高知県でも初めての試みとなる、「草などの粗飼料を中心に食べさせた土佐あかうし」である強力(ごうりき)と優男(やさおとこ)の出荷が近づいてきた。年を越して1月と2月に出荷の予定だ。なんかもう、あっというまに25ヶ月って経ってしまうんだな、と呆然としてしまった。
それにしても今回、二頭がズドンと大きくなっていたので驚いた!
数ヶ月前に会ったときは、これって母牛?というほどにスリムで肉がついてない感じだったのが、ずどんと横にも肉が張り出してきた。とくに優男のほうは、どかーんとでっかい体躯だ。
これは完全に遺伝だな。親が増体型の血統だったのだろう。ただし、綱を引いている尾石チーフによれば、身体はデカイが肉の仕上がりはもうすこし時間がかかるぞ、とのこと。
で、強力は相変わらず目つき鋭く、いらいらとしていた(笑)
小柄だけども、体型的にはこちらのほうがより仕上がっているという。
尾石チーフは強力が可愛くて仕方がないらしい。
「おれはもう、出荷には立ち会わん。こいつが可愛いからなぁ、、、肉にしとうない」
そんなに人になつかなさそうな強力が、尾石チーフには気持ちよさそうになでられていた。
この二頭は、通常の配合飼料で育てるのではなく、粗飼料と呼ばれる乾草類を多く給餌して育てている。
一回の食事で与える配合飼料は通常は5~6kg与えるところ、1キロだけ。その代わりに数種類の乾草を与える。
いなわら、イタリアンライグラス、そして四国特有の野草「野ビエ」を発酵させたサイレージ飼料だ。
この牛が肉となったときにどんな評価を得るのか、とても興味深いのである。土佐あかうしのグラス中心というのはいままでに明示的には存在していなかったのだから、、、
これに先立って、全農高知の食肉センターにて、土佐あかうしの共励会が開催されていた。
共励会とはつまり品評会のことだ。ここで、僕がお会いしてきた生産者さんが2人、入賞していた!
表彰式の後、肉屋さんがあつまるセリが開催される。もちろん賞を取った牛を狙う人たちばかりだ。
これが、土佐あかうし部門で優秀賞(次席)をとった池地(いけじ)さんの牛の枝肉だ。
なかなかにすごい!
セリ台にセリ人が登り、いよいよ始まった!
高知ではせり上げ方式。最低ラインの価格をセリ人が示し、買いたい人は手を上げて意思表示、セリ人は複数の買手がいる場合はどんどん値を上げていく。最後に一人残った時の価格が落札価格だ。上の写真では、手前の赤いジャンパーの人がオレンジ色のボールペンをあげて「買うぞ」の意思表示をしている。
見事落札! はい、三谷ミートの三谷専務でした!
今年から全農高知では、値がつかなかった場合(買手がいなかった場合)も、条件がそろっていれば1400円で仕切価格をつけて全農が買い上げるというシステムを導入した。つまり生産者の努力に見合う最低価格を保証したということだ。これは実に素晴らしいこと。生産者は相場を気にせず安心して、基準以上の品質にトライできる。
いま、全国的に牛の価格が暴落している。とても生産者がやっていけない金額だ。どうすればいいのか、見当もつかない。ただ一ついえるのは、どうやって牛さんが育ち、肉になっているのかをもっと一般に識ってもらわないといけないと言うことだろう。
そこの部分をもっとこのブログでも書いていきたいと思う。さて本日は高知市内から西土佐、四万十まで足を伸ばします。