜好に合う人しか楽しめないと思いますがあしからず。
本サイトの著作権はやまけんが保持します。出版物・放送等に掲載される場合はご連絡を下さい。トラックバックはご自由に。