さていよいよメインディッシュだ!
■主菜
サーロインステーキとそのジュ
前回の薪や炭での熱源におもきをおく調理法ではなく、ロティ、ブレゼという基本的な調理法でアプローチします。ソースもアルコール等は一切使わず、肉そのもののジュースで自然な仕上がりにしました。付け合わせはピッコロ大魔王の必殺技「マカンコーサッポー」からイメージ(笑) (小池シェフ談)
最後の付け合わせのイメージは”なんじゃそりゃ!”だけど(笑)、言わんとしてることはわかった。それはともかく、これが国産丸のサーロインである。
肉を見慣れた人ならわかると思うが、少し粗めの繊維だ。やっぱりこの辺はオスだというのが効いている。メスのさちのサーロインはもっときめが細かかったので、それが食感や舌触りにも影響していたのだけれども、今回の国産丸の場合はこのようにざっくりした感じの筋繊維。ただし、ジューシーな保水性と旨みの強さがあるので、「粗いなぁ」とは感じない。持ち主がいうのも何だけれども美味しゅうございました。これぞザ・短角という感じだ。
大阪「又三郎」の荒井さんに感想を聞いたら、「もう、これが出てくる前にガンガン大きいポーションの料理が出てきてるから、、、最初に食べたかったわ」と言われてしまった。スミマセン、、、けど、国産丸の主要部位を食べ尽くすのがテーマなので、、、おつきあいいただいて感謝です。
さぁ そしてメインの二皿目!
■リブロースの蒸し焼き 赤ワインとベアルネーズソース
サーロインはシンプルに味わってもらい、リブロースは複雑な旨みの料理にしました。リブロースはスライスして重ねてロール状に巻き、それを切り出してリソレしたあと赤ワインでブレゼにしています。ベアルネーズも用いてしっかりした一品に。すき焼きをイメージしました。
えええっ これってかたまり肉じゃないの?っと驚く。
なるほど、巻いている様に見える!しかし表面はバチッとメイラード反応で固めて旨みを醸成している。これにナイフを入れると、、、
おお、こうなるのか!よくある薄切りスライス肉のロールではなくて、ある程度厚みのある肉をロールにしているのだ。リブロースはカブリや筋間脂肪などいろんなパーツが混合している部分で、食感、うまさが凝縮された部位だ。それをこうやって総合的に味わえる工夫だ。
この赤ワインソースがあまっぽくて、上に載った長葱とゴボウにも肉のジュが絡められているのか、本当にすき焼きのような懐かしい美味しさだ。それにベアルネーズのマヨっぽいコクが合わさって、白飯が食いたい!
と思っていたら、〆のカレーです(笑)
■〆 牛肩肉のカルボナードのカレー仕立て(東京ブラックカレー)
またまた〆のカレーです(笑)ベルギーやフランス、ピカルティー地方のカルボナード(牛のビール煮)をカレーに仕立てました、使用したビールは黒ビールの東京ブラック。スパイスはネパールのオーガニックスパイス。赤ワインビネガーのこくとカソナードの甘みでバランスをとりました。カレー好きのやまけんさん、どーですか?牛肩からもいいビーフブイヨンが出ました。
どーですかって、いやもう最高! このカレーはマジで旨い! 東京ブラックは、ヨナヨナエールのヤッホーブルーイングの黒ビールで、実に苦みが利いた旨い黒。これで煮込んであるから、味に奥行きがある。苦みはカレーのよき伴侶、しかもスパイスはネパリバザールの有機ものだ。実はこのカレー、翌日は店のランチにひっそりと出ていた。これ食べることができた人はラッキーでしたよ。
なかには3杯おかわりした人も、、、っていうのは俺です(笑)でもみんなおかわりして(女性も!)、美味しい〆となったのでした。
デザートは夏野菜のパフェ。アイスクリームはバジル、ストロー状のはズッキーニ、そしてカスタード状のはトウモロコシのムースだ!
最後まで徹底的にディティールにこだわる東京バルバリ。このデザートだけでどんだけ手がかかっているのか!
さてここで満を持して小池君登場!
ばしばし光るフラッシュ!
「いやー、今年は苦労しました(笑)だってやまけんさんから連絡があったの、一ヶ月前ですもん。料理考えるのに時間かかりますから、できれば45日前くらいには教えて欲しいですね(笑)」
すみません、苦労かけました、、、
「さちの肉に比べると、国産丸の肉はすごくいい意味で男っぽい。違いを感じながら料理しました。繊維が粗いんですけど、肉汁の旨みはさちと同等。あとは好みだと思います。きょうの料理はその肉質に合わせながら創りました。」
「すごく不思議だったのは、国産100%の餌だということだったんですけど、、、さちの肉の時よりも、脂のうまさに黒毛のようなイメージがあったんですよ。さちの時はサシがたっぷり入っていたけど、脂はクリアで嫌な感じはありませんでした。今回の国産丸も、脂に嫌気はまったくありませんけど、でも黒毛のようなコクのある香りを感じたんですよ。」
という小池君のコメント。カッキーこれをきいてなるほどなぁという顔。
「あの、今回は脂の違いをみてくれたかな、というところが僕には興味ありました、だからわかってくれて感謝です。さちの肉は僕も食べましたけど、あそこまでは脂をいれたくない。けれども、短角は脂も載るし、うちの村の育て方だとその脂の味に違いが出ます。まあ、美味しいといってもらえたんでよかったです(笑)」
この日、カッキーは自分の肉の通販のチラシを何枚か持ってきて、初対面の人たちに説明をしていた。生産者自身が、自分の牛を売るということを始める時期が来ているのだ。毎日休日なしで牛を育てなければならない生産農家にとって本来それは大変なこと。けれども、彼はチャレンジしようとしているこのブログでもカッキーの牛販売の内容は伝えていこうと思う。
こんな感じで、無事終了! 今年はみなさんを終電前にお送りすることができました。
中には、プレミアム短角牛を食べる会からさちの会、今回と三回目の参加者もいた。なんとそれは見目うるわしき女子。しかも一人参加。無駄口たたかず、とにかく料理を喰らう!そしてあとからわかったけど実況Twitter中継をしていた(リアルにはしゃべらないのに、Twitterでは饒舌であった(笑))。
以前、震災の被災地に餌が届かぬ理由を教えてくれた名古屋のトラック野郎もなんと参加してくれていた。事前に教えてくれよ~
宮崎、北海道、大阪など遠方からこの会のために来てくれた人たちに本当に感謝です。そして、来年は岩泉町から草太郎が出荷されます。ぜひまた集っていただければと思います。
最後にやはり東京バルバリに感謝!やっぱり君たちは最高だよ!本当にありがとうございました。国産丸も成仏してくれたと思います。彼のことを想いつつ、この一連のエントリを終えます。
追伸: 小池君からのメールを付記します。
お疲れ様です。小池です。
ブログ読ませていただきました。写真もすごく綺麗でいつもながら、感謝です。やまけんさんのおかげでこの会が終わるとなんだか成長した感じがします。あとほんとに命懸けでやるので死期が早まったような気がします。(笑) でも生涯こんな経験できる料理人はそういないとおもいます。
前菜のシンタマ僕の投げかけたメッセージをまさに真芯でとらえて解説されてたのは、涙が出そうになりました。一部の経営者、料理人が日本の食肉文化を壊してしまいました。マスメディアの報道にも疑問を感じます。そして原発の追い討ち。そういう時に、赤肉サミットや今回の会をやることは重要な要素だと思います。やまけんさんの思いが日本を元気にするひとつの種だと信じています。
ありがとうございます。