鰹(カツオ)と言えば、、、土佐!もしくは静岡の焼津?といったところが頭に浮かぶだろう。しかしあえて言うと、実は宮崎県の日南市はカツオの本場なのである。
な、なにそれ?といぶかしく思う人も居るかもしれないが、なんと日南市は、鰹の一本釣り漁法による水揚げ量は日本一を誇るのだ!この事実があまり知られていないのも無理はない。これ実は、日南の漁港に揚がる鰹の量ではなくて、この一体の漁協が有する船団が全国各地に鰹を追っかけて一本釣りし、近くの漁港に水揚げする。その量が日本一なのである。
ややこしいけど、農業のように収穫物が生産した土地に紐付けられるものとは違い、魚の場合は①釣る船の船籍、②釣った場所、③水揚げした漁港がすべてばらばらであることが珍しくないのである。
日南の南郷町にある目井津(めいつ)港にて、県の水産部でもあり、鰹漁師のおやじさんを持つK氏が、自宅へと連れて行ってくれた。
K氏のおやじさん、もう引退したけれども、昭和43年から船に乗り、長いこと船頭として鰹人生を送ってきた方だ。お話しの中で印象に残ったことは多々あるのだけれども、今回の東日本大震災の影響については非常に顔を曇らせておられた。
「これはもう本当に大変だわ、、、我々も何ヶ月も向こうに行って鰹を捕ったもんだが、今年は漁港自体が復興しても、生き餌が十分にとれるかわからん。」
かれら日南の両市は三陸の方と密なやりとりをしているわけだが、復興自体は6月をめどに進めているとのこと。製氷設備や燃料はなんとかなるだろう、ということなのだが、漁に使う生き餌をふんだんに使えるかということが非常に心配なのだそうだ。バケツいっぱい数百円のものが、ものすごく高騰してしまうのではないか。そうなると価格的に見合わなくなってしまうと言うことだった。この辺、状況を注視していきたい。
今度はぜひK家の船で一本釣りした鰹をいただきたいものだ。また遊びに行かせてくださいね!
さてここ日南で、この鰹を使ったご当地グルメがあるという。それを食べに、日南の人たちが口をそろえて「この店が旨い」という店、「みどりや」へ向かう。
夜は魚を中心とした店だが、ランチは非常にお得!僕はこのみどりやへは、京屋酒造の渡邊社長に何回か連れてきてもらったことがある。魚料理だけではなく、クリームコロッケなどの洋食もすさまじく旨いみせなのだ。
さて、「日南一本釣りカツオ炙り重」(←長いっ!)だが、1200円とちょっと高いか?と思う価格だが、その内容をみればまず納得するはず。
なんと一人に一つ、小型の火鉢が出てくるのである!この炭火に、たれにつけてある鰹をのせて炙るのだが、そのたれも二種ある。
こちらは醤油ベースのたれで、下は味噌ベースである。
「炙るのは片面だけ、さっとで食べられますから!」という注意がされて、いざいただきます。
刺身で食べて旨い一本釣りの生カツオを軽くジューッと炙ってしまう。
これを白飯にのせて食べるわけだけども、旨いに決まってるよ! 巻き網などの漁法で一網打尽に獲ってしまうカツオは、カツオが暴れるので身が焼けてしまう。一本釣りのカツオはそれがないので、もちもちプルンという、なんともなまめかしい食感と、実にすっきりした風味が楽しめるのだ。ちなみに宮崎ではカツオの食べ方はタタキではなく圧倒的に刺身である。
さてカツオの切り身を楽しんでいると、なんと吸い物に「ぎょうどん」が出てきた!
これはこのときのサービスなのかもしれないが、魚のすり身をところてんのように押し出して麺にした吸い物だ。いやー実に佳い魚食です。汁にもすり身魚のうまみが溶け出して、なんともこっくりしたスープになっている。
ところでせっかくなのでこの店自慢のクリームコロッケも。
でかい!しかもミートソースの上にとぽんと乗っている!久しぶりの再会にあんまり興奮しちゃって、食べてるところの写真は撮れてないゴメン。シーフードてんこ盛りの贅沢コロッケです。ランチどきでも余裕があればやってくれるので、試してほしい。
もう一つは海鮮天丼。
この店の天丼はタレがおもしろくて、よくある濃い天つゆではない。とろみをつけたあんかけ風のタレで、淡い味。つまりネタの味を最大限に味わうためのタレなのだ。とっても美味です。
しかしここで思いもよらぬコトが起きたのだ!
「カツオ炙り重のお茶漬け用のご飯と出汁をおもちしましたぁ~」
な、な、なにいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい
これだけ食わせといて(コロッケと天丼はこっちが頼んだけどね(笑))、さらにお茶漬け用のご飯が出るの!?しかも葉ネギとのりがまぶされているという丁寧さ!ここにタレをよーくからめた切り身を乗せる。熱々の出汁をかければ、、、
うわーーーーーお すばらしいプレゼンテーションではないかっ!
カツオの刺身は生が旨い。 けれども軽く炙れば、タンパク質の変性でうま味が発生し、暖かさでそのうま味を味わいやすくなり、さらに美味しくなる。そして、美味しい出汁で茶漬けにすれば、、、 うまさの相乗効果が何倍にもなる!
いやーみどりやの搦め手にすっかりやられました。
さてこのみどりやの話は実は先月末のこと。一昨日は、県職員さんと一緒に宮崎空港へカツオを食べに行った。なんで空港?と思うかもしれないが、実は以前にもレポートした宮崎空港内の魚山亭がなくなっちゃった事件のように、いままであったお店を空港が直営店にして、グレードをアップさせようとしているというのだ。
空港3Fにある「わたつみ」は、寿司をメインにしているが魚介料理なんでもござれの新店だ。ここで初かつおフェアをやっているわけである。
イチオシは「復活定食」1500円。わたつみの店長さんは女性なんだそうだが、自発的にメニューを開発するそうで、口蹄疫や新燃岳などの災害に見舞われた宮崎の復活、この店をリニューアルオープンさせたことについての復活、そして「カツオ」だから「ふっカツ」という、いろんな意味を重ねたネーミングだそうだ。
それにしてもなんだか宮崎ってなんでも価格が安い(笑)
これだけ盛り込まれていれば1500円は納得のプライスだ。
ここももちろん一本釣りカツオの生が出てくる。
その脇には南蛮揚げ巻きと牛肉そぼろ巻き(だったと思う。けっこうでかい)が鎮座し、、、
そのうえミニヅケ丼までついてくる!
しかし驚きはそれだけではないのである。
「同じ直営店ですから、もしこの店で隣の夢かぐらの地鶏焼きが食べたい、コスモスのカレーが食べたいということであれば、持ってきますよ!」
マジですか!? ということで、、、
食べました(笑)
なーんか、空港でこんなに満腹になるのも珍しい(笑) しかもわたつみの仲居さんはみなキレイだった、、、宮崎空港のスタッフの人事担当者さんはどうやら俺と女性の好みが一緒である。間違いない。
と脱線したけれども、カツオから見えてくる風景、地震の爪痕がある。水産について、日本人としてよーく考え直す時期なのかもしれない。そう思いつつ食したのでありました。