宮崎に向かう羽田空港にいます。ここ数日激務でブログろくに書けません、ゴメンナサイ。
さて折に触れ、現場の観点から鋭いコメントをいただく農業生産者さん(メイン品目はホウレンソウ)から下記のようなメールが。私もこれまで書いてきたことを現場視点から補強してくれているので、引用します。
日経新聞HPに注目してます。
「日経新聞ホームページ 創論・時論 TPP参加、影響は アンケート」の途中経過をチェックしてます。 農業強化策についての設問で7割近くの人が「規制緩和を通じて企業などの農業参入をすすめる」を選んでます。おそらく規制緩和とは企業が農地を所有することだと思います。私は試算などしなくても、企業が水田を所有できたとしても稲作経営が成り立たないとわかります。他産業に比較すると、投資額に対する生産額・販売額があまりにも低いからです。労働時間を平準化できない等々、雇用も問題山積です。
さて日経の記者(と読者)が掛け算もできないほど数字に弱いなどと言うことはありえないですし、稲作経営の基本的データを農水省ホームページで見ることもできます。それにも関わらず企業が稲作経営できると考えているとしたら、世の中にはとんでもない誤解があるような気がします。
もしこの誤解があるとしたら、その原因はなんだろうかと考えました。農家や農水省、農協、農業ジャーナリスト、学者その他農業関係者はこのとんでもない誤解を放置してきたことが、一番の原因だと私は思います。世の中には教えてもらわないと理解できないことはいっぱいありますから。
たぶん誰一人として日経の記者に「もし企業が100億円投資して、まとまった水田を購入し、稲作経営したらどれほど利益がでますか?」とたずねたことがなかったのです。畜産と園芸作物では企業が大規模経営をしていることも、あまり知られていないのかもしれません。私は「エア・ウォーター農園」が成功するか時々ネットでチェックしてます。過去に2回も失敗した後のチャレンジですから、あらゆる工夫をしていると期待してます。
この中で最も重要と僕が思う部分はここだ。
他産業に比較すると、投資額に対する生産額・販売額があまりにも低い
これまで著書にも書いてきたし、言葉をかえて何度も言っていることだけれども、農産物の価格は安すぎる。それは、「市場原理のなかで公正に決められた価格」という枠組みから逸脱した価格になっているのだ。コスト削減をしろとか、中間マージンを削減しろとかいわれるが、そんなことをしても追いつかないほどにアウトプットの価格が安すぎる。それでも現在の農家がやっていけているのは、地方の生活コストが安く住むことや、兼業で生計を立てることができるからである。「兼業農家はけしからん」という何も考えないやつがいるが、兼業農家がすべて農業を捨てたら、この国の食べ物は一気に半減(どころではないとおもうが)するだろう。
ともあれ、企業が参入すれば効率的な農業が実現され、農業が活性化するという盲目的な言説は、まやかしでしかない。しかし、日経新聞はそんな言説を胸を張って主張する。日経新聞の中でも、第一次産業に造詣の深い記者の知人が「あれは本当におかしい」と眉をひそめている内容だが、そういう良識派が書く余地は、いまの日経にはないらしい。
ということで、宮崎へ飛んできます。