HOYAがペンタックスをリコーに譲渡することになったわけだが、その記者会見の席上でのリコーの社長の発言記録を読むと、「うちのカメラ事業部は好きなカメラばかり作っている。これからはビジネスにしていかないといけない」というようなことを言っている。また、「今後はレンズ交換式カメラが主流に」というようなことも。先日発表されたペンタックスのQマウントのシステムにご執心のようにも受け取ることができる。
んー なんだかなぁ。
リコーのカメラは「好きなカメラを作る」というコダワリから生まれたものがヒットしている。GR-Dシリーズなんて、ズームできない単焦点、しかも広角28mm固定のカメラだ。それが実に息長くヒットして三代目まで来ている。一般コンパクト機のCXシリーズもそこそこシェアをとっているはずだ。
そしてGXR。非常にマニアックなシステムだということはあるけれども、「レンズとセンサーが最適化された一体型システム」であるユニットを、ボディに着脱するというのは秀逸な理屈だ。そして事実、画質は非常によい。
ちょうど、先週の週刊新潮から、写真家の藤原信也さんとホンマタカシさんが、GXRを片手に被災地の写真を撮るという連載が始まっている。見開きページにでかでかとのばされた写真は一眼レフ品質だ。それはあたりまえ、レフ機構はないが、APS-Cサイズの撮像センサーを内蔵したレンズユニットを使って撮っているのだから高画質なのだ。
GXR用のA12と呼ばれる50mmF2.5マクロユニットは最強で、これに28mmF2.5ユニットを加えれば、基本的には広角と標準・マクロが揃い、意外とどんなシーンも撮れるようになる。しかもホワイトバランスが秀逸で、手ぶれ補正がユニットに内蔵されてなくとも意外にぶれにくく、そして小さい・軽い。
花写真とか僕は興味なかったけど、このカメラを手にしてからよく撮るようになった。それは「簡単だから」だ。一眼レフにマクロを着けて撮影するより楽ですよ。ホント。
だから、「コンデジからステップアップしようとしているが、一眼レフは重いなぁと思っている」ひとには、このGXRを薦めている。そして買った人は残らず「買ってよかった!」と言っている。50mmユニットしか買って無い人がほとんどなのに、満足しているのだ。
第一リコーの社長に問いたい。「ビジネスにしないと」という前に、広告宣伝費を十分につけてあげているの?俺はGXRが派手にPRされているのを観たことないよ。最初、GXRとA12ユニットはAF速度の点で問題があり、「ピントが合わないカメラ」という噂が流れ、セールスに少なからず影響を与えたと思う。けれどもファームウェアの改善でそれはいまや昔話。ばっちりAFは合うし、スピードも最初の体感2倍にはなっていて、十分に実用的である。もっと宣伝してあげなよ。だって俺、プロカメラマンさんの集まりに行かせてもらって、GXRのこと悪く言う人きいたこと無いよ。
ペンタックスのカメラ資産は、645D を筆頭に残すべきものが多いのだろうと思うけど、リコーのラインも同等に扱って欲しい。少なくとも俺のこのボディに、大口径標準ズームと85mm程度の中望遠が着くまではなんとかしてほしいものだ。