高知の夜、もうかなりめぼしい店は回ってしまったのではないかと思っていたけれども、そんな不遜な心持ちは木っ端みじんに砕かれた。公文さんが「実はここが切り札なんです」と連れて行ってくれた「かもん亭」。旨い店はまだまだあるものだと唸ってしまったのである。
かもん亭
高知県高知市はりまや町2-3-13
088-885-0855
おすすめメニューは粋の良さそうな魚を中心としながら、しっかりと土佐あかうしのメニューも。
試験場で強力と優男の面倒を見てくださっている尾石チーフに松崎さんも到着。ハラへったぁと呪文のようにつぶやいているうちに出てきたのがまずは刺身盛り!
この日の一番は、一本釣りのウルメ。ウルメイワシは関東の方ではあまり出回らないのだけれども、四国ではこちらのほうがよく出てくる。それにしても、網ではなく一本釣りで獲ったウルメとはゴージャスだ!
このウルメがやはり絶品であった! 関東でなんとかウルメを手に入れて刺身にすると、とろけてしまうようなトロトロ感を楽しめるけれども、一本釣りのものは網でもまれていない分、実がしっかりしている。ああ、ウルメももとは身肉の歯ごたえがあるのかと再認識。生臭みゼロにして脂ののりもほどよく、高級魚のようにはかなく溶けて消えていく。
添えられた塩も粒が大きく、バシンと利きながら旨みも濃い。添えられた柑橘はいったいなんだろう?と高知生まnれの皆も首をかしげるが、店主に聴くとなんと青もぎの小夏である。宮崎における日向夏と同じものを四国では小夏またはニューサマーオレンジという。でもこの季節にあるということは、摘果したものだろう。この青もぎ小夏の汁がまた、ほどよく柔らかな酸に特有の典雅な香りで、ウルメの身を引き締めすぎない味を醸してくれるのだ!
鰹は皮を引いた刺身で供された。実は前日が荒天で漁に出られなかったフネが多かったらしく、あまり市場には荷がなかったらしいということは、この後もう一件いく「なとな」の女将から聴いていた。それでもやはりさすがに高知。旨いですよ、、、
そして次に、度肝を抜くような大皿が!
「ウルメイワシのバッテラと、土佐ジローの卵焼きとソボロの太巻きです」
うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
なんですかそれは! 軽く〆めたウルメイワシにしそ・ごまを噛ませて棒寿司にし、上におぼろ昆布を巻いてある。うーーーー 美しきプレゼンテーションではないか!
この技のサエとセンスに脱帽、もちろん最上級に旨いバッテラです。一緒に来ていた、宮崎の食品スーパー「フーデリー」の武虎君が「さっそくこれ、うちの弁当総菜売場でもやらせていただきたい」といって、写メを担当者に送っていたほどである。
土佐ジローそぼろと卵焼きの太巻きも、実に和な肉寿司で美味しくいただいた。
おくればせながら前菜(笑)
土佐あかうしの湯引き?の下に温州みかん、上からごまだれ。ミカンと肉を一緒にいただくと優しいお味。
一般にはめったに手に入らない、土佐あかうしのすじ肉の煮込み。ほろほろの大根に載せて出てきた。
味噌味がきつくないので、しこしこしたすじ肉の食感を十全に楽しめる。
さんまのごま味噌焼き。
土佐あかうしの焼き切り。内部にしっとりした熱が入った、絶妙な火入れ。
そして、土佐あかうし入りの具だくさんほおば味噌。
手造りベーコン。
土佐はちきん地鶏のもも肉焼き
そしてメインはツガニ汁。
みよこの素晴らしき汁文化! ツガニをぐずぐずに割ってダシを取った汁なのだろうとおもうが、具材の「りゅうきゅう」が綽々としててまた最高。
そうめんの暖かみとあいまって、これは乙としかいいようのないお味と風味。素晴らしきものをいただきました、、、
大感激の2時間半。この店、新婚ほやほやの公文氏の切り札だけはある。再訪必至の店がまた、高知にできたのである、、、